「プロジェクトマネジメント」×「野球」
世の中には様々な”やるべき事”が溢れている。そのやるべき事を然るべき準備や手順(プロセス)で進めていく手法に”プロジェクトマネジメント”という概念がある。
あらゆる仕事に転用できるベースとなる概念・考え方だが、なんせとっつきにくくて分かりにくい。参考書を読んでもイメージもつきにくいし、頭に入ってこない。
そこでこのプロジェクトマネジメントを自分の大好きな”野球”というフィルターを通し、野球とのアナロジーを見い出しながら”プロジェクトマネジメント”を分解していく。野球というスポーツも、各自がそれぞれの準備や役割を正しく行う事で”試合に勝つ”というプロジェクトを遂行していると捉え置き換えれば少しは頭に入りやすいし、知識として定着するはずである。
苦手な食べ物を好きな食べ物と一緒に食べるように…
難解な用語を身近なものに置き換えることで覚えるように…
#1.統合マネジメント
統合プロジェクトマネジメントは「プロジェクトマネジメント・プロセス群の各種プロセスとプロジェクトマネジメント活動の特定、定義、結合、統一、調整などを行うために必要なプロセス及び活動」と定義されている。
資源の配分、競合する要求のバランスをとる、代替手法の検討、プロジェクト目標を達成するためのプロセスのテーラリング、そして、知識エリアにまたがる相互依存関係をマネジメントすることが重要である。
唯一全てのプロセス群において個別プロセスを抱える知識エリアである。
1.1:プロジェクト憲章の作成
プロジェクトの存在を正式に認可し、プロジェクト活動に組織の資源を適用する権限をプロジェクト・マネージャーに与えるための文書を作成するプロセス。
”ベネフィットマネジメント計画書”と”ビジネスケース”
プロジェクト憲章作成の前にも、プロジェクト目標と事業目的への貢献方法を示す重要な文書が2つ存在する。
それが【ベネフィットマネジメント計画書とビジネスケース】であり、これらは”プロジェクト外(=プロジェクトスタート前)”に作成される。
<1.1:プロジェクト憲章の作成(主なアウトプット)>
1.2:プロジェクトマネジメント計画書の作成
全ての補助計画書を定義し、作成し、統合し、調整するために必要な行動を文書化するプロセス。各知識エリアで作成される「◎◎マネジメント計画書」は全てこのプロジェクトマネジメント計画書を構成する補助計画書となる。
プロジェクトマネジメント計画書は承認を受けると”プロジェクト・ベースライン”となり、この計画書の更新には公式な統合変更管理プロセス(CCB)を通じてコントロールされることになる。
<1.2:プロジェクトマネジメント計画書の作成(主なアウトプット)>
1.3:プロジェクト作業の指揮・マネジメント
プロジェクトマネジメント計画書で定義された作業をリードし、遂行し、また承認済み変更を実施するプロセス。
3つの”変更要求”
プロジェクトを進行していく上で”変更要求”が発生することは免れない。ただしその変更要求がどういった性質のものなのか?は正しく抑えておく必要がある。以下が3つの要求事項の説明となる。
是正処置:将来の結果と計画を一致させるための変更
予防処置:将来問題が起きることを未然に防ぐための変更
欠陥修正:既に発生した欠陥を修正するための変更
これら変更要求は「実行」「監視・コントロール」の多くのプロセスからアウトプットされ、統合変更管理(CCB)のインプットになるものである。
<1.3:プロジェクト作業の指揮・マネジメント(主なアウトプット)>
1.4:プロジェクト知識のマネジメント
プロジェクトの目的を達成し、組織としての学習に貢献するために既存の知識を生かし、新しい知識を創造するプロセス。要するに”過去の教訓を未来に活かすため”の活動のこと。
「暗黙知」と「形式知」
新しい教訓や知識を創造してゆくためには2つの知識をマネジメントしなくてはならない。その2つの知識が「暗黙知」と「形式知」である。
いずれもどちらか一方ではなく2つの知識の特徴を理解しながら、いかに「暗黙知を形式知化して他人と共有・知識統合をしていけるか?」が重要なポイント。
<1.4:プロジェクト知識のマネジメント(主なアウトプット)>
1.5:プロジェクト作業の監視・コントロール
プロジェクトマネジメント計画書に定義されたパフォーマンス目標を達成するために全体的な進捗状況を追跡し、レビューし、かつ報告するプロセス。
<1.5:プロジェクト作業の監視・コントロール(主なアウトプット)>
1.6:統合変更管理
全ての変更要求をレビューし、承認し、そして成果物・プロジェクト文書、及びプロジェクトマネジメント計画書などへの変更をマネジメントし、決定事項を伝達するプロセス。
プロジェクトのベースラインが確定したらそれ以降変更要求などが発生する場合はこの統合変更管理プロセスを経て承認または却下される。
<1.6:統合変更管理(主なアウトプット)>
1.7:プロジェクトやフェーズの終結
プロジェクト、フェーズ、または契約上の全ての活動を完結させるプロセス。全部で10個ある知識エリアの中で終結プロセスがあるのはこの統合知識エリアの【プロジェクトやフェーズの終結】プロセスのみ。
このプロセスを経て一つのプロジェクトが終結し、次の新たなプロジェクトのために確保されていた組織内資源も開放される。
<1.7:プロジェクトやフェーズの終結(主なアウトプット)>
”統合マネジメント的”プレイヤー
統合マネジメントという知識エリアを見てきたが、その役割はプロジェクトを成功させる上では非常に重要なポジション・存在であることは理解できたと思う。さて、それを”投手”という野球上のポジションに置き換えてきたわけだが、実際のプレイヤーとしてみた場合、誰のイメージだろうか。
勝利を掴むというプロジェクトを成功させる上で必要なグランドの中心に立ち、常に冷静な視点を持ち、ゲーム前から最高の準備をして試合に臨み、いざ試合が始まれば、自分の能力を存分に発揮して打者の反応を見ながら駆け引きして相手を翻弄していく。
まさに”絶対的エース”と呼ばれる存在が頭に思い浮かんでくる。そして、その代名詞でイメージするのは菅野智之(読売ジャイアンツ)や山本由伸(オリックスバファローズ)あたりだろうか。
菅野智之(読売ジャイアンツ)
現代プロ野球の中において”ミスターパーフェクト”と言っても過言では無い能力を有し、まさに試合を”統合的に管理・支配”している印象。
山本由伸(オリックスバファローズ)
ここのところ急激にその能力で日本プロ野球界を席巻している次世代日本を代表する若きエース。ストレートとスライダーの質は一級品で”試合を支配”するコツを心得ている。
次回は「#2:スコープ・マネジメント」