生きるべきか死ぬべきか

シェークスピアで有名だが、映画の話だ。

WikiPediaによると1989年に日本で初公開されたらしいこの映画は世界では1942年に公開されている。なぜかくも長きにわたり日本で公開されていないかは自分には定かではないが、おそらく当時の世界情勢と無関係ではないのだろう。僕がこの映画を知ることになるのは当時リュミエールという季刊の映画雑誌の編集長であり東京大学で仏文の教授であった蓮見重彦の雑文を読んだ影響であることは間違いない。

蓮見先生の文体を少しだけ真似をしてみた。似てないかもしれないが、雰囲気だけ感じてほしい。

この映画を、僕は自由が丘の映画館で二度観た。

初回は一人で観に行った。もしかしたら初日だったかも知れないがさだかな記憶はない。30年以上前の話なのだ。そしてその上映は僕の映画体験の中でも忘れられないものになった。映画館は始終爆笑に包まれたのだ。

観た方はご存知かと思うがこれはエルンスト・ルビッチによるコメディ映画であり、笑いがおこることに不思議はない。だけどここまで爆笑につつまれた映画は僕の60年近い人生でこれが一番である。自分が映画館でここまで声を出して笑ったことはなかった。

あまりに面白かったので当時勤めていた会社の同僚を何人か誘って次の週にもう一度観に行った。僕は二度目なのでそこまで笑うことはないだろうと思っていたが、映画館に爆笑は一度も起きなかったように思う。せっかく誘った同僚もそれほど感銘を受けなかったようだった。

同じ映画なのにここまで館内の反応が違うものなんだろうか。

今でも不思議に思う。そしてあの初回の爆笑にもう一度包まれたい。

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