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恋に恋するきゅうり君

 24歳残り数週間という時期に、国産君(40歳)と出会った。
自動車会社で研究職をしている国産君、もちろん後々にきゅうり君が付けたあだ名だ。本名は知らない。人混みが苦手で列に並ぶことも苦手との事。
 国産君との出会いはゲイの出会い系のアプリで数回のメッセージのやり取りをして、ファーストフード店で食事をした。
 おそらく、異性愛者の方からすると、初デートでファーストフード?。高校生のデートもあるまいしと思われた人も多いだろう。でも、ゲイのアプリでの出会い。必ずしも良い人という保証もない、そして、15歳差でスタバなどのおしゃれな場所にいると浮くのである。知り合いに見られた時に言い訳ができる場所で、尚且つ会話が盛り上がらなくても、「お金使いすぎたー」とがっかりしないのがファーストフードなのである。(あくまでもきゅうり君の主観です。)

国産君にリードされてショートする

 きゅうり君の実家の最寄り駅で待ち合わせをして、近くのファーストフード店で食事をした。丁度時間的に込んでいる時間で、外を歩いている人から見えないような席は、勉強中の高校生グループが利用していた。自然と空いている席は入口に近い席となった。会話を楽しむというよりも、軽い自己紹介をして、お互いの趣味の話をした。人の出入りが多く外から見える席はゲイのデートには落ち着かない場所である。
 次のお店に行くかお開きにするか、どうするかという会話の流れになった。きゅうり君はもう少し話したい気分になり、素直にもう少し一緒に居たいと伝えた。「俺んち来る?どこも人多いし」こんなよくあるセリフでヒョイヒョイついていくことにしたきゅうり君なのである。それだけ見た目はタイプだったのである。そして、電車で10分ほどの移動中、席は空いていたが、お互い座ることもなく、扉の近くに立っていた。きゅうり君は電車での通学や通勤に慣れていたのだが、不意に電車が揺れたときに、国産君が腰に手をまわしてくれた。それで心が完璧に落ちてしまった。もちろん体重は吊革につかまっていたので、国産君は手を添えてくれただけなのだが、一度心が落ちてしまうと、相手の「素敵な所だけ見える色眼鏡」をかけてしまう事となる。

棚右側の余白

 国産君のマンションの脱衣所と寝室。少し寂しい印象を受けたことを今でも覚えている。白を基調にまとめられた、シンプルな部屋。脱衣所の棚すべての右側にきれいに余白があった。直感的に誰かの荷物がここにあった事を感じられる空白感だった。
 お風呂上り、初対面の人と体の関係を持つなんて思いながら、国産君と体の関係を持つこととなる。ほぼ、一目ぼれのような関係だが、時折正気に戻るときもあり、行為中も、「何やっているんだろう、計画的にスパダリ探すはずなのに」と思う場面もあった。
 しかし、不思議なぐらいに国産君との相性は非常にここと良かった。

次は自分が家族ポジションになれると思い込む

 図々しいくらいにピロートークの最中には、棚の余白について聞いてみた。国産君は6年間彼氏と同棲していて、終止符を打ったばかりだと教えてくれた。「もうね、6年間も一緒にいるとほぼ家族。。」そのセリフを聞いて、「今度は棚の余白を埋めるのは僕だ」と妄想を暴走させるのである。現在もだが、1年以上恋愛を継続させたことはきゅうり君には無い。だからこそ、一見すると軟派な印象のある彼も素敵だと思ってしまうのである。実際彼はイケメンである。きゅうり君は武井壮に似ていると思うし、それを伝えると職場でも武井壮に似ていると言われると笑っていた。
 それから、彼とはずるずると体を重ねる関係を半年ほど続ける。きゅうり君は意外と白黒はっきりつけたい性格の為、LINEにて「僕たちって、恋人なのセフレ」なのとはっきり聞き、セフレと言われ割り切って次に行く決意をした。その決意は豆腐なみに崩れやすいものであったが、頑張って別れを告げた25歳であった。
 

「豊さんがあなたに一度でも愛していると言った事はありますか」by映画サヨナライツカ 光子(演・石田ゆり子)

 国産君との思い出を友人と話していると、よく思い出すことがある。僕が大好きな映画「サヨナライツカ」である。きゅうり君はこの映画が大好きすぎて、大学時代の副専攻の社会学ゼミのレポートで、「中山美穂さん演じる沓子と石田ゆり子さん演じる光子」愛人と許嫁が初めて対面するシーンで、許嫁はどのようにして愛人に別れさせるように仕向けたかを分析するレポートを書いたぐらいだ。友人には、「めっちゃシリアスなシーン題材につかったな」と軽くひかれるくらいであった。副専攻のゼミは卒業には関係のない授業である為、最後はきゅうり君と教授しかいないゼミとなり、男2人でゼミ室で濡れ場がある映画を見ながらレポート報告をするのは少し滑稽だなと思うくらいであった。
 国産君には、頭をなでながら、「かわいいね」や「好きだよ」とは言って貰っていたが、愛しているとは一度も言ってもらった事はない。高校時代に出会った映画に失敗例を教えてもらっていたはずなのに、色眼鏡がかかると色眼鏡が外されるまで、すべて自分の都合よいように解釈されるという事を学んだ。

noteでは僕「きゅうり君」の17歳からの27歳までの恋愛と、
27歳から29歳までのリアルな恋愛は諦めて腐男子として生きている等身大の自分を日記を公開しようと思っております

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きゅうり
ゲイ・お見合い・HSP・ダブルワークなど社会的に見た時にマイノリティーな自分ですが、自分の日記を公開するイメージでnoteを書いております。 寂しい事や不安な事があっても、noteで誰かの心が笑ってくれると嬉しいです(*´ω`*)