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2024ドキュメント島原学生駅伝
皆様いつも大変お世話になっております。
12月7日に島原学生駅伝が開催され、男子は志學館大学が初優勝、女子は福岡大学が10大会連続の優勝を飾り、今年も無事に幕を閉じました。今回は10月頃から島原学生駅伝当日までの期間に自分が何を考え、どのように行動してきたかを記録しておこうと思います。長くなるかもしれませんが良かったらお付き合い下さい。
学生にとっての位置づけ
私が九州学連主催の公式戦(九州インカレや全日本大学駅伝選考会など)の配信をさせていただくようになり4年が経ちます。4年も近くで大会を見ていると九州の学生長距離界のことも少しだけ詳しくなってくるわけですが、学生達のほとんどは1年を通じて個人の目標とは別に、「島原学生駅伝で良い結果を出すこと」をチームの目標として掲げています。
良い結果とは、もちろんチームによって違います。優勝を目指すチーム、8位入賞を目指すチーム、最後まで襷をつなぐことを目指すチームetc…
実力はさまざまですが、4年生やM2生がこの大会で引退という大学も多く、学生達にとっては特別な大会であることに間違いはありません。
高校生は島原学生駅伝を知らない!?
最近では学連主催の大会等で選手と直接お話しする機会も増えてきているのですが、その際に「島原学生駅伝という大会を高校生の頃に知っていたか?」とよく質問をします。すると大半の選手は「知らなかった」「名前は知っていたけど見たことはなかった」と答えます。
現役の大学生でさえそう答えるのですから、中高生が三大駅伝(出雲・全日本・箱根)と比べて島原学生駅伝に注目しているとは残念ながら思えません。
ただ島原学生駅伝は優勝すれば出雲駅伝に出場できる、全国に繋がる大会です。出場権を賭けた戦いは緊迫感があるし、「九州の箱根駅伝」と呼ばれるほどコースが起伏に富んでいて面白いし、地方の駅伝とは思えないほど質の高いライブ配信(長崎国際テレビ)までしてくれます。一度見てさえくれれば興味が湧くコンテンツなので、どうすれば中高生に島原学生駅伝を見てもらえるだろうか、そのことをこの1年間ずっと考えていました。
心強い味方の出現
今年は10月初めの段階で学連と配信するNIBの駅伝担当の方には「自分が調べたデータや情報は何でも好きなように使って下さい」とお伝えしていました。
趣味の延長である私とは違い、どちらのご担当も他の業務や学業をしながら年間を通じ大会のために多くの時間を費やしておられます。本当に頭が下がる思いです。
他にも大会のために影で力を尽くしておられる方が私が知っているだけでもたくさんたくさんいらっしゃいます。本当にありがとうございます。
私の役割は「日本で一番、島原学生駅伝のことを発信するおじさん」だと思っていますが、公式に情報発信されるXの島原学生駅伝アカウントやホームぺージの特設サイトとはより連携を深めたいと考えていました。
そんな中で今年の特設サイトの担当だった学連の松浦さんが例年以上に選手のことを調べ、さまざまな情報を発信してくれました。
私自身、拾い上げるには時間がかかるよなーと迷っていたデータなども先に調べて特設サイトに掲載して下さり、私もすごく助かりました。
11月には選手が出場する記録会の情報などを互いに共有するようになり、私が発信する必要もないくらいに選手のことを理解されていて、とても頼りになる存在でした。そのことが今年大会に関わる中で一番嬉しかったことかもしれません。
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全国に挑んだ三つの大学
島原学生駅伝に向けての発信とは別に、10月には全国の舞台に挑む鹿屋体育大学、鹿児島大学、福岡大学の3チームを独自に取材し、YouTubeで紹介をしました。
私が取材して動画を出してもほとんどの人の目に触れないことは百も承知です。しかし全国へ向けて発信すること、それを継続させることが大切だと信じ、全国の舞台で戦う九州の大学のことを少しでも知ってほしいという思いを今年は動画という形にしました。
まず出雲駅伝に出場した鹿屋体育大。部員数が決して多いわけではありませんが、各個人が自分のやるべきことをきちんと理解していて、お話を伺ってもどの選手も目的意識がとても高く、クレバーな印象を受けました。
