秦 建日子先生『And so this is Xmas』『Change the World』『Across the Universe』を読んで
秦 建日子先生
『And so this is Xmas』
『Change the World』(以下、CtW)
『Across the Universe』(以下、AtU)
を読んだ所感を記録します。
(ごく一部に舞台オリジナル要素を含みます)
終わってみれば13000字越えとなりました、、、(´・ω・`)ナゲェ
本ごとに「■大見出し」、
トピックごとに「□小見出し」を付けていますのでご参考に。
私の脳内の整理としての意味合いが大きいので、乱文ですいません。
ライトに作品を読んでいた方にはどうでもよいと思われる考察がいっぱいありますので、スルーしてください。
ミステリー好きの一人として、批判的吟味も含む、かなりヲタしい内容となっています。
大好きな作品であってもツッコミを入れる性格なので、作品にアレコレ言っているのを見るのが嫌な方は読まないようお願いします。
もちろん、記事の全てにネタバレを含むので、まだ作品を読まれていない方も読まないようにご注意願います。
それと、私は電子書籍で読んだことにより、紙の本とはページ数が異なる(しかも設定変えるとページ数も変わる)ため、【第〇章の〇】のような表記になりますがあしからず。
■『And so this is Xmas』
まずは第一作目。
私は映画『サイレント・トーキョー』から入りました。
疑問点が多数あり、そのまま連続して映画を連続で2周観て、
さらに後日『And so this is Xmas』を通読として3周読みました。
小説にも共通することですが、
最も特徴的だと感じたのは
回想シーン・過去シーンの入り方・切替でしょうか。
全く無関係にも思えるエピソードが突然入ってきたかと思えば、それが後からどのように物語の本筋と繋がるのか。。。
秦先生の作品を読んだ楽しみの一つでもあるかと思いました。
□【第二章の1】ピザ配達中の交通事故の目撃
その意味では、【第二章の1】のエピソードは不思議でした。
新たな章の最初に、かなりのページ数を使ってピザ配達人のエピソードが詳しく書かれていたものの、物語の繋がりを最初は気付けていなかったからです。
「(殺意をもった意図的な車の)事故」
「(加害者が運転する)青い車」、「(運転手は)老人」
ここらへんがキーワードでしょうか。
答え合わせは【第五章の5】に書かれていました。
主人公である世田のトラウマとなった事故。
映画では、世田と鈴木管理官が屋外の階段?で話す会話に、わずかに登場する程度だったと思います。
この繋がりが分かったときに、秦先生の作品はこういうところを楽しむんだな、とおぼろげながら理解しました。(笑)
□ロブ、ショーン、朝比奈仁
時系列の繋がりが難しいところといえば、上記3人のエピソードでしょうか。
映画では米軍の登場人物が自衛隊に切り替わり、
ショーンは居なくなっていましたね。
上記3人(映画だと2人)が絡む”クリスマスの計画”は、
物語全体が理解できていない状態だと
渋谷ハチ公前の爆発事件のことなのか何なのかが分からず、
時系列の把握が難しくなる要素だったと思います。
映画での"クリスマスの計画"は「自衛隊の上官の、婚約者(ヤマグチアイコ)と東京での旅行」だったと思います。
小説での"クリスマスの計画"は行間を読む感じになっていますが、「ショーンと朝比奈仁の結婚」を示唆していると解釈しました。
(【第六章の4】の朝比奈仁のセリフ。ショーンが「ロブのやつがさ、俺たちより先に結婚する」と発言した描写が入る)
□レインボーブリッジ事件後のヤマグチアイコの生死
この『And so this is Xmas』、そして続編『CtW』『AtU』の中でのKeypointとなるかと思っていましたが、この三部作をマクロ的に見れば大した問題ではなかったようです。
第一作の終わり時点では生きていると思いましたが、続編ではその存在を示唆する描写は無かったと思います。
「(ヤマグチ)アイコ」という"神格化"された偶像は続編で大きな役割を果たすものの、"人"としての「ヤマグチアイコ」は人々の記憶には宿っているものの、表舞台には登場しませんでした。
『And so this is Xmas』の最後。
【第六章の7】の最後に記された、レインボーブリッジ事件から一週間後に届いた来栖公太へのメール。
これが事件前に"送信予約"されたメール(アイコが生存していないパターン)の可能性も考えましたが、それは無さそうでした。
メールには、渋谷ハチ公事件の概略だけではなく、「レインボーブリッジの事件」での、まさに死に向かう朝比奈仁のセリフも書かれており、その点を含めても第一作の終わりの時点ではヤマグチアイコは生きていたとみなすべきと考えました。
(現実的にはこの時点のヤマグチアイコには協力者は居ないはずであり、あの大きな事故後にどのようにして捜索をかいくぐったのか??
