君と堕ちるまで°・*:.。.♡

普通の学生として、鬱々とした日々を過ごしていた少女。ある日、すべてに絶望し、自ら命を絶とうとするが、ふと考えた。「どうせなら、私を傷つけた人間たちを先に消してからにしよう」と――。

復讐に手を染め、殺害を犯した少女だったが、その現場を親友に見られてしまう。動揺し、親友すら殺そうとするが、親友は必死に少女を説得する。
「一緒に逃げよう」と。
親友は裕福な家庭の出身で、死体を隠す術を持っていた。こうして二人は、地下へと逃げる。

逃亡生活の中で、二人は穏やかに過ごしていた。だが、罪悪感は日に日に少女を蝕み、ついには精神疾患を患う。

――そして、ある日。

長く伸びた髪を、少女は無言でバッサリと切り落とした。
驚いた親友は戸惑いながらも、その姿に妙な感情を抱く。少女の新しい髪型は、どこか少年のようで、儚げだった。
(どうしてこんなに目が離せないんだろう……)
胸の奥が熱くなるが、その気持ちが何なのか、親友はまだ理解できていなかった。

やがて、少女の精神は限界を迎え、希死念慮に囚われていく。
ある日、ふと少女がいないことに気づいた親友は、靴も履かないまま、家を飛び出した。

「どこにいるの……!」

少女との思い出を頼りに、必死に探し回る。

――そして、たどり着いたのは、この街で一番高いビルの屋上だった。

靴下は真っ黒に汚れ、息を切らしながらも、親友は泣き叫ぶ。

「どうして置いていこうとするの……! ずっと一緒って言ってくれたよね!!」

振り向いた少女は、青白い顔で呟く。

「もう疲れた⋯ご飯を食べるのも、お風呂に入るのも、親友といるのも、⋯生きること全部が⋯。」

その言葉に、親友の胸が締め付けられる。

「そうだよね……しつこくくっついてごめんね。でも、いかないで……」

少女は無表情のまま、冷たい目で親友を見つめる。

「離して⋯⋯、!」

振り払ったその手から、ボロボロになったブレスレットが零れ落ち、屋上を転がっていく。

それは、かつて少女が親友にプレゼントしたお揃いのものだった。

少女の瞳に、かすかな光が宿る。

(……そうだ。親友は、ずっと私のそばにいてくれた。罪を犯しても、壊れかけても、見捨てずにいてくれた。)

少女は反射的にブレスレットを追いかける。

「危ない! それ以上行ったら落ちちゃうよ!!」

親友の声が響く。少女は一瞬、足を止めるが――

「ありがとう、親友…さっきのは嘘だよ。全部、私が悪かった。間違ってた…。」

そう呟きながら、再びブレスレットを追いかける。

親友は、焦りと恐怖で叫ぶ。

「私……少女ちゃんが今、死にかけてて言おうと思ったんだけど……私、少女ちゃんのことが好き。」

その言葉とともに、親友は少女を抱きしめた。

少女は目を見開く。

「……なんとなく、分かってたよ。」

だが、親友は首を振る。

「分かってないよ……なんにも。」

悲しげに抱きしめていた腕を下ろす。

少女は無言でブレスレットを追い、ついに端へと走り出す。

(もう少しで……)

だが、その瞬間――

親友の叫びが響いた。

「どうせ死ぬなら、そんなブレスレットより、私と死んでよ!!」

少女の手を、親友が全力で掴む。

「……なんで、そこまで?」

少女の声は震えていた。

「だから……好きだって。ずっと一緒にいたいって言ってるじゃん!!」

親友の叫びと涙が、少女の心に染み込んでいく。

(……あぁ、そうか。)

ようやく、少女は理解した。

「じゃあ……一緒に死のっか。」

――初めて、昔のような笑顔を見せて。

少女が親友の腕を引くと、親友は微笑み、力強く抱きしめた。

そして――

二人の身体は、夜の闇へと溶けていった。

ℯ𝓃𝒹

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