特に主将の大園倫太郎選手には取材の窓口ととなっていただき数多く連絡させてもらったのですが、常に落ち着いていて礼儀正しく、メールの文面もとても丁寧で、社会人とやり取りをさせていただいているような感覚でした。
卒業後は実業団に進まれると聞いていますが、彼なら競技者としてはもちろん社会人としてどこへ行っても通用すると太鼓判を押せる選手です。
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次に取材したのが女子の福岡大学。九州長距離王国としての活動で初めて大学の広報課に正式に取材を申し込み、撮影をさせていただきました。名門ですし大学を通じての取材でしたので私自身かなり緊張しましたが、齋藤監督やキャプテンの末永選手をはじめ皆さんとても親切にご対応していただきました。
女子選手は部活で人間関係に悩むことも多いと聞きますが、福岡大は撮影の間もチームの雰囲気がとても良かったのが強く印象に残っています。
今年の全日本大学駅伝では年末に行われる富士山女子駅伝の出場権を得ることができなかったため、チームの5000m平均タイムを上げるべく11月はレースを連戦した福大チーム。疲れもあったはずですが島原ではベストメンバーを組んでA・Bと2チーム走ってくれました。福大にとってもまた島原学生駅伝は特別な大会。その気持ちが伝わり私はすごく嬉しかったです。
来年もう1度取材して、今度こそ全日本で目標を達成してほしい、という気持ちを島原終了後に改めて強く思いました。
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最後に取材したのが鹿児島大学。実は1年前の島原学生駅伝の時から当時の主将鶴田寛武選手には「大学に伺って取材したい」というお話をしていたのですが、今回私のスケジュールがどうしても都合がつきませんでした。
ただ選手の皆さんにやっぱりお話を詳しく聞きたい。
鹿大陸上部は全日本大学駅伝の大会前に新聞社などを表敬訪問されてはいましたが、大学で壮行会のようなことは特にしないということだったので、そこで考えたのが「オンラインで壮行会を行う」というものでした。
主将の梅橋選手とは事前に打ち合わせやビデオ会議ツールの「Teams」を使ってテストをするなどたくさんご協力をいただきました。
私が無知だったためTeamsと映像配信ソフトを上手に連携させられず、質の高い音声を出せなかったこともありYouTubeでの視聴数は伸びませんでしたが、オンラインを使ってチーム全員と話をするという試みは自分自身にとっても画期的で貴重な経験でしたし、突っ込んだ質問にも笑顔で答えてくれて、選手の皆さんとはとても楽しい時間を過ごすことができました。
私の企画を快く受け入れてくれた鹿大の皆さんには心から感謝しています。
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現地で何を伝えるか
10月は取材と動画編集、11月は各チームのデータ収集や大会の情報発信にほとんどの時間を費やしましたが、12月に入っても大会前日と当日に何をするかは実はギリギリまで決まっていませんでした。
昨年は前日に会場でインタビューという形で各チームに意気込みを聞き、それをYouTubeにアップロードしていったのですが、選手全員に集まってもらい動画を撮るのは時間がかかり選手に申し訳ないなという気持ちもあったので、今年は誰よりも早く現地に着いて、お会いした選手から承諾をもらい、個別に話を聞いてそれをXで「前日情報」として発信することにしました。
大会を占う中で選手の記録というものは事前に調べることができます。しかし選手が今どんな体調なのか、どういう過程を経て大会に臨むのか、目指すものは何なのか、は事前の記録だけでは見えてきません。そこを自分が直接聞き出し大会前日の選手の生の声を届けることで、見る側にもさらに深く興味を持って大会を観戦してもらえるのではないか、という思いが直前情報をXで連投した一番の理由です。
前日の朝8時半頃に前日練習を行う市営陸上競技場に着いて各チームの到着を待ち、最初に姿を見せた鹿屋体大の皆さんから練習の邪魔にならないようにしながら次々と声を掛けお話を聞いていきました。
現在の調子、レースでのポイント、気になる選手、明日への意気込みetc…