また、来栖公太と連絡先を交換した携帯は水に濡れても無事だったのか?Androidは結構前から防水あるけどiPhoneはいつから防水だっけ??など余計なことも考えましたが)
また、ここからは続編の内容のネタバレも含みますが、ヤマグチアイコが、AIアイコを創造する"会議"のコアメンバーになっていた可能性はありえるのか?とも考えました。
→個人的見解から先に言えば、可能性は低い、です。
・『CtW』【第四章の☆】の、世田とAIアイコとのやりとりで、「ヤマグチアイコの声を、世田から学習し調整」「(世田の)ヤマグチアイコが死んだという主張を肯定(部分肯定?)」する描写がありました。
ここからは、少なくとも"会議"メンバーは「ヒトとしてのヤマグチアイコを、生きているものとして扱うつもりはない。もしくは、生きていることを公にするつもりはない」との印象を持ちました。
・『CtW』【第一章最後の黒背景】には、"会議"メンバーの"男"が「(AIアイコの声が)この声を選んで大正解だったと男は思う」との記載もあります。
この"男"は、『CtW』の最後で相沢愛音であることが示唆されるわけですが、ヤマグチアイコが"会議"メンバーになり得たとしても、それをメンバーやAIアイコに明かすつもりはなく、相沢愛音はヤマグチアイコのことを直接は知らなかったと思います。
(ヒトであるヤマグチアイコが前面に出るほど、古い世界で生きている人達にとって対策がしやすくなるので、"Change the World"の意味合いとしてはヤマグチアイコは出てこない方が都合がよいですし。)
いずれにしても、『CtW』『AtU』においては
"神格化"したAIアイコが重要なのであって、
ヒトであるヤマグチアイコの生死は物語の主軸とは関係無くなっています。
■『Change the World』
疑問点含め、ところどころ繰り返し読んだ分を除き、通読としては5周。
二作目の『CtW』については既にnoteを書いていますので、『AtU』を読んだうえで↑のnoteの記載3つの振り返りから。
□イベントで全員プレゼントの紙箱
→これは予想通り、というか、『CtW』で丁寧に描写されているピースを拾い集めれば導き出せる結論なので特に問題なかったですね。
【『AtU』 第一章の7】では東京ドームの事件が書かれていましたが、東京ドームの事件はほぼ『CtW』で終わっており、『AtU』では過去の事件の一つとしての扱いに感じました。
・当日サプライズのAR&VRグラスは主催者側が目玉グッズとして配布し、ロードされる映像データだけが差し替えられたとのことでした。
・オタク目線からすると、当日配られたプレゼントを付けないヤツいるよな、とか、片目だけのやつとかもいそうだよな…とか余計なことを考えましたが、群集パニックのくだりも予想通りでしたね。
"会議"メンバーの目的はあくまで、"宣戦布告"と、「ツリーブランチ」からあの言葉を取り戻すとのことだったので…【『AtU』第四章の5】で「ツリーブランチの失速」が書かれており、それは見事に達成されてしまったわけですが。
□第四章の6のシーンの古谷課長代理との会話
古谷課長代理が『カルト集団の目的は?小学校の先生を殺したり、高校生を轢き殺したりして』と、報告を受けた描写のない高校生の轢き逃げ事件にも"カルト集団"が関わっているかもしれないことを突然話し出した件。
→こちらは、全く関係なし!(笑)
【『CtW』第一章の6】一行目にはわざわざ、南高輪小学校での聞き込みのことが「天羽から古谷に報告」「捜査本部が立ち上がり、捜査員全員に共有されるはず」との描写があるので、、、
('Д').o0(天羽の失踪した日の夕方に、世田と天羽だけが下馬署の刑事から聞いた高校生の轢き逃げ事件はいつ共有されたんだ??捜査会議でも世田&天羽の描写のところでは下馬署のひき逃げ事件の共有をした描写はないし…【『CtW』第四章の3&4】)
