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No.2 フシギソウ|虎のポケモンレポート


フシギソウの基本情報

全国図鑑No.2

『つぼみが せなかに ついていて ようぶんを きゅうしゅうしていくと おおきな はなが さくという』(赤/緑)

分類:たねポケモン
タイプ:くさ/どく
たかさ:1.0M
おもさ:13.0Kg

フシギソウとの出会い

ハナダシティを歩いていると、少女と遊んでいるフシギソウに出会った。
少女は6−7歳といったところだろうか。
まだポケモンを保持する資格を持っている訳ではなさそうだ。

「こんにちは」

声をかけると女の子はビクッと身体を震わせこちらを振り返った。
何か悪い事をしている気分だ。申し訳ない。

「あぁ、ごめんね。びっくりさせたね。僕はいろんなポケモンをみたくて旅してるトレーナーだよ。その証拠にほら、僕のポケモン図鑑、ね?」

ポケモン図鑑が僕の身分を証明してくれるのは助かった。
女の子は警戒が少し解けたのか、にっこり笑ってフシギソウと何をしていたのか教えてくれた。

どうやらフシギソウと一緒にキャッチボールをしていたらしい。

フシギソウの観察

「フシギソウを間近で見るのは初めてなんだけど、よかったらスケッチさせてくれないかな」

女の子は快く承諾してくれた。
近くのベンチに座って、僕とフシギソウを見つめている。

背中のツボミは資料で見たものよりでかく感じた。
しっかりと光合成を繰り返すことでツボミの大きさは変わると聞いていたが立派なものだ。

「やぁ、フシギソウ。少し触らせてもらえるかな」

声をかけながらツボミの弾力を確かめる。
しっかりツヤとハリがある。
少しくすぐったかったのか、背中を少し揺らす。

「この子はお母さんのポケモンなの。お外に行く時は一緒に行くお約束なのよ」

フシギソウのツボミの中をなんとか覗き込めないかとしている僕に少女は話しかけてきた。

「そうなんだ。じゃあ君のお世話役なのかな」

覗き込むのをやめてスケッチを続けながら返答する。

「私が遊んであげてるの!」

女の子は腕を組みながらふふん、と鼻を鳴らした。

「そうなんだ、素敵だね」

そう褒めると少女は嬉しそうにそばにあったボールを持ってきて、僕に手渡す。

「お兄ちゃんも一緒に遊ぼ!」

フシギソウと女の子

ボールを放りつつ、三角パスを2人と1匹で行う。
フシギソウはツルを上手く調整して自由自在にボールを操った。
スルスルと伸び縮みするツルは以前みたフシギダネの速さとあまり変わらなかったが、少し動きに余裕がでてきている気がする。

「お兄ちゃんはポケモンもってるの?」

少女がフシギソウにボールを転がしながら聞く。

「持ってるよ。僕のは陽の光があまり得意じゃなくてね。いつもはボールの中なんだ」

フシギソウが少女にボールを転がした。
フシギソウから僕にボールが回ってくることはない。
あくまで少女を優先したいのだろう。

「そうなんだぁ。私もいつか、旅に出てみようかなぁ」

ボールが少女の足元に止まり、それを拾い上げてこちらに向かってキックしてきた。軌道がそれて斜めにずれて転がっていく。
それを拾おうと少し小走りになった。

「旅は楽しいよ。いろんな出会いがあるからね」

「お母さんもそれ言ってた。昔旅してた時にね、お父さんと出会ったんだって」

ボールを足で止めて、ぐぐっと背伸びをする。
人との出会いは旅の醍醐味。
いつかこの子もたくさんの人やポケモン達と出会うのだろう。

「私も旅をしてね、自分だけのパートナーを見つけるの」

そう言って腰に手を当てて胸を張る少女の横。
すこーしだけ、フシギソウが寂しそうなのは保護者視点なのかもしれない。



スケッチをするために見つめられて照れるフシギソウ

フシギソウ|虎のポケモンレポート
画像:虎之助

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ポケモンとの出会いや日常の様子をレポートにした創作エッセイです。 ポケモン全国図鑑No.1-30までをまとめました。 有料マガジンだけの特別レポートも用意する予定です。

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