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僕が総合商社を辞めた理由。結婚はゴールではなく始まり。

「結婚はゴールではなく始まりです」って誰が言ったんだっけ?名言すぎるやろ。
そういえば、高校入学初日に担任の先生が「入学おめでとうございます。センター試験まで後1000日ですね。高校入学はゴールではなく始まりです。頑張りましょう。」と言っていたが、あれは名言ではないな。

ちょうど5年前の今頃、総合商社の魅力に取り憑かれ、最終面接で涙しながら思いを語り採用して貰った総合商社を昨年21年末に退職した。
どうしても総合商社に入社したいと誓った就活では、行きたい総合商社4社以外、エントリーしなかった。それ程までに総合商社に取り憑かれた僕が、総合商社を、しかも念願叶っての駐在任期中に、退職を決意するに至った理由を整理した。

総合商社を志望した理由

転職理由を語る前に、そもそも総合商社入社を志望した理由を纏めると、
新卒時代の志望動機は、「自身の圧倒的成長」だった。

理由を因数分解すると、
<①なぜ就職か?(他の選択肢は、起業や企業経営、個人事業主など)>
起業する実力も能力も無ければ、何より多くの学生同様に、やりたい事 に明確に気がつく事が出来なかった。
<②なぜ日系企業か?(他の選択肢は外資)>
単純に外資に関する知識が少なかった事が理由。当時は外資に入れるような英語力もなく、GAFAMなどへの就職もメジャーではなかったので、考えにも及ばなかった。
<③なぜ商社業界か?>
志望動機「自己の圧倒的成長」の達成可能性を考えた時に、総合商社が日系では1番だと自身で腹落ちしたからだ。
1 ) 成長:定義はシンプルに、出来ない事ができるようになる事。
2 ) 成長の方向:将来的に経営者になりたいと思っていたので、経営的な視点を含むジェネラリスト。
3 ) 成長因子:量と質。要は如何に量多く、質高く、PDCAを回せるかという視点。各種説明会や事業規模、OB・OG訪問を通して、総合商社は業務量も多く、幅広い知識が必要とされ、物を持っていないがゆえに質の高さを常に関係各位から求められると感じていた。

以上から、
経営者と業務で関わる事ができ、経営者視点やスキルが身につく職種で、
その為の成長が、量と質の観点で一番実現できる職種の答えが、僕には総合商社だった。

志望動機をお伝えしたうえで、転職理由についてお話したいと思う。

燃え尽き

入社後、希望した非資源トレードの部署に配属になった。希望理由は、世の中どこまでいっても、最終的には物やサービスの売買で収益を稼ぐことになる。売買=商売がビジネスの根幹だと思ったので、商売を最も濃く学べる部署を希望した。
配属組織の数字(決算的な)と人には本当に恵まれ、良き上司と数字の大きさのおかげで、4年半の商社生活の2年半近くを海外で過ごす事が出来た。
入社3年目までは我武者羅に働いた。頻繁に海外出張し、休日返上も苦ではなかった。
しかし人は慣れるもので、4年が過ぎた頃、日々の業務の中で新しい発見を多く見つける事ができなくなり、自分の中では刺激がなくなっていった。また、今後も部署異動を見込めない(可能性が高い)事を知り、将来30年にわたり、現配属の業界で勤務していく事は最善ではないと思った。
当然、まだまだプロではなかったと思うし、入社5年目のペーペーには変わりなかったが、僕が目指していたのは、ある業界・商材のスペシャリストではなかったという思いもあり、自分の中では"やりきった"という感情が生まれた。何より、慣れにより仕事をこなしてしまう様になった事に危機感を感じた。

自身の価値観との摩擦

僕はこの現象を、価値観のパラダイムシフトと呼ぶ。簡単にいうと、「自身の自己成長」が価値観だった僕の価値観が、「自分以上に、家族の幸せ」に変わっていた。結婚を経て、自分の価値観が変わることに気がついた。更に、コロナの影響で約2年間、新婚の妻と離れ、海外単身駐在をする事になった経験もおおきかった。自身のNew価値観では、家族との時間や幸せ、自身のプライベートを犠牲にして働く意味が理解できなくなり、耐えきれなくなった。
価値観は変化するものだ。日々不満や違和感を抱えながら、周囲の当たり前を自身の当たり前にしようと自身を洗脳して過ごしてしまいがちだが、自身の変化と、一番大切な物には素直であった方が良い。
価値観が何か分からなくても、心配ない。
人間は無意識に、価値観に沿って時間とお金を使う。

自身の目指すキャリア像とのギャップ

最後の理由は、転職先を決める際にも大きな判断軸になった。
僕は日本の将来に非常に強い危機感を抱いており、日系企業の駐在員ではなく、自分個人で、海外で仕事ができるようになりたいと思った。外資系企業の社員でも良いし、事業主でも良い。目指しているのは資本家だけど。
海外 x 資本家へ到達する為に、今の自分の価値観、スキル、興味と、社会的なトレンドを加味し、IT系の外資系日本への転職を決意した。
一方で、僕は今の会社にもずっと在籍するつもりはないし、常に目標実現の為にやるべきプロセスは明確にし、軌道修正を行っていくつもりだ。
当たり前だが、「海外 x 資本家」は手段でしかなく、僕のゴールではない。

ゴールではなく始まりです。

「結婚はゴールではなく、(2人の素晴らしい人生の)始まりです。」
「高校入学はゴールではなく、(大学入試の)始まりです。」
勝手に()で個人の解釈を入れたが、前者は状態を語っているが、後者は事象を語っている。ああだから違和感があったんだなと、僕は理解している。

目指すべきゴールは、常に「状態」だ。



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