おひとりあたり1~2分程度でしたが、話し下手な私に対し全員がすごく丁寧に応対して下さいました。本当にありがとうございました。
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時間との戦い
約5時間ほど競技場に滞在して取材し、その後島原文化会館に移動して開会式に参加。そこでも競技場で会えなかった選手の方数名にお話を聞きました。タイミングが合わずお会いできなかった福岡大の男子の皆さんからは「取材を受けたい」とご連絡があり、宿泊先のホテルへ伺って取材をさせていただきました。これは本当に嬉しかったです。
この時点で時刻は17時30分。急いで宿泊先にチェックインし、取材した選手コメントをXに投稿していきました。
しかしこれが私が想定していたより遥かにしんどい作業でした
コメントを取る際は承諾をもらってスマホのアプリで声を録音していたので、それを再生しながら文字を起こしていったのですが、お話そのままを文章にすると長い文字数になるし、かといって言葉の一部だけを切り取ると選手の発言が見る側に十分に伝わらないことになるので、誤解を生まないよう要約し文章にするために、一人の選手コメントを投稿するのに何度も繰り返し録音を再生しながら慎重に文字にしてそれを投稿していきました。
前年のように意気込みを動画で撮影してYouTubeにアップロードするより時間はかからないだろうと思っていましたが、私の見込みは甘かったです。この日はコメントを取った選手全員分を投稿できないまま力尽きてしまいました。
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この頃には自分の文字を打つスピードの遅さに絶望していました
そして大会当日を迎える
翌日は4時過ぎに起きてコメントの投稿を再開し、全員分の投稿が終わったのが6時前。そこから朝食を取り、スタート地点の競技場へ移動しました。
本当は大会当日の予定として走る選手だけでなく、付き添いの選手や学連役員、大会関係者、応援の方など島原学生駅伝に関わるさまざまな人々にフォーカスし、
「島原学生駅伝の舞台裏」
と題して動画を制作しようと考えていました。
しかし当日の体調があまり芳しくなく(頭痛持ちでこの日は特に酷かったです)、何もかもが中途半端になりそうな感じだったので予定は諦め、前年同様男女のスタートと女子のゴールを中心に動画を撮ることにしました。
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本音は1区の選手が最終コールで襷を競技役員から受け取るシーンや、各選手のウォーミングアップの様子、それから女子のスタートとゴール、さらには女子の競技中に行われる島原市スポーツ少年団対抗駅伝の模様など、ライブ配信の本放送に映らない部分を私が配信してカバーできないかと思ったりもします。
しかし島原学生駅伝は九州学連と長崎国際テレビさんが長い年月をかけて大事に作り上げてきた大会。私のような人間がホイホイと簡単にお願いできるようなものではありません。
もっと大会の発展に関わり、信頼されるようになった時には、将来的にそういう配信をしたいと申し出てみようかなと思っています。
ゴール後の風景
女子が全チーム無事にゴールしたところを無事に見届け、男子のゴール地点となる島原市文化会館へ移動しました。
走り終わった後の選手やチーム関係者が続々と集まる会場は、戦況を見守る緊張感や走り終わった後の安堵感、チーム間で互いを称え合う姿など、様々な人間模様が交差し独特の雰囲気に包まれます。
大ホールではライブ配信のパブリックビューイングも行われ、今年はパンやおにぎりなどの物販もありました。何より走り終わった選手達を一番身近に感じられる場所なので、全国の駅伝ファンの方達にぜひ一度このゴール地点を生で見に来てほしいと思います。ゴールの瞬間やゴール後の光景は私にとって感動の連続です。
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志學館大学の底知れぬ強さ
優勝した志學館大学の中で、エースの中村選手には西日本インカレでインタビューをしたことがありましたが、他の選手にお話を聞くのは大会前日が初めてでした。前迫監督は「今回はとにかく無事にみんな走り切ってほしい」と終始謙遜しておられましたが、対照的に選手の皆さんは全員が「優勝」という言葉を口にし、他のどのチームよりも自信がある様子が窺えました。
