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死期が知れたら
パワースポットだったり、目に見えないスピリチュアルを無意識に避けていたであろう自分にいい機会が訪れる。
『タロット占いで占ってほしい方!』
人様に占ってもらったこともないし、こういう世界に飛び込んでみるのもアリだと思い、すぐに連絡をした。
かと言って特に占ってもらいたいことも無く、どうしよう。
タロット占いに行き着いた人生への興味の方が強いけれど、絞り出した答えが
『自分の死期を知りたい』
そっちの方がワクワクするじゃん。ヨシ決まった〜
待ち合わせ場所に来た Hさん 40代 男性
大人の余裕を感じられる柔らかい笑顔の人がやってきた、
しかし持っている荷物がめちゃくちゃ大きい。タロット占いだけですよね・・・?
指定されていたカフェに一緒に向かう。しかし満員御礼。
以前もこんなことあったな。と思っていると、ではあちらのお店に行きましょうと
プランをすんなり変えてエスコートしてくれた。
「行ったことがないお店なので環境が分かりません」とHさんは言う。
大きめのテーブルや椅子があれば良いという問題ではなく、なんか磁場だったり目に見えないナニカに対して言っているのかな。しらんけど。
着いた場所はよくあるチェーンのカフェ、しかーしオープンしたばかりだったみたいで店内はとても綺麗。目に見える環境についてはカズマはもうすでに満足。というかほんとよく目にする景色。
大きめなテーブルに案内してもらい、対面で席に着く。
ふぅ、初めての占い。緊張するぜぇ。では、
はじめまして、カズマです!
「カズマさん、よろしくお願いします(目がキラキラ)」
タロットのゾーンに入ったのか、外を歩いてた時のHさんではない。
「では準備しますね」とHさんは大きなカバンをゴソゴソし、
真っ黒で大きな布を取り出し、テーブルに広げ、テーブルを侵食していく。
お?なんかはじまるんか?
と真横の席のサラリーマン方々も興味津々にこちらを見ている。
(・・ええ、見ていてください。私は今から死期を宣告されてやるんですよ!)
正面を見ると準備をしているHさん。そのHさんの背後には仕切りを挟んで、別の席があるんだけど、その仕切りから顔を出してこちらを見ているおばちゃんもいた。とても違和感だけれど、おばちゃん。見守っていてください。
this is タロットカードです。と見て分かるカードも姿を現して、
「では、カズマさん。占いたいことはなんですか?」
突然、怒号が店内に響いて、テーブル真横の通路をズザザーッとどこからか伝票がスライディングしている。何事でしょうか。
さっきから顔を出していたおばちゃんが何かブチギレていた。
「その女を帰すんじゃないわよ!」と聞き取れた。
おばちゃんが視線を送る先にはそれらしき女性もいなく、ただただ怖い。
店内は恐ろしいほどに静まり返っていて、Hさんがぼそっと
「二度とここには来たくはありませんね」と言った。
きっと、磁場とやらがブッ壊れていた。
人生初のタロットはカオスからスタート。
警察さんも登場し、なんだか騒がしい中、始まる。
「さて、何を占いましょう」
正直言うと、占いに関しては興味本位でした。ごめんなさい。
仕事、お金、恋愛に対して興味が薄いし思いつくことは自身の趣味や活動のこと。それと自分の死期についてです。
最近、自身に死期を設定してそれに則って創作活動をしている方を見て、
とてもワクワクしたんですと説明した。
「興味本位で来られる方もたくさんいますし、何も問題ありませんよ。こうして、足を運んで行動されることは素晴らしいです。ただ」
「死期を占うことはできません」
ピャー
なんとなくわかってはいたけれど。うん。
嘘でもなんでも良いから第三者から死期を伝えられたかった。その方が現実味増してワクワクできたなぁ。。
そんな自分勝手な要望は瞬殺されて、いよいよ何も無くなった。
今こうして自宅で占いでのタブーを調べていると
生死に関することを告げるのは医師法違反になるみたいで、なるほどだ。
その場でHさんは違反どうのではなくて、スピリチュアルなことを言っていたけれど、実際はこういうことなのか。ふむ。
「そういえば、カズマさん。劇団に所属しているんでしたよね?私も現在劇団で活動しており、今年で7年目になります。」
わあ!!
