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桃栗3年くだらないこと続けて5年
「今日から暦のうえでは秋」
テレビニュースの言葉に耳を疑った5年前。私は反射的に“あーきー?”と叫んでいた。だってその日、8月8日は、まさに猛暑日。体温越えの気温に悲鳴をあげていたから。
二十四節気は中国の気候がもとになっており、日本で生活する私達にとって、若干季節のズレを感じる。なかでも、とりわけギャップの大きさを感じるのが立秋だ。
それでは……と、“暦のうえでは秋”に対して“実感としての秋”を個人的に決めてしまうのはどうだろう。5年前、そう思い立った私は毎年、20〇〇年【秋の始まりの日】を独断と偏見で決めることにした。
どうやって「秋の始まりの日」を決めているか?ここには、明確な判断基準がある。その年、初めての“さんま”(塩焼き)とシチューを夕食メニューにした日だ。いつだって私のなかで季節感は食べ物と直結している。
私の認識では、さんまが店頭に並び始めるのが夏の終わり。この時期のさんまはめちゃくちゃ高い!!特にここ数年は私の感覚では高級魚。バナナと鰯とさんまだけは味方だと思っていたのに……。
少しずつ値段も落ち着き始めて、若干高いけれど私の食べたい意欲が妥協できる価格と交わる点。丁度その日が秋の始まりだ。朝夕に少し肌寒さを感じて、ほっと身体を温めるシチューも食べたくなる。だから秋スタートのこの日は、さんまの塩焼きとクリームシチューがお決まりのメニュー。和洋ごちゃ混ぜでも関係ない。
ちなみに2024年秋の始まりは8月27日(火)。昨年2023年の秋の始まりと比べて2週間ほど早い。この5年間を振り返ってもかなり早い。実際、私がこのシステムを導入してから8月に秋の始まりを設定したのは今年が初めてだ。
理由は。先週の台風前に、スーパーでさんまが半額になったから。なんて曖昧な秋の始まり。でも、良いの。なんて言ったって“私の実感の秋”なのだから。
この5年間、夫には必ず堂々と「今年は今日から秋が始まったよ」と宣言するようにしている。でも、いつだって夫の答えは「へ~」の一言。夫は、もともと暦の概念