[ANUBIS]――『私が愛したヴィジュアル系』
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今回は、ヴィジュアル系の王道からはちょっとだけ外れますが、知る人ぞ知るバンド(コンセプトユニット?)[ANUBIS]を紹介します。
この[ANUBIS]の系譜は、リーダーであるba.EMIRUさんの前身バンド[RIBBON]よりつながっているように私には思われます。
当時の曲を録り直したり、[RIBBON]として未発表だった曲を収録したりしていますからね。
2002.08.14 RIBBON『Beautiful & Resistance』
2007.05.28 ANUBIS『パピルスに描かれるラーの天秤』
2008.01.16 ANUBIS『オシリス法廷とスカラベの紋章』
2010.02.17 ANUBIS『MYTH -神々の調べ-』
2013.12.18 EMIRU『MYTH -遥かなる旅路- 第二章』
「とにかく聴いて!」として言えない自分が情けない……。
『MYTH -神々の調べ-』を初めて聴いたとき、他ジャンルのことをまるで知らない私には、とにかく前衛的な印象を受けました。
まさしく朗読劇とその劇中歌を聴いているような感覚になれるのです。
ヴィジュアル系サウンドで物語性を高めたアルバムはほかにもありましたが
(なんでもありのヴィジュアル系は音楽において最も先駆的なジャンルだと自負します)、ここまで物語性や組曲性に舵を切ったのは、このバンドだけだったように思います。
そして、これが劇と歌の絶妙のバランス、せめぎ合いのぎりぎりの到達点ではないかとも思われました。
聴いていただければわかりますが、『MYTH -遥かなる旅路- 第二章』の
「お戯れを」のセリフから続く『Thoth』の曲入りには、毎回背筋をゾクゾクっとさせられます。また逆に、先行シングルにもなった『亡き王女に捧げる雪の協奏曲 第1番イ短調 -ハトホルの角笛-』に続くからこそ胸を打つ朗読の箇所『世界の為に。-星落、再会の丘-』もあります。
いつか自分の小説も、こんなふうに物語調に朗読してもらい、山場ごとに内容と歌詞がリンクした劇中歌を歌ってもらえたら、この上ない幸せでしょうね。
時系列を戻して[RIBBON]についてですが、ミニアルバム一枚残して解散したこのバンドは、ヴィジュアル系好きのあいだでは、もはや伝説ですね。
ミニアルバムの最高傑作を選べと言われたら、私ならこの『Beautiful & Resistance』か、[Laputa]の『眩めく廃人』か、マイナーどころでは[Lucide]の『synthetic brain』を選びます。
とりあえず思い浮かんだだけで、他にも山ほどあるでしょうけど(笑)。
横道に逸れますが、もう何年も前、ノース天神(現ミーナ天神)のブックオフのヴィジュアル系コーナーを一通り眺め見ていたとき、女の子二人が隣のジャニーズコーナーに現れ、妹らしき子が、私がいるところの棚を見て、「ここ、な~に?」と姉に尋ねたところ、姉は「ここは格好ばかりつける人たちのコーナーよ」と言い残して去っていきました。
いつか姉には、自分の言った側がどっちなのか、気づいてもらいたいものです(笑)。
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