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2024年JFL前半戦を振り返って

2024年は国体での青年男子のサッカーが開催されず(1年おきで今年は女子が開催)8月に(本来なら)公式戦はない。選手とスタッフを短いが夏休みを取り、身体とメンタルを整えてから練習に戻ってくる予定だった。
しかし7月6日に行われた15節(新宿戦)では雷雨に見舞われ試合は中止。再試合は8月18日と決定。その結果、選手とスタッフの休みは半分に短縮されて3日ほどしか取ることができなかった。
この新宿戦は前期の最後の試合ではあったが、7月20日から8月18日までの中断期間に振り返りをしたいと思う。後期にあたる16、17節まで含めた振り返りにするので厳密には「前半戦」ではありません。

4連敗からのスタート


3月30日に開催された4節まで連敗。5節に横河武蔵野FCに辛勝するも10節まで1勝3分6敗という成績で16位(最下位)に居座ってしまった。
プレシーズントレーニングマッチでは下位のカテゴリーのチームにもほぼ勝てない状況で開幕を迎え、そもそも不安要素がいっぱいだった。
しかし冷静に振り返ると栃木シティFCに1−3で負けた試合を除くと負けても1点差の試合結果だ。

栃木戦は1−3で敗戦


思い起こすと昨年度準優勝をした後に、ベテラン選手がものすごく不安を感じて監督に話をしに行ったことがあった。曰く「若手の選手たちが『JFLやれるじゃん』と言っている」と。これに危機感を抱いた監督からメンタルトレーニングのリクエストが来たわけだが、一度思い込んだ気持ちはなかなか修正できないようだった。主力選手3人(いずれもディフェンス)が去り、メンタル的にも再度やり直しの感がある中で開幕をして、昨年後半のような試合運びはできていなかった。

ディフェンスの補強

年が明けてから慌ててディフェンスの補強を図ったのだが、残念ながらベテランの選手を獲得することが出来なかった。全国遠征などで財務的に苦しかった2023年、さらに強化部長を兼任していた村田の退任などがあり、予算的にもネットワーク的にも厳しかったのだ。
一方で若手の守備的選手を相次いで補強することが出来た。松本山雅FCから若い志村選手を期限付き移籍で、大学卒の3名のセンターバックの補強も出来た。
結論から書くと、この若手選手たちがレギュラーに定着するのに時間がかかったわけだ。決してレベルが低いわけではなく、JFLに慣れることや浦安の3バックの戦術に頭ではなく身体で対応できるまでに時間がかかっていたのだ。
都並監督はこれらのディフェンスの選手たちを、極端な言い方をすると毎試合のように入れ替えて試していた。自分の考えている動きができないと、練習で動きの良かった他の選手を起用する。そんなことでディフェンス陣の定着をすることができない。

天皇杯本戦での敗戦

そして天皇杯本戦でJ3ヴァンラーレ八戸に0−2で敗戦。昨年はJ1横浜Fマリノスに負けたが善戦をしたことが転機になった。今年も違う意味ではこの試合が転機になった。

厳しい試合だった


昨年は善戦と書いたが今年の天皇杯は良いところがあまりない、負けるべくして負けた試合。都並監督は試合後に「守備の甘さ」を挙げていた。
その一方で収穫もあった。大宮アルディージャに移籍することとなったFWのオリオラ・サンデー選手をルーキーの寺田選手が完全に封印した。
また敗戦にこそ学ぶことは大きく、選手もより真剣にサッカーに向き合うこととなった。

勝利が出始める

11節のレイラック滋賀戦(ホーム)で勝利をしてから5勝1敗というのがここまでの結果だ。

苦しいトンネルを抜けた試合(滋賀戦)


クリアソン新宿戦が中止となったため暫定順位ではあるが12位まで浮上した。
いったい何が変わったのか?昨年はそれがはっきりとわかっていたのだが、今年は少し分かりずらいが多分こんな理由だ。
まずDFの選手が定着し始めた。先の寺田だけではなく、怪我から復帰した笠嶋が安定した守備を見せている。
守備に少し不安のあったサイドの選手たちが守備力を整えた。特に左サイドに定着している菊地の力は大きい。シーズン前は守備の弱さを指摘されていたが、努力でしっかりと改善した。これも日本代表、狂気の左サイドバックであった都並の指導の賜物だろう。

スターティングに定着した菊地


シュートチャンスはあっても外しまくり、他の選手からは「シュート下手」と言われていた東が、突然開眼してチームトップの得点力を誇るようになった。なんでだろう、今度本人に聞いてみたい。
その最たる試合は1775名を集めて行われたミネベアミツミ戦でのアディショナルタイム2分のゴールだ。後半45分に村越のシュートで追いついた浦安。大応援団が盛り上がっている中での劇的ゴール。今年一番の忘れられないゴールになるのではないだろうか。

