20年間待ち詫びた世界が目の前に。
WE ALL FEEL HIS STRENGTH OF TENDER
アルバムリリースから20年の時を経て、昨年『UNITY ROOTS & FAMILY , AWAY』の超濃縮ツアーが実現した。アルバムツアーを毎回丁寧におこなうGLAYにしては珍しく、2002年にこのアルバムがリリースされた当時は、ツアーをやっていなかったというのだから驚きだ。でも、20年経ってから刊行されたツアーは圧巻で、今のGLAYだからこそこのアルバムの持つ世界観を全面的に表現できるのではないかと思った。なぜなら、この楽曲が始まった瞬間に不意に涙が出てきたのだから。アコースティックライブ参加経験がない身としては、GLAYのライブで着席スタートの経験がなかったため、多少なりとも雰囲気に飲まれたところもあるだろうが、それにしても、圧巻の演奏で、歌で、アルバムが届けてきたメッセージを直接伝えてくれている事実に直面したら、もう涙を止めることができなかった。
弦楽器によって厳かにイントロが演奏され、その音に導かれるようにコーラス隊とGLAYがステージに姿を見せる。これまで何度もGLAYの登場シーンを見てきたが、「息を飲む」という表現がこれほどまでにマッチする状態に陥ったことってあったかなと思うほど、呼吸することも忘れてしまうような瞬間だった。
もともと壮大な楽曲であるなとは思っていた。音源は、ゴスペルとともに歌唱するTERUの伸びやかな声が収録されていて、天井が高すぎる教会のようなところか、人工物が全く視界に入ってこないような大地か、神聖さを感じずにはいられないようなところで演奏している絵が視界に飛び込んでくるような楽曲。アリーナとかに比べたら収容人数が少ない会場で演奏されているようには思えないほど、広がりがある。だからこそ、その壮大さが眩しくて、美しくて、それを目にしていることへの喜びが涙という形で外に出てしまったのであろう。
誰にでも歌える曲ではない。歌う人を確実に選ぶ。そして、歌うのに小さくない覚悟が必要だ。音を外せる状況ではない、だから胆力が求められる。そそして圧倒的な世界観やリスナーそれぞれが持つイメージがある、だからその最大公約数を表現するスキルが求められる。そういう意味で、だれにでも歌えるわけではない。
そんなハードルしかない楽曲をTERUが歌うとどうなるか、そう、その会場の中にイメージしている世界観を創り出すのだから、これまた涙もの。
今もそうだが、2022年TERUは絶好調。そのTERUが生み出す世界は、自分の中に持っていたイメージなんぞ、すぐに超越し、そこに彼が創り上げた世界をすっと見せてくれた。
20年待ってよかった。長くファンでいると、当時は思いもしなかった奇跡をたくさん見せてくれるな。
https://www.youtube.com/watch?v=DNARHDO1mOs