[Wizard]――『私が愛したヴィジュアル系』
〈1493文字〉
今回は、[Wizard]というバンドを紹介します。
シングルを入れると相当な量になるので、さしあたり代表作であるオリジナルフルアルバムだけ列記します。
2005.12.21 『ジェミニ』
2006.11.01 『Aquarius』
2008.02.03 『DIVINE』
2009.07.22 『Magic of the Seed』※メジャーアルバム
いや~、大好きなバンドです(笑)。
なぜか付けなくともよい『(笑)』が付くのは、このバンドのファンとの向き合い方がそうさせるのです。
なにせ、すごいキャラのメンバーがいらっしゃるのですから!
そして、彼、いえ彼女、いえ彼は、表現豊かな(芸達者な)歌声でありながら、小説家顔負けのとてつもない作詞センスの持ち主なのです。
※芸達者とは、芸術や遊芸の技能に熟達している人やその様のこと。
見た目に左右されず、まっとうに音楽を評価できる人に、ぜひとも聴いてもらいたいバンドです。
私はCDを買うと、アーティスティックな面を確かめるため、一度さらりとブックレット(歌詞カード)を見定めますが、曲を聴きながら歌詞を読むことしません(のちに確認することはあります)。正直、コレクター肌とは無縁の性格なのですが(中古で買ったものは、付属品は気にせず、歌詞が読めて曲が聴ければいいとだけ思っています)、ブックレットに指紋跡が付いたり、指の熱で変形したり、開き癖が付いたり、万が一机上にあった食べこぼしのせいで油分が付いたりと、自分の責任で汚れるのが嫌な性格なのです(最近はメジャーと遜色ないものも多いですが、昔のインディーズCDのブックレットは本当にちゃち……いえ、安作りのものもありますから)。
ですので、ほとんどの場合、ブックレットは数回見る程度でケースに収めたままです。
私は基本的に、曲を流し聴きながら、歌詞を聴き取る、ないしは憶測するように努めています(ですので、たまにびっくりするような聴き間違いをしていることもありますけど(笑))。
そんなわけで、いつものように流し聴いていたとき、彼らの歌詞にはよく
ハッとさせられたものでした。
『雪崩レ般若』を初めて聴いたときは、拳銃をこめかみに当てられ、撃たれましたね(さながらマトリックスで音もなく現れたトリニティに『よけてみな』と撃たれたみたいに)。
インディーズ時代のアルバムの曲数の多さや捨て曲が一切ないのも良心的なバンドの証しです(え~と、ここでは一旦『裏Wizard』のことは忘れましょう)。
古くからのファンなら、その誠実さから、メジャーでのちょっと冷たい売り方も、契約上の問題として許す気になれます。メジャーに行ったからこそ、あれだけ素晴らしい12曲を聴くことができたのですから。
メンバーチェンジ後の後期は、正直、それほど繰り返し聴いてはいませんが、kaitoさんが描く楽曲である以上、良曲なのは間違いないです。でも、何度も聴き直すのは、やはりファーストシングルからのメンバ―五人での楽曲です。
思い出しましたが、インディーズのシングル曲は、アルバムでは録り直していたり、アレンジが異なるものが多いのも、ファン思いのバンドであることの証しです。
そのことに気づかず、何年か越しに『nude baby』の『回り道。』を初めて聴いたとき、イントロからのカップルの戯言のあとに「アホか」とつぶやくセリフには、つい吹き出しそうになるとともに、ゾクゾクっとしびれました(笑)。
何かとせちがらいインディーズ業界において、こういった一般人には気づきにくい、些細な親切心が、ファン心をくすぐりますね。
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