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2021.05.17 福島県年縞博物館

2021.05.17_福井県若狭町

福島県年縞博物館/内藤廣/2018

全長45mの水月湖の年縞を湖の隣で展示、研究するための博物館。

浸水を防ぐために床を浮かせ、日光を遮りつつ風景とつながる軒の深い屋根をかけるという建築の構成。

地面の延長のようなRC躯体、
大断面ながら浮遊感のある木屋根、
両者の間を取り持ち、塗装や木抱き合わせによって相対的に背景化する鉄骨トラスと丸鋼柱。

柱と方立の分離、
カーテンウォール下端の処理、
軒先端の水平線、風景が透ける手摺子等、
水平方向を透明にしていくさまざまな操作。

他にも、
自然採光を基本とした外のような照明計画、
小休憩がてら湖を望めるベンチ、
展示室から屋外へと抜ける動線等、
計画全体を通して外の風景を体感させる工夫。


建築の構成の純度を一つひとつ高めていく緊張感が、建ち方と体験を通して認識される。

展示を見ることと同じ強度で、現在も年縞を堆積し続ける湖の風景へと意識が向いてしまうほどに、開放性のある博物館。

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