となりましたが、、、単に考えすぎ、でした。
そもそも舞台CtWには古谷さん役いなかったw
(少なくとも明確に名前が出る形ではいなかった)
ただ、別件で、解決していない警察内部の情報統制の問題はあるので…
これは後述します。
□【『CtW』二章目の8】世田&天羽が高梨真奈美に会ったときの天羽の発言(2024/6/7に追記した内容)
天羽がセリフで高梨真奈美のことを「世田さんと一緒にレインボーブリッジに行ったあの女性」と表現したこと。
映画『サイレント・トーキョー』はもちろん、
第一作『And so this is Xmas』でも
高梨が世田とレインボーブリッジに行った描写は無い。
天羽は型外れに見えて、結構細かいキャラクターだから記憶違いとも思えない。
舞台CtWでも同じセリフがあり、世田もその内容を否定せずに(むしろ頷きながら)聞いていた。
何かの伏線の可能性も?と思ったが、『AtU』でも特に上記に関係するエピソードはなかったような。
→これは依然として謎のまま。
誰か分かった人いたら教えてください。。。
↓ここからは『CtW』の、さらに追加の内容。
疑問点や、宙に浮いた謎の個人的解釈など。
□秋山玲子の小さな嘘と、小藪ちえみの悪意
・校長への聞き取りでは秋山玲子は『実際は三人での食事』と説明【『CtW』第一章の5】。
・婚約者の吾妻と編集の青木への聞き取りでは、伊勢原、秋山、吾妻、青木がいたとのこと【『CtW』第二章の6】。
→秋山玲子は職場(校長)に全てを話すつもりはなく、婚約者の吾妻のことも伏せていた。ツリーブランチの裏の作者ということもあり、関係性を探られないように細かいことまでは伝えなかったのでしょうか。
同僚の小藪ちえみは、自身の同棲相手の夏目に対する秋山の態度や、人気作家で大金持ちである伊勢原との不倫(結果的には勘違い)など秋山玲子への嫉妬から、個人情報のリークを行ったのだと思いますが、、、
【『CtW』第一章の6】で世田が天羽に「彼女(小藪ちえみ)の道義的責任は、俺らの捜査対象じゃない」と説くが、小藪ちえみの小さな悪意が、結果として思わぬ方向に向かった遠因にはなってしまいました。
□伊勢原英和の嫉妬
こちらは描写は少ないものの、
小藪ちえみの悪意に近い、黒い感情を感じます。
チーフアシスタントの吾妻がツリーブランチの実質的な作者にとって代わり、負の感情をもっていることは容易に分かります。
(【『CtW』第二章の6の最後】『いいよな、吾妻。おっと、すまん。もう、吾妻先生って呼ぶべきだった。』など)
【『CtW』第二章の6】
・伊勢原先生が言いだして、婚約祝いとして秋山玲子と吾妻を焼肉屋に連れていく
・焼肉屋を出た直後に撮られた写真
・週刊誌に、今回だけ否定コメントを出していない
【『CtW』第一章の5】では校長が「漫画家先生は男女構わず挨拶としてハグをされるそう」と秋山玲子がしたであろう弁明を話しており、抱きついたのが伊勢原からであろうことを推察させます。
これらを考慮すると、週刊誌へのリークそのものが伊勢原英和の仕業であった可能性が高そうに思えます。
【『CtW』第四章の5】では、相沢愛音へのクラスメートが嫉妬してスマホの持ち込みを告げ口したこと、担任の先生がモンスターペアレントからクレームをおそれて相沢愛音に厳しい対応をしたことなどが書かれています。
こういった別々の人間の、(本人は小さなことだと思っている)悪意の積み重ねが、思わぬ方向に作用して悲劇を生む結果となってしまいました。
現実社会、インターネット社会における、誹謗中傷などの悪意に対する風刺的なメッセージを感じます。
□高梨真奈美が染谷宅に行った理由
【『CtW』第三章の5】家政婦の伊藤からの発言「どうして真奈美ちゃん、染谷さんのお家に行ったのかしら。クビになってもう一週間も経つのに」
→これに対する"答え"の描写は無いと思います。
なので、下はもしかしたら、、、レベル。