『もう、タロット占いはいいや!』と本題そっちのけでHさんへの興味が爆発し、
まるでカズマが占い師かのように質問をぶつけまくる状態になった。
これはこれでカオスで、なんのためにここに来たのかもはやよく分からない状態だ。笑える。
Hさんが所属する劇団は1000人規模のお客さんを相手にできるとても規模の大きい劇団だ。
動くお金も桁違い、コロナ禍で泥舟状態の劇団。立て直すまでの過程や、その劇団のトップである人物のブッ飛び面白エピソードなどのその劇団の裏話というかこういう場じゃないと聞けないお話を聞かせてもらった。
3月に大きな公演を控えているみたいで、バタバタだ。
そんな中、なぜタロット占いを?
「大きな目的は質問力を鍛えるためですね」
ほーう。スピリチュアルな要素が一つもない。何か献身的な背景があると偏見を持っていたけれど、何かしらを達成するためのツールとしてタロットカードを使っていた。
「営業をやっていた時期があり、その時にタロットを勧められ今となっては、これ以上質問力は必要ないと思っているのですがこうやって人との出会いもあるので趣味になっていますね。」
今まで何人ほど占ってきたんですか?
「修行として何人占ったら良いのかと占ったら、260という数字が出たので今日までで、260人以上は占っていますね。不思議な話なんですけど・・」と続け
「260という数字に導いてくれたカードに描かれていた金髪の女性に、見た目がそっくりな人とお会いしたんです。260人目に・・!」
・・・!
そうそう、そういうお話も是非聞きたかったんです。
現実的な話から急転直下し、
一気にスピリチュアルな世界に変わった。
いや、Hさんが実際に体験し、感じたことだからそれも現実的な話。
「その女性とは現在も関係が続いており、お互いに結婚はしていないのですが、いいパートナーです。」
はっきりと260人目はこの方です。というのもなかったのでどこまでがHさんの記憶に合っているのかは分からないけれど
そういった運命的と感じることが立て続けに起これば自分もそういったものをすんなりと信じてしまいそうだ。
「カズマさんは恋愛されていますか?恋愛事も占えますよ。」
あら、そうですか。では折角なので。
趣味に夢中になっているので、その中で心底気の合う人と出会えたら幸せもんと思っています。いつ頃に出会いがあるとか占えるのですか?
「恋愛をする気がないのなら、その通りになります。」
あら。
そこから自分の趣味を詳しく聞かれ、自転車から話が広がった。
Hさんは30代後半、ロードバイクで40日かけてアメリカを横断した。
その距離4000km。おっかない。
自分は300kmのロングライドで、もう二度とやりたくないと感じているから
4000km走破は想像もつかないや。
「水なんて見当たらない地獄のような砂漠地帯でしたが、真夜中。星空がとても綺麗でした」
Hさんが話していたここのフレーズが大好き。
地獄だろうと、美しいものは美しい。そう感じられるココロがステキ。
単純にその景色が頭に浮かぶし、その瞬間の心の動きが自分にも投影されてなんだかワクワクする。
Hさんは現在、会社員として属しているところはなく何かしらで自分でお金を生んでいるみたいだ。謎だ。
講演会でお話をされていたり、演劇、そしてタロットと。
パートナーも居てくれて、会社に属さなくともどうとでもなっている。
好きなことを好きなときに。好奇心尽きぬ生き方を心がけている。けれど、
このままでいいのだろうかと考えてしまうこともたまに訪れてしまう。
今回Hさんと出会ってお話をして、好き勝手が度を過ぎてもどうとでもなっている姿を見て自分の未来もなんとなく想像できた。
ババっと切り上げてしまいますが、
これもまた運命ということでよろしいでしょうか。
ではでは