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手紙

 はじめましての方もそうではない方もこんにちは。アイトピア通りで”きゅう“という障害福祉施設の所長をしています、北村誠悟と申します。

 先日、ひょんなことから、私が3歳の時に亡くなった祖父の名刺を貰いました。63歳で亡くなった祖父。私は全く記憶になく、遺影の中の人という印象です。私を抱っこしてくれている写真があるので、その印象もあります。名刺には「石巻小売酒販組合監事」と書いています。今でもこの組合はあるのでしょうか?

 祖父は、石巻の湊で「北村商店」という酒屋をしていました。酒屋は祖父が亡くなってから10年くらいの間は祖母がひとりで切り盛りしていました。私は小中学校のときは石巻に住んでいないので、今でも頭に浮かぶ石巻のイメージは祖母が切り盛りしていた酒屋のおぼろげな光景です。
 昔は日赤病院が湊にあり、そこに祖母とジュースの配達にいったような気がします。手前のコンビニにもよく行きました。信号を渡るとスーパーや肉屋、洋服屋、和菓子屋があったような気が…少し歩いて、右に曲がって少し歩くと北村商店です。その通りにも小さなお店がいくつもありました。そんな湊の風景も思い出せます。しかし、かれこれ、20年くらい前のことなので、はっきりとは思い出せません。とはいえ、何もかも忘れているわけでもなく、でも、大事にしている思い出というわけでもなく…なんとなく記憶にあるという感じです。

 景色は変わっていき、その度に、私の記憶の中の景色も薄れていきます。それが悪いこととは思いません。なんとなく切ない気持ちになりますが、思い出とはそういうものなのかもしれません。そうして、それが私の一部になります。
 祖父の名刺を貰うことがなかったら、湊の風景をこうして思い出すこともなかったかもしれません。過去から、手紙を貰ったような、そんな気持ちになりました。返すことのできない手紙ですが、大切にとっておこうと思います。

2020.10
きゅう所長の雑記 おれのがヤバイ

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