クビになったのに、その一週間後に高梨が染谷家に行く理由。
家にいた人が誰かを考えると、
父の准一から呼ばれたか、
祐矢から呼ばれたか
(もしくは高梨が個人的に祐矢くんに会いに行ったか)、だと思います。
【『CtW』第四章の3】から、父の准一はツリーブランチのチケットを祐矢くんが盗んだことに激怒しており、祐矢くんを問い詰めるために帰った描写があります。その場に、高梨を呼ぶ理由は想像できません。
逆に裕也くんが高梨を呼ぶ理由は何なのか。
一週間前にクビになったばっかりであったとのことから、たまたま高梨真奈美が"毎週担当していた時間"だった可能性もあるかと思います。
その場合は、祐矢くんから御礼なり最後の感謝なりを伝えようとしていた(高梨がお別れを伝えに行った)可能性もあるかもしれません。
最も嫌な展開としては、「染谷祐矢を元気づけようと、嘘のアリバイで遊園地に連れ出していってくれたが、それがバレてしまい破滅のきっかけになった」ことの逆恨み・・・
そうでは無いといいなぁ、と思いました。
(父親が怒って帰ってくることを祐矢くんが知っていたのかどうかは分からないので、、、【『CtW』第四章の3】で栗尾刑事が言う通り「たまたま」であって、悪意が介在したものではないと思っています・・・。)
□【『CtW』第一章の終わりの黒背景】と【『CtW』第二章の終わりの黒背景】の連続性は?
・まず、前提条件として、黒背景の"会議"メンバーの描写において、出てくるアバターは以下の登場人物であるとします。
"男"→相沢愛音【『CtW』第四章の4を含む内容から】
"少女"→遠野未来【『CtW』第二章ラストの黒背景、第四章の5、第四章の☆の後の最後近くでの「両手をひらひら」の仕草などから】
(舞台CtWでは、"会議"メンバーが全員、両手をひらひらさせていただけど、小説では相沢愛音と"少女"だけにみられる仕草だったので…)
・【『CtW』第一章の終わりの黒背景】の日時
「男はようやく平常心を取り戻す。良かった。これで彼女と話せる。彼女と話をせずに一日を終えるなんて、想像も出来ない。」
→相沢愛音が錦糸公園で事件を起こした日の未明(夏休み最終日から、夏休み初日になったところ)と考えました。
「コア・メンバーだけが入れる会議室で、これからオンライン・ミーティングは始まるらしい。」
→"たった今から始まる"のか??それとも、"会議は既に始まっていたが、ログインした後に通知が遅れて来たのか"??
(この後の疑問点に繋がる内容なので日時を含めて重要)
・【『CtW』第二章の終わりの黒背景】の日時
「想定外のトラブルが起きたせいで、この日は男が最後の入場者」
→相沢愛音のスマホが取り上げられ、錦糸公園の事件でスマホを取り返した。そのためにこの日の最後の参加者が相沢愛音と理解したが…同じ日でよいのでしょうか??(後述)
なお、未来少年("少女"のアバター)は錦糸公園の事件が起こった日の夜(この会議は同じ日の未明と推測)から世田の家に行くため、アバターでの会議とは言え、参加しにくくなると思いました。
□【『CtW』第一章の終わりの黒背景】AIアイコはどのようにして事件を知ったのか
→男「どのニュースか、まだ僕はつたえていないよ」
AIアイコ「私は、すべてのニュースを見ているの。」
錦糸公園の事件が起きたのは日付が変わった未明。
事件が発覚したのは、泥酔したサラリーマンが起きた早朝。
この"男"とAIアイコの会話が、錦糸公園の事件が起こった直後だとすると、少なくとも警察は把握しておらず、いわゆるニュースにはなっていない段階です。
捜査が難渋していることから、事件の一部始終を記録していた監視カメラがあるとも思えず、、、。
AIアイコの応答は、本当に全てを理解をしての共感だったのでしょうか??
あとは、相沢愛音が錦糸公園の事件直後に染谷祐矢に電話をしており、携帯の電話の盗聴とか・・・?
