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『ツインボーカルフェス 2019』を観て。

2019年2月2日、渋谷WWW。
シナリオアート主催の『ツインボーカルフェス』が初開催。
共演はSpecial Favorite Music、東京カランコロン、モーモールルギャバン。

スケジュールやらの関係で直前まで悩んでいたけれど、嵐の活動休止発表だったり、CICADAが解散発表したり、最近シナリオもカランコロンも観れてないなと思ったらチケット買っていました。

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入場は自分は電子チケットだったのですが、まずいいなぁと思ったのは、入場時の「お目当てのアーティストはどなたですか?」の質問が無かったこと。
自分が好きなバンドが幾つも出る場合は何言うか悩むし、言った後にもぎりがあまり入っていないコップや入れ物を見るのも、何だか一気に現実に戻されるようで好きではないのです。それが現実でありビジネスだと言われればそれまでだけれど。
ここでまず「フェスだなぁ」と思ったのでした。

WWWってどこで見るか良い意味で悩んでしまう。フェスだし余計な事考えず楽しみたい&踊りたいってことで最下段を選びました。

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トップバッターは『Special Favorite Music』

【"お洒落系"かと蓋を開けたら、ファンクもメロウポップスも操り上半身も下半身も躍らせる"カッコいい"バンド】

Special Favorite Music(以下SFM)自体は以前から認識はしていたし、聞けば自分も好きな音楽を奏でているのだとは思っていました。ただSFMの出てきた当時って〇〇Clubとか「シティーポップ」氾濫期で、1つ1つをじっくり聞けてこなかったなと。

1曲目はバンドのイメージ通りの楽曲で、大所帯のアンサンブルが色鮮やかで、温かいポップス。でもそこからシンセベースの低音がギュインギュイン鳴るような(キーボードで出していたのかな?)セッションが始まり、そのまま2曲目へ雪崩れ込む。その後もソウル/R&B要素たっぷりの後ろにノレる曲や、かと思えばカントリー風のバンジョーとかまで聞こえて来そうな爽快かつ大団円感ある楽曲が飛び出したり。

Spotify等で聴いていた音源だと結構優等生だなとか思っていたけれど、ライブだとどの楽器も見せ場があり、グルーヴ効かせつつ音の洪水でゲストを飲み込むような場面もあって。

タワレコ等CDショップで見るPOPって、CDという作品を伝えるにはバッチリなんだけれど、ライブだと音源がどう化けるかまで伝えるのは難しいんだなと思ったり。と同時に、もっと早く誰か教えてくれればよかったのに!と抑えらえない思いを終演後物販にて『Early Works』購入にぶつけてきました。
他の音源も聴いてまた遊びに行きたいな~。屋外とかで観たい。

Special Favorite Music『GOLD』

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お次は『モーモールルギャバン』

【今までちゃんと聴かず申し訳ございませんでした。大好きです。】

恐らくこのイベントにおいて、最もファン層が被っておらず、最もツインボーカルという概念から浮遊し、「何かが起きそう」感も一番強かったバンドの登場。

予想通り、バンド転換時から、Dr.&Vo.のゲイリー・ビッチェさんが大活躍。グループ魂の港カヲルによる前説ともまた違う、シュール&隠しきれない良い人感あるプレショー状態。経験積んだこの辺りのバンドは強い…しかし本当にパンツだ…(分からない人は画像検索ですぐ分かります)

でもそんな温かい雰囲気から一転、「このまま始めます!」の一声からバンドの演奏が始まれば、そこはモールル劇場、カオス、音の洪水、鬼才とはまさにこのこと。
YMOと同じ楽器編成。しかしこうも違うものか。最新作から「7秒」とかは歌詞も伝わってくる、セルフプロデュース作品と知ってこのバンドの人間の部分をぎゅっと抽出したような曲だなと。でも一方でひたすらパンティー!と叫んだり缶チューハイ!と繰り返す無意味でひたすら猿になって踊ればいい曲もあったり(とは言いつつ「やんなっちゃったBODY」は妙に染みる。HAPPY SUNSETって歌詞が違和感あるのに心情が浮かぶ。SUNSETって普通切なさ・黄昏となるのにHAPPYを持ってくるとこよ)。

個人的には今回のフェスに来るきっかけの1つとなった「細胞9」を聴けたのが幸せポイント。めちゃくちゃカッコよくないですか?サイケで、ベースがブリブリ効いてて、キーボードがギュインギュイン時に奇妙な、また自然と揺れる東洋的なフレーズを奏でていて、ドラムが土台となって弾ませながらもPOPSとして成立しているバランス感が絶妙。

モーモールルギャバン - 細胞9 from "Live at Zepp Tokyo 2012.6.22:エンペラー"

久々に「ライブ見たら今までちゃんと聴いてこなかったの後悔した!今までスルーしていてごめんなさい!」という思いになったバンドでした。
終演後物販で「IMPERIAL BLUE」購入。とっても良いミニアルバムだった。既にリピートしまくりです。

(あと終演後の撤収やら物販やら、常にゲイリーさん良い人でしかなかった。まっすぐすぎた)

