元担当クライエントに、ハッとさせられた一言
こんばんは。エスキノOTです!
冒頭にもある通り、最近ある出来事がありました。
私は現在回復期リハビリテーション病棟に所属しています。そこで担当させて頂いたAさん。身なりはキチッとしており、笑顔が素敵な方でした。週に一度は電車に乗り絵画教室へ、それ以外にも料理にゴミ出しなどの家事全般を行なっていました。かなり慎重な性格で、色々なことを考えてしまい、不安になることも多かったようです。
その方が脳血管障害を発症されました。
転棟時にはなんとか杖歩行は見守りで可能なものの、元々既往に運動器疾患を有していたため耐久性はかなり低い状態でした。
OTでは本人が気にされている書字や家事動作、階段などに着目し優先順位をつけて練習をしていました。
リハビリ中にAさんは「家に帰ってもできるか不安で」「何から手につけていいかわからないの」と何度も相談を受けながら、精神的支持、方向性や現状やるべきことの明確化などを実施していきました。
その間、野菜炒めをOT室で作ったり、ゴミ袋を両手に持ちながら家からゴミ捨て場までの距離を想定したIADL練習などを行ない、階段昇降も方手すり使用してリハビリ室の階段を1往復できるまでになっていきました。本人も「これならできるかもしれません」と話しており、私自身も「自宅での作業の難易度に対し、能力が追いついてきた。本人の自信にもつながってきているし、退院調整を進めても良さそう。」と判断していました。
しかし、感染症が流行りだした最中であったため、屋外練習や外泊などはできずに退院日を迎えてしまいました。
退院後のリハはSTのみ外来で行う予定となりました。
退院時には涙を浮かべて挨拶をして下さったことをよく覚えています。
そこから約3ヶ月が経過し、担当STからこんな相談を受けました。
「Aさん、なんだか元気がないみたいなんですよね。本人も体力がなくなってきたって話していますし、今度話を聞いてもらえませんか?」
私の心の中では
「自宅内を想定した練習もしたし、そこはできてそうかな。それか、屋外に出れてないことで社会との関わりが希薄になってきたことも関係してるかも?」と思っていました
が
実際にAさんと会って驚愕しました。
顔には元気がなく俯いており、明らかに入院時よりも活気がありません。髪もボサボサで白髪も増えていました。
そんなAさんから発せられた言葉にとても衝撃を受け、心臓の鼓動が早くなるのを感じました。
「あなたには色々とお世話になったわよね。お家のことも練習したし。あの時はありがとうございました。」
「けどね、お家に帰ったらやることがいっぱいなの。病院と全然違うのよ。ゴミを出しに行くのにも、道は荒れてるしとっても疲れるから今は行けてないの。」
「体力もまたなくなってきたし、なんだか疲れちゃって」
この言葉に愕然としてしまい、その後には何かを発することもできませんでした。
病院と違う環境、そこに適応できるのか、適応できるように最善は尽くしたか…
など後悔の念が溢れ出てきてしまい、泣きそうになってしまいました。
院内でできる範囲で練習したし、家に帰ればできるだろう、では通用しない
ということを痛感しました。
その方の病前の1日の活動量、院内での活動量とのギャップ
自宅での動作の未体験(自宅に帰った際の環境変化に適応できるのか、性格や症状を含め評価できていたか)
振り返りながら、上記のような事を考え
研鑽をやめてはいけない
同じ過ちは繰り返したくない
作業の評価をもっと細かく
と心に誓いました。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
こんな失敗談、皆さんも経験していますでしょうか?
誰かの役に立てば幸いです!
ありがとうございましたー!!