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目指すものが他のチームとはレベルが違うと感じました
驚いたのは事前に試走をしていなかった点。
メンバー7名中5名が1年生のチームなので最後にコース経験の差が出ないかを心配しましたが、それは全くの杞憂で、1区の日野選手が区間賞を獲った時点で勝負あり。1区から4区までの連続区間賞は圧巻そのもので、コース経験がないことも変な固定観念にとらわれず逆に自分の走りに徹することができ、プラスに働いたと思います。とにかく現時点では他のチームとは力が違うと感じるほどの見事な圧勝劇でした。
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閉会式のあとに改めて選手の皆さんにお話を聞きましたが、優勝した喜びとともに来年の出雲駅伝に向けてはチームとして優勝、8位入賞、あるいは個人で区間賞と関東の大学に対しても高い目標を掲げて下さり、それが本当に頼もしく彼らなら達成してくれるのではないかと感じました。
来年の島原学生駅伝は、2位のチームにも出雲駅伝の出場権が与えられる大会になるのではないかと思うとワクワクしてきます。
志學館大学の皆さんのこれからの成長に大いに期待をしています。
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皆さん良い表情をしています
敗者に話を聞く勇気
良い結果を出して笑顔の多いチームや選手には声を掛けて話も聞きやすいわけですが、敗れたチームはやはり空気が重く、小心者の私は声を掛けるのを躊躇してしまいます。
実際昨年は個人に話を聞くことはできても、チームに全体にコメントを取りに行くことはできませんでした。
ゴールして間もないチームに対して「すぐ話を聞きに行くのは失礼だ」「そっとしといてやれよ」と批判されるのは当然のことで、私も心の底ではそう思っています。
ただ敗れた直後でしか表に出せない感情や言葉というものが必ずあります。それをその場で吐き出してもらうことは、選手自身が後から振り返った時に今後の競技や人生そのものにおいて決してマイナスにはならないのではないかと自分に言い聞かせ、今年は大会前に優勝を目標としていた2位~5位のチームに勇気を出して話を聞きに行きました。
後半追い上げた2位の第一工科大と4位の長崎国際大の皆さんは、悔しさを滲ませつつも自分の力を出せた選手も多く、来年に向けての力強い言葉も聞くことができ、悔しさと充実が入り混じった空気の中でお話を聞くことができました。
両チームとも4区5区の特殊区間に第一工科大は出水選手とサイラス選手、長崎国際大は久間選手と戸田選手と強い選手がいて来年もチームに残るので、さらに飛躍が期待でき、とても楽しみです。
一方3位の鹿児島大と5位の鹿屋体育大、今年全国の舞台を経験した2チームは、完敗と言えるレースで非常に空気が重たかったです。
裏を返すと島原学生駅伝への思いが非常に強く、どのチームよりも優勝を目指して努力を重ねてきたのだと思います。
唇を噛み締め、言葉を選びながら今の思いを伝えてくれた鹿屋体育大の皆さん、人目も憚らず涙を流しありのままの感情をぶつけてくれた鹿児島大の皆さんには申し訳ない気持ちとともに、取材を受けてくれてありがとうと改めてお伝えしたいです。
両チームとも今大会の悔しさを必ず来年力に変えてくれると期待し、これからの活躍を見守っていきたいと思います。
最後に
西日本インカレのあとに書いたnoteにも記しましたが、自分の活動の源は、
「九州の学生陸上を盛り上げたい」
ということ、
そしてもう1つ
「陸上を通じて地域に貢献したい」
というものであり、そのどちらにも関わることができる大会が
「島原学生駅伝」
です。
何の役にも立っていないことはよく理解していますが、毎年秋から冬の季節の移ろいとともに島原、島原と言い続け、学生達が「走って良かった」「最高の思い出になった」と思えるよう、これからも大会を応援して行きたいと思います。
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読んでいただきありがとうございました。