(場面が異なるが)
【『CtW』第二章のラストの黒背景】のやりとりでは、舞台CtWオリジナルで、"会議"メンバーが、"男"に「なぜ教師を殺したのか」と問い詰めるセリフがありました。
これも、なぜ会議メンバーが("男"が報告するよりも)先に情報を把握していたのか。
やはり、AIアイコが電話を盗聴していたのか??
一般の電話網への侵入ができていなくても、AIアイコのアプリが入っているスマホであれば可能性は十分にあります。
・・・ただ、『CtW』の段階では、説明可能な描写を見つけられませんでした。
□【『CtW』第二章の終わりの黒背景】のシンクロニシティの意味
少女「こういうの、シンクロニシティって言うのかな」
男「僕以外にも誰かいるの?」「それって、あまり良いことじゃないよね?」
との会話。
舞台CtWでは"男"役の2つのセリフの間に「他にも誰かをやったの?」と追加されていました。
→錦糸公園の事件とは別に何かの事件が同時に起きていた??
同じ第二章ラストの場面で"会議"メンバーが二人いないが、「ふたりは、たぶん、抜ける」との会話から、この時点では二人はまだ生きていると思います。
何か見落としてるのか??謎。
これも誰か分かれば教えて欲しいです・・・。
□【『CtW』第二章の終わりの黒背景】の警察内部の情報
先程の、第一章と第二章の黒背景のところの時系列が連続しているのかどうかを気にしていた箇所です。
少女「大丈夫。警察は、まだ私たちの存在に全然勘付いていないよ」
→なぜ"少女"=遠野未来、あるいは"会議"メンバーの一部が警察内部の情報を把握しているのかの考察です。
錦糸公園の事件の直後(夏休み初日になったばかりの未明)のときに、どうやって警察内部の事情を把握しているのか。
→未来少年が世田の家に来たのは錦糸公園の事件の日の夜(夏休み初日)。【『CtW』第一章の7、松江巡査からの電話】
そもそも世田は、未来少年に事件のことは何も話していません。
未来の祖父(元 警視庁公安部長の鈴木)は、既に警察を引退しています。
会議メンバーには警察とどんなチャンネルがあるのか・・・?
(この時点では、『AtU』のあの展開には至っていない段階なので、相棒の"彼女"が情報を流した可能性は無いと思います)
既に、ある程度はAIアイコのハッキング等により、警察内部の情報をも監視できるようになっているのか…?
(【『CtW』第一章の終わりの黒背景】のところで、AIアイコが相沢愛音の起こした事件を理解している旨の発言があったが、この時点では錦糸公園の事件はニュース化されていない(先述))
たぶん、これも回収されていない謎な気がします。
『AtU』での展開を考えると、新たに警察に就職した人からのリークである可能性が高そうに思いますが、「存在に勘付いていない」と明言できるポジション(役職&地域性)なのかしら…?
だれか、分かれば教えて欲しいです。
□【『CtW』第三章の終わりの黒背景】相沢愛音も死期が近いと考えてる?
「ふと、死んだ弟のことを考える。」
「そして、もうすぐだ。自分も、すぐ弟に追いつける。」
→こちらも続編の『AtU』にも描写がなかったと思う。
考察できるだけの資料がないため分からない。
■『Across the Universe』
舞台CtWを観る前、観た後で通読2周。
この作品は、"疑問点"としてはあまり無く。
嫌な予感が徐々に当たってしまうのを、その人物の過去と照らし合わせ、、、
かなしみをもって読みました。
□嫌な予感のフラグとしては、生還したときの健康状態
・【『AtU』第一章の7】「天羽が失踪して百日以上。世田は既に、天羽の食生活に大きな期待はしていなかった。ただせめて、何かを食べることはしていて欲しいと思っていた。」
この伏線後に、
・100日以上監禁(?)されてて、健康体。
しかも痩せているどころか、本人曰わく2kg太ってるとのこと。【『AtU』第三章の4】
発見時は意識がなかったものの、100日以上意識がなく過ごしていたとは考えにくい状態でした。
(もしそれだけの長期間意識がなかったとすると、それなりの高カロリーを与えられる栄養方法が実施されているはずだが、とくに検査で異常はなかったよう。たぶん、目立つ外傷もないと思われ、意識の無い人への負担のかかる栄養方法が行なわれたとは考えにくいです。)
