「プロジェクトマネジメント」×「野球」
世の中には様々な”やるべき事”が溢れている。そのやるべき事を然るべき準備や手順(プロセス)で進めていく手法に”プロジェクトマネジメント”という概念がある。
あらゆる仕事に転用できるベースとなる概念・考え方だが、なんせとっつきにくくて分かりにくい。参考書を読んでもイメージもつきにくいし、頭に入ってこない。
そこでこのプロジェクトマネジメントを自分の大好きな”野球”というフィルターを通し、野球とのアナロジーを見い出しながら”プロジェクトマネジメント”を分解していく。野球というスポーツも、各自がそれぞれの準備や役割を正しく行う事で”試合に勝つ”というプロジェクトを遂行していると捉え置き換えれば少しは頭に入りやすいし、知識として定着するはずである。
苦手な食べ物を好きな食べ物と一緒に食べるように…
難解な用語を身近なものに置き換えることで覚えるように…
#2.プロジェクト・スコープ・マネジメント
プロジェクトは有期性を持つ独自の個性を持ったユニークな存在。
それゆえにやりたいことや叶えたいことを無制限に実行することはできない。だからこそ、その叶えたいことがらには”範囲を決める事”が大切。
その範囲を決めるのがプロジェクトマネジメントのスコープマネジメント領域の各プロセスである。
2.1:スコープ・マネジメントの計画
このプロセスはプロジェクトやプロダクトがどのように定義されて、妥当性が確認されて、その内容をコントロールしていくのかを文書化した「スコープマネジメント計画書」を作成するプロセス。
ちゃんと文書化しておく事でプロジェクト実行中にスコープクリープを発生するリスクを軽減できる。プロジェクトマネジメント計画書の骨子となる各種プロセス計画書の中で唯一2つのマネジメント計画書をアウトプットする。
<2.1:スコープ・マネジメントの計画(主なアウトプット)>
2.2:要求事項の収集
要求事項とはスポンサー、顧客、そのほかステークホルダーのニーズと期待を数量化し、文書化しておくことが大切。要求事項はWBSの基礎になる。
コスト、スケジュール、品質計画の策定及び調達は全て要求事項に基づいていることも重要なポイント。
<2.2:要求事項の収集(主なアウトプット)>
2.3:スコープの定義
プロジェクト及びプロダクトに関する詳細な記述書を作成するプロセス。要求事項を成果物に反映させていくことは重要ではあるが、特定された要求事項をスコープの定義プロセスでふるいにかけて、詳細なプロジェクトスコープを記述してゆくことがプロジェクト成功の鍵になる。
<2.3:スコープの定義(主なアウトプット)>
2.4:WBSの作成
プロジェクトを円滑に進めるためには「何をするのか?」を詳細に棚卸しをしてそれらを適切に管理していく必要がある。
そこで重要なのがWBS(Work Breakdown Structure)である。プロジェクトの作業をワークパッケージと呼ばれる単位まで小さく要素分解して扱いやすくして管理する。
<2.4:WBSの作成(主なアウトプット)>
ローリング・ウェーブ計画法
現時点では上位レベルのWBSにとどめておき、成果物が明確になってきた段階で詳細なWBSを作成していく(段階的にWBSを詳細化していく)
ワーク・パッケージ
階層化された構造の最下位レベルのWBS要素のこと。
スケジュール、コスト見積り、監視、コントロールの対象となる。
2.5:スコープの妥当性確認
完成した成果物を”正式”に受け入れるプロセス。ここで作成された成果物が顧客やスポンサーにとって満足のいくような形で完成したことを確認する。
”スコープの妥当性確認”と”品質コントロール”の違い
<2.5:スコープの妥当性確認(主なアウトプット)>
2.6:スコープのコントロール
プロジェクト・スコープとプロダクト・スコープの状況を監視し、スコープ・ベースラインへの変更をマネジメントするプロセス。
<2.6:スコープのコントロール(主なアウトプット)>
”スコープマネジメント的”プレイヤー
スコープマネジメントというプロセスで非常に重要なのは”何をどこまで準備するのか?”また”様々な状況・要求に対してどういう手段や策を講じるのか?”という見通す力が非常に重要である。
その”見定める力”に加えて”準備力”を兼ね備えた存在をプレーヤーに置き換えるならば、現役選手では無いが古田敦也(元東京ヤクルトスワローズ)、谷繁元信(元中日ドラゴンズ)あたりを思い浮かべる。
二人とも扇の要としてそれぞれのチームで黄金時代を築きあげたレジェンドキャッチャーである。勝利を掴むということに対してのやるべき”スコープの設定力”は歴代捕手の中でも稀有な存在であると思う。
古田敦也(元東京ヤクルトスワローズ)
谷繁元信(元中日ドラゴンズ)
次回は「#3:スケジュール・マネジメント」