東(11番)の劇的ゴール


他にも勝ち進むにつれて力を発揮し出した選手たちがいる。小島はその最たるものだ。中盤で相手ボールを奪って一気にカウンターに転じる契機になっている。またジョニーがメンバーに定着して力を発揮し出した。
勝ち始めると自然とチームの和が出来上がって来ている。
しかし油断はできない。クリアソン新宿戦は39分で中断となったが一方的に押されていた。このまま続くと失点していたかもしれない。最下位であった新宿も最上位の高知も大きな力の差はないのだ。ちょっとした油断で試合はひっくり返る。

中断期間の移籍

この期間に移籍が行われた。
まずチームの主力である村越選手が同カテゴリーの栃木シティFCに完全移籍となった。J3クラブライセンスを持つ栃木は現在2位につけており、このままの順位以上を維持すると、条件はあるものの昇格の可能性が出てくる。その条件は観客動員数とのことだが、三浦知良選手が移籍したアトレチコ鈴鹿とのホームゲームを残しているので可能性は高いと思う。村越は栃木の昇格請負人的な役割として熱烈なお誘いを受けたわけだ。
なぜシーズン途中に移籍を受け入れたか不思議に思われたと思うので少し書いておきたい。
ブリオベッカ浦安はJ3クラブライセンスの所得が難しい。「一緒にJリーグを!」と選手を鼓舞することができない。
そのため上のカテゴリー(つまりJクラブ)から選手にお誘いがあった場合にはその決定を選手に委ねることにしている。JFLで活躍してJからのオファーを待つ、というのが選手のモチベーションの一つになるからだ。都並監督もその考え方を持っている。
ではなぜJFLの栃木か?一つは来年昇格のチャンスを持っていること。選手が移籍して昇格をさせることができたら彼にとって素晴らしい経験になる。
そして同じ関東リーグで戦ってきた良きライバルである栃木がJリーグ昇格を手中に収めることを応援したい気持ちもある。(これはあくまでも私見でチームのオフィシャルな考えではないことを断っておく。)主力選手全員がプロ契約の栃木に評価されたということは名誉なことでもあろう。
そんなことで決定は選手に委ねることにした。村越は相当迷った。彼が仕事をしているスポンサーでもある株式会社クラウディオの石川会長にも相談をしたようだ。結局リモートで仕事を継続できるという形で選手を応援してくれることになり、決断をしたようだ。あくまでも特殊条件が揃ったためと理解していただきたい。
彼の活躍に期待したい。

練習最終日に

次に受け入れ側の話だ。モンテディオ山形から阿部選手を育成型期限付き移籍で獲得した。
本来は村越のポジションの補強と思うところだろうが、実は村越の移籍が行われる前に決まっていた。得点力アップが目的だ。
阿部選手は恵まれた身体(身長185センチ)でトップを張れる。サイドからのクロスが多い浦安の攻撃パターンに見事にはまるはずの選手だ。
そしてこれも完全に個人的な理由だが「福島県人」なのだ。育成は福島ユナイテッド、高校は尚志学園(福島県郡山市)。チャンスがあったら福島弁で会話したい(笑)。
(写真はまだ撮影していません)
移籍のアナウンスはこちら

後半戦の見通し

つらつら書いてきたが後半戦の見通しは全く立っていない。期待を書くことにする。
<良いシナリオ>
中盤でボールを奪って一気に加速して攻撃に切り替えるという良い形が整ってきた。これは昨年調子がよくなってきた時に見られた形だ。シュート力が向上していれば得点が期待できる。
ディフェンス陣も連携がよくなり、またサイドの故障明けの選手たちが躍動すれば見ていてワクワク感のあるサッカーができるだろう。
スターはいなくてもチーム力のある面白いサッカーが持ち味だ。

<悪いシナリオ>考えたくないが
今年も故障者が多い。主力選手何名かが怪我で出られない、累積警告で出られない、ということが続くと簡単には勝てない状況に追い込まれる。
またGKは本吉選手一人のみが公式戦に出ている。登録上は4名のGKがいるため人数に不足はないが経験に課題がある。
前半のように負け込むとメンタル面でも厳しくなるかもしれない。

と書いてみたものの、実は期待感しかない。選手一人一人が自分のやるべきことを今徹底していればチームは強くなるはずだ。しかし優勝を狙うには勝ち点差が開いてしまっている。14試合で勝ち点23の逆転は現実的ではない。ただ脅かす存在にはなれるはずだ。
3位の三重とは勝ち点差が7なので、この順位は射程圏内と考えられる。

今年から全面的に採用しているセンサーによるデータ分析も経験を積めば試合に活かされるはずだ。

さて、本来前期の試合ではあるが中断明けのクリアソン新宿戦は8月18日に成田は重兵衛スポーツフィールド中台陸上競技で開催されます。
是非とも観戦いただきたく。ライブ放映もあります。



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