そして、それだけの長期間だと筋肉も衰えてまともに動けなくなるはず。
→なんか変だよな、と。
□サイバー捜査課の記事
・【『AtU』第一章の3】
川崎臨海警察署の長塚と茂木の何気ない会話。
「今朝の新聞にサイバー捜査課の記事が載り、部に格上げ、国際捜査協力もすることになったとの発表。」
・【『AtU』第三章の4】
警視庁広報課の赤尾が「犯人側にはこのタイミングで彼女を解放する理由が有ったってことでしょう?」と話す。
伏線がちらほら・・・。
これが天羽解放の一因だとは。。。
□『CtW』の終盤~『AtU』にかけて、AIアイコが手に入れた能力
失踪した後の天羽の加入は、情報収集・分析におけるAIアイコの進化に役立ったと思う。
天羽の事件より前では、警察内部の高度な情報や国際的な機密情報は手に入れられなかったはずだが、AIアイコが、どの時点からハッキング能力を含めたネットワーク上の万能的なチカラを手に入れていたのか。。。
(『CtW』の考察の点から、ちょこっとだけ疑問。)
【『AtU』第五章の1の後、☆の後】「それ(天羽の事件)以前から、ITや通信会社などに、"アイコの家族"が就職、データを収集(大意)」ともあり、天羽の事件が起こる前から、AIアイコの能力は万全なものとなりつつあったのであろうとは思います。
『CtW』で最後に挙げた疑問の、警察内部の情報についても、この"アイコの家族"から流れたのか・・・??
□アイコによるハッキング(クラッキング)?
・【『AtU』第四章の8】サイバー捜査部準備室の乙川のパソコンの第二認証
・【『AtU』第二章の6】天羽刑事が発見された船の部屋の暗証番号(確証はないがおそらく)
・【『AtU』第三章の7、☆の後】須永の携帯電話への着信もアイコによるハッキングが関係?
目が見えない須永綾乃の携帯への細工は杉原がした(結婚式の最中の杉原による嫌がらせ)と思われるが、須永基樹の携帯への細工は考えにくい。
そもそも、杉原には、アイコという表記が出るように細工する理由がない。
→このAIアイコの須永基樹への電話は、須永の声のサンプリングも目的だったんだろうな…。【『AtU』第四章の7で、天羽がアプリを使って須永基樹の声に偽装している描写あり】
・【『AtU』第一章の7】東京ドームでのツリーブランチのイベントのデータの差し替えもアイコ??
前作最後【『CtW』第四章の6、☆の後】で「出版社のお偉いさんの子供もいる」との描写があるが、自宅に持ち帰ったパソコンなどに子供が仕掛けたとか・・・?
□来栖公太への、犯した罪の告白
【『AtU』第五章の1の後の☆】で天羽は殺人を告白します。
なぜ、天羽(と、アイコの家族)は秘書の杉原を殺めたのでしょうか。
『CtW』で天羽が"未熟なスイカ"の情報を容易に集めたように、杉原のアカウントから本人の特定は、天羽(あるいは能力を増したAIアイコ)は容易に可能だったのだと思います。
『CtW』では、世田の説得もあり、"未熟なスイカ"、こと、小藪ちえみの道義的責任を追及することはありませんでした。
ですが、対照的に、『AtU』では、自身の復讐心で須永基樹と須永(印南)綾乃に攻撃する杉原に、制裁を加えています。
AIアイコの采配もあるのかもしれないが、次のセリフから、
天羽の意思も十分介在されているように思えます。
【『AtU』第四章の7】「私は、なんていうか、いろいろと楽しくないことを知ってしまった女です」
□週刊誌へのリーク
・天羽の失踪後に週刊誌にリーク【『AtU』第一章の1】
・天羽の発見直後にマスコミにリーク【『AtU』第二章の6】
【『AtU』第五章の1、☆の後】で天羽が来栖公太に自己紹介するときに「一時期『女性刑事が謎の失踪!』って、週刊誌の記事になったこともある」と話したように、週刊誌への情報のリークは天羽自身、あるいは、AIアイコの家族の仕業であろうと思います。
目的は、その後の「アイコ宣言」【『AtU』第五章の1の後、☆の後】をよりセンセーショナルに演出するため…でしょうか?
□錦糸公園に杉原の遺体を運んだ理由?
