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【緊急レポート】Chia(HDDマイニング)

仮想通貨Chiaとは

日本のネットメディアでも大容量HDD品切れといった話題で一部報道されているようだが、HDDやSSDのストレージ容量を使って仮想通貨のマイニング(Chiaでは農業になぞらえてファーミングと呼ぶ)を行うChia(チア)という仮想通貨がネットを賑わせている。Bitcoin等の計算速度律速ではなく、ストレージ容量律速で通貨の有限性を担保する仮想通貨方式であり、Bitcoin等の方式が「Proof-of-work」と呼ばれるのに対し、Chiaは「Proof-of-space」という方式を提唱している。

Chiaを開発するChia Network社は、米国サンフランシスコを拠点とするスタートアップであり、創業メンバーにBitTorrentというP2P技術を開発した人物(Bram Cohen)や、PGP暗号を開発した人物(Gene Hoffman)が関わっている。

Chiaの本番サービス/取引開始に向け、週末を使って自宅の私物PC環境で実行を試してみるなど、取り急ぎ調査を行った。

Chiaの動作概要

仮想通貨Chiaの生産には大きく3段階の過程がある。

1)Chiaの苗の育成(Plotting)

一時領域に対する膨大なハッシュ計算(予想)の繰り返しで一時ファイルを生成膨大なライト/リードが発生するため、NVMe SSDが適し、Endurance(書き込み耐性)も要求される。農業で例えるとビニールハウスで作物の苗を育てるような過程に相当する。

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2)広大な畑への苗の植え替え(Farming)

一時領域に生成した一時ファイルを使って、大容量なストレージ領域に対して最終ファイルを生成する。大容量ストレージ領域は生成されたデータを保持するのみであるため、コスト($/GB)が重要であり、HDDが適する。ビニールハウスで育てた作物の苗を、広大な畑に植え替える過程に相当する。

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3)作物の収穫(Harvesting)

大容量ストレージ領域の各ファイルは、くじ引きのくじやビンゴゲームのビンゴカードのような存在であり、Chia Networkから定期的に当たりのファイル情報が配信される(最終ファイルのハッシュ値相当と思われる)。該当ファイルを保持しているノードが報償(Chia Coin)を得る。広大な畑に植え替えた作物が育ち、抽選番号の書かれている果実が実るような過程に相当する。最終ファイルの容量と抽選に当たる確率は比例するため、参加者は報償を得るためストレージ容量の拡大を目指す。当たり番号が出る確率を高めるため、作付面積の拡大を目指すことに相当する。(Chia Networkではノードのファイルデータを使って通貨生産や通貨取引の計算処理を行っていると思われる)

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一度最終ファイルを生成すれば、容量を増やさない限りファーミングの計算はしなくてよいため、電気消費量が少なく、環境にやさしいという利点がある。ただし、Chia Networkに対してストレージ容量をオンラインで見せておく必要があり、HDDは常時電源ONとしておく必要がある。

タイムライン


ベータ的な取り組みは2018年頃から始めていたようだが、報償や取引に使える本番NetworkであるMainnetというサービスが約1か月前の米国時間2021/3/19に開始され、次のマイルストーンとしては、Chia通貨の取引が米国時間の来週2021/5/3に開始されると予告されている。


最近の動向と今後の予定


まずは米国時間2021/5/3にChia通貨が取引開始された際、どのくらいの価格が付くのかが注目である。ビットコインでは最初(2010年頃)数セントであった価格が今年に入って5万ドルを超え、昨今ではアルトコインと言われる多種仮想通貨も数多く出現、コロナで緩和された資金供給過多な市場状態も手伝って活発に取引されている。また、NFTと言われるデジタル取引の媒体としても仮想通貨が使われるようになったり、テスラがビットコインを大量購入、ビットコインでテスラ車購入出来るようになった、Coinbaseという仮想通貨取引アプリの会社が4/14にナスダックに上場した、など、今年に入ってから仮想通貨関連の話題が相次いでおり、Chiaも時流に乗ったサービスインと言える。

また、Chiaファーミング用のアプライアンスやクラウドサービスをしようとしているスタートアップの存在も確認しており、ChiaファーマーをターゲットとしたEcosystemの拡大が急速に進むことを予測している。

マイニング関連各位におかれては引き続き調査を行い、最新情報の収集に努めると共に、是非実機環境での試行を強く推奨する。筆者も情報収集と取り急ぎ自宅ファーミング環境(主として自主研究用途)の整備を進めており、今後も情報シェアを行っていきたいと考えている。

情報訂正や補足、ご意見等あれば是非ご連絡よろしくお願いいたします。

Twitter:@kz_tomo


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