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3番手『東京カランコロン』

【ツインボーカル街道を突き進む。2声とバンドでPOPを研ぎ澄ます】

大好きなバンド、東京カランコロン。
でも実はバンド形態をみるのは久々でした(いちろー&せんせいライブはキチムやインストアで観ていたけれど)。

こうして観ていると、カランコロンのツインボーカルの「歌声」の力はめちゃんこ強いことを再認識。上手い。そのままバンドの推進力となるようなスコーンと抜ける表情もあれば、色んな弱いところや傷口を包んでくれるような包容力もあったり。
序盤ややPAが不安定だったけれど(ほぼサウンドチェック無かった)、2曲目以降どんどんバンドのアンサンブルがカラフルに、でも力強く混ざり合っていくのが「あくまでロックバンドという形に拘り、POPフィールドに球を投げ込む」自分の好きなカランコロンの姿で。

東京再起動以降の楽曲がセットリストの大半を占めたのだけれど、その中でも「冬 part2」のようなファンサービスも忘れなかったり(筆者は「きらめき☆ドラマティック」の楽曲が好きです)。
「ギブミー」「ユートピア」といった最近楽曲が、音源よりライブの方が抜群に良くて、それがこれからはもっとライブを観て行きたいと思わせてくれる部分でもありました。
あと観る度に、メンバー同士の調子伺いながら楽しそうに演奏する姿が増えていて、バンドってええなぁとも思ったりするのでした。

今後もっとカランコロンのライブは観て行かねばという思いを、終演後物販「ワンマん?ツアー千秋楽eggman」チケット購入にぶつけてきました。
全ちゃんにチンパンジーの赤ちゃん(概念)を売られそうになりました。あと100円を100円で売っていました(意味が分からないと思いますがそのままです)。

東京カランコロン『ユートピア』

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ラストは主催『シナリオアート』

【最新が最高。強靭な肉体をまとった、シナリオメイカー。】

シナリオアートのライブ、前回見たときからだいぶ経ってしまって。
作品はCD買ったりSpotify聴いたりチェックはしていたのですが。

久々にライブを観た感想、ズバリ「強くなっていた」。
以前からクミコさんの突きぬけるような歌声&超絶ドラミングも、コウスケさんの闇を照らすような歌声も、バンドの土台を支えつつ実は楽曲の上を泳ぎもするヤマピーのベースも大好きでした。
でも今回見て、そこに「同期を呑み込むくらいの演奏の迫力と一体感グルーヴ」「物語を唄うことからリアルタイムで紡ぎあげていく求心力」と文字にすると漠然としますがそんなものを感じました。

1曲目に「ワンダーボックスⅡ」をぶちこんでくるストロングスタイル。前に観た時は曲によっては「バンド+同期」を感じる場面が無かったわけではないけれど、この日は頭からサウンド面は全く違和感なく1つの音として入ってきました。またEDMをPOPに取り入れるブームの結構前からそのようなアプローチをしていたんだなとも。

この日新曲として披露された曲がめちゃんこ良かったのは是非とも書いておきたい。サウンドメイキングもちょいサイケだったり、(音楽知識無いので適切な表現できないのが悔しい)変拍子のような、リズムが一定でない、時折タメが入る、でもめちゃ踊れる楽曲。また歌詞も独立を果たした今のシナリオアートが歌うことに意味がある、考えさせられる内容で。
バンドの次のステージが明確に見える、そして絶対ステップアップした姿を見せてもらえる確証がある楽曲でした。最新型が最高なのを体現しているバンドってかっこいい。

この後に披露された「ウォーキングムーン」も、筆者大好物でイントロのアレンジから鳥肌モノだったし、サビ空気読まず手を挙げて踊ってしまったし。

アンコールの演者全員の「ジャーニー」も幸福感溢れんばかりのステージで良かった。
でも更に「シーユーネバーランド」の威力も凄まじかった。ファンタジー感を用いずに、こんなにスケールがでかい曲を鳴らすんだと圧倒された。
例えるならば、カランコロンの「ハロー(始まり)」の破壊と創造を詰め込んだような演奏に、抽象的な歌詞に時折挟み込まれる固有名詞、「さよなら」という強いワード。こんな演奏見せられたらそのまま解散してしまうんでないかというくらいの熱量でした。

バンド10周年と独立。決して順調な道のりではなかったバンドだからこそならせる音も景色もメッセージもあるし、改めてそのどれもが肉体として宿ったシナリオアート。
楽しませてくれるだけでなく、明日からのソウルの部分の原動力もくれるライブだったので、また行こうと思っております。

という訳で終演後物販にて、最新音源「シーユーネバーランド」を購入。
また10周年記念対バンツアーも、せっかく日曜日に設定してあるので申し込もうと思います。

シナリオアート Officialpage

シナリオアート 2nd Full Album「Faction World」全曲トレイラー

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久々に多くのバンドが出るライブハウス規模のライブに行ったのだけれど、どのアクトも実力・楽曲・愛に溢れたもので大満足の内容でした。
新たな出会いと、改めて認識してもっと大好きになったバンド。

話は頭に戻りますが、どんなに安定していても永遠なんてないのがこの世界。活動を続けてくれているうちにもっと出逢いに行かねばと思いました。

最後に、シナリオアートの皆さん、スタッフの皆さん、出演者バンドの皆さんに、たくさんのありがとうとお疲れ様でした、また続編も期待しています!

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