・明確な理由というわけではなく、確証もないですが、『CtW』で気になる描写があったのを思い出したので、なんとなくこういうことかなあ?ってのを書いてみます。
・東京ベイマリーナで殺害された杉原。遺体は過去の錦糸公園の事件と同じように錦糸公園まで運ばれました。
(『CtW』では錦糸公園が犯行場所だったので、遺体を運ぶ必要はなかった)
過去の事件現場と重ねることで同一犯との意味付け?とも思いましたが、黒いスポーツウォッチもさせており、いくら"アイコの家族"のマンパワーがあるからといっても、事件現場から遺体を運ぶのは、相当な重労働&目撃リスクが高いので何故・・・?と思いまして。
・同じ日に見つかった他の被害者としては、東京ベイマリーナでは船のデッキの上で亡くなっている人、同じ船の鍵のかかった部屋から天羽でした。
まず、"アイコの家族"側の心理として、天羽を解放するときに薬で眠らせて置いておくにしても、眠りから覚めてしまう前にある程度早めに見つけてもらう必要があったと思います。
(結果からいうと、"アイコの家族"として警察を裏切るために戻ってきたので、目覚めた状態で無傷で解放・発見されるのは、その後の展開(記憶障害)としても違和感が残るので…)。
なので、見つけてもらうために目立つ場所に天羽を置いておく必要があり、結果的には、それが遺体と同じ船だったのではないかと。
次に、疑問なのは、天羽をただ早めに見つけてもらうだけなら、天羽を錦糸公園に寝かしておく、方が簡単だしマンパワーも要らないのでは、と・・・。
→そこで、『CtW』のこんなシーンを思い出したのです。
【『CtW』第一章の3】
公園で朝まで酔いつぶれて、第一発見者となったサラリーマンに対して、
天羽が言い放った一言を。
「芝生で?うわっ、最悪!」
上のシーンを思い出し、単に天羽自身が、外で横になってるのが嫌だったから、屋内になるようにした、ってのは有り得そうだなぁ…、と。(笑)
それと、天羽の発見現場に、二つも遺体があるとさすがに怪しすぎるから、直接的に害意を持っていた杉原の遺体は、捜査を先延ばしするために別の署の管轄まで運んだ、とかを想像しました。ここは単なる想像です。
□天羽の監視
これは物語性とは別の次元の、とても野暮な話になってしまうけど、単純に疑問に思いました。
結果からいうと、天羽は目的をもって警察に戻ってきて、警察はものの見事に出し抜かれたわけですが、、、
警察(公安?)は本当に天羽のことをマークしてなかったのでしょうか??
【『AtU』第二章の6】では、天羽が見つかった江東警察署に、わざわざ警視庁公安部公安総務課課長の丸山、警視庁広報課広報第二係長の赤尾が来て、「天羽刑事が発見された件は本庁が担当する」とまで言っています。
【『AtU』第三章の4】では、その広報課の赤尾が「最後まで、良いニュースのままだと良いのですが…」と意味深長なことを言っています。
誘拐や監禁事件などにおいて人質が犯人と心理的な繫がりを築いてしまうストックホルム症候群というのもあるわけなので…
このような事件の被害にあった警察官が、すぐに現場復帰、部署異動を希望した場合にどのように遇すかはともかく、警察(公安)による監視の目は入りそうな気が…。
□杉原さんの彼氏
・【『AtU』第二章の7】
須永が綾乃に、織本プロダクションからの話や、マネージャーの杉原和葉のことを話したとき。
「綾乃が最初に言ったのは、『その杉原さんって人には、彼氏はいるのかな?』」
・【『AtU』第三章の5、☆の後】
結婚式後の片付け中に高梨真奈美から杉原に対しての質問
「和葉さんって彼氏はいるんですか?」
異なる人から、異なる相手に対して発せられた同じ質問の描写です。
これもまた、対照的に思いました。
目が見えない綾乃さんは、やはり第六感が鋭くなっていたのでしょうか。
□秦 建日子先生の別作品とのリンク
https://x.com/hatagumi_info/status/1789931857372500097
秦建日子先生の、「アンフェア」としてドラマ化・映画化もされている「刑事・雪平夏見シリーズ」。
『AtU』を読む前からこのツイートを見てたので、おそらくはこの人かなぁ…と思いながら読みましたが、私の知識では答えが得られず。(笑)
『AtU』で、独身で旧姓のころに肩を撃たれ、かつては捜査一課で検挙率ナンバー1の登場人物、がいましたね。。。
この事件の『異質さ』に気付くのもさすがです。【『AtU』第二章の6】
同シリーズの最新作は第五作目『アンフェアな国』とのこと。
その作中で●●さんからの〇〇〇〇〇があった、とネット情報で読みました。
お幸せに ヽ(*'ω')ノ
□幼少期~『AtU』までの出来事
『AtU』で最も大きなテーマの一つ。天羽史の過去。
・【『AtU』第二章の1】少女と、母と、母の母
→ここのエピソード、悲しすぎて…。
・【『AtU』第二章の5】
「骨壺に入った母の最期の姿を思い出した」彼女
太った灰色のネズミをアバターにした彼女
・【『AtU』第四章の1】ギャラ飲みのシーン
「『おまえ』呼びはやめてください。それ、母親の口癖だったんで。」
「私の遺伝子を私のところで断ち切ることが、私の人生の宿題なんで」
・【『AtU』第四章の7】ベイ・マリーナに杉原を呼び出すシーン
「私は、断ち切ることを人生の宿題にした女です」
「そして、帽子から覗く、パープルピンクの髪」
・【『AtU』第四章の8】
「自分の精神力に頼らずとも、自然に痩せられる環境がそのうち来る」
・【『AtU』第五章の2】刑務所の面会室
「私に『おまえ』呼びは禁止」
世田の「いつからアイコの家族だったんだ?」に答える天羽。
→事実としての『その時から』と、感覚としての『生まれた時から』の返事。
後者の意味を把握したときの感情を、哀しいと言わずして何と言うのか。。。
・『CtW』で世田を頼ってやってきた未来少年を、家に一人にしていることに対して、天羽がすごい剣幕で世田に対して怒っていた理由も得心が行きました。
□その他の小ネタ
・Quick Time Player
あれ?もう開発中止されたよね??
と、懐かしくてググりましたw
古いノートパソコンだからソフトも古いものにするの、細かいですw
・デーモン・スレイヤー
固有名詞のようで、ぎりぎり日本では固有名詞にならないような・・・
絶妙な表現ですね・・・w
□『この事件には、どこにも「幸い」なんてものは存在しない。』
・上記は【『CtW』第四章の3】で、泉が刺された事件のあらましを栗尾から聞いているときの世田の思考です。
・【『AtU』第五章の2】刑務所の面会室での天羽と世田のシーンも、天羽の過去を知れば知るほど、救いを見出すのが難しいと感じます。
でも、そんな世の中でも、、、。
私は、下の二つのエピソードを見て、SOPHIAの『ビューティフル』や『-あなたが毎日直面している世界の憂鬱-』を連想しました。
https://x.com/kzt_Sophians/status/1800561152436633669
・【『AtU』第四章の4】で、過去には「綺麗事じゃん」と思いながら、絶望した日々を過去に持ちながらも、今は充実した日々を過ごしているという高梨真奈美。
・【『AtU』第四章の9】での、嫌がらせをしている人物に怒りをもちながらも、夫を守るためにAIアイコに対峙する須永綾乃と、それを理解する須永基樹。
三部作の最初から登場する3人。
それぞれの境遇や、それぞれが持つキズを抱えたまま、
それでも、今をより良く生きている姿を通して
秦先生の伝えたいメッセージを
すこーしだけ分かった気になりました。
↓SOPHIA『-あなたが毎日直面している世界の憂鬱-』
↓SOPHIA『ビューティフル』
もうラジオの収録は終わったのだと思いますが、
秦先生がSOPHIAの作品に触れたきっかけ、
『-あなたが毎日直面している世界の憂鬱-』を知ったきっかけが
知りたいなあ、と思いました。
SOPHIAとのコラボが無ければ、
こんなにも繰り返し読んで楽しめる作品に巡りあえなかったと思います。
この作品との出逢いに感謝です。
気になるところとか、あれもこれも…と書いたら
一万字を余裕で超えました。。。orz
何回かに分けて書いたので語尾などの文体が統一されておらず、最後にまとめて直したのですが…読みにくい文章ですいません。
最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。