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落ち葉踏み|虎の怪談

小学4年生の冬。
夏はあんなに繁っていた校庭の木も茶色へと変わり、はらはらと落ちていった。

休み時間にその落ち葉を踏んで歩くのが、密かなマイブームだった。
しゃくしゃくと踏むたびになる音。
1人黙々と踏み続ける。

ふと視線を感じ、顔を上げると同じように落ち葉を踏んでいる男の子がいた。
髪は少し長く、目元が見えない。
お互い無心で落ち葉を踏む。

そうこうしている内にチャイムが鳴り、教室へと戻る時間となった。
男の子は気にせずひたすら落ち葉を踏んでいる。

変なの、と思いながらも自分も駆け足で教室へと戻った。

授業中、風で窓がカタカタと鳴る。
今日は風が強く、落ち葉がハラハラと木から剥がされて落ちて行った。

ふとさっきまでいた場所が窓の外に映る。
目の端で何かが動いていた。

なぜだろう、心が少しざわっとする。

耳の奥で、ザクザクと音が鳴り響く。

好奇心に逆らえず、目線をそのまま動くものの方へ移す。
ニコニコと口を目一杯開けながら、「僕」を見てひたすら落ち葉を踏む男の子がそこにはいた。


落ち葉踏み|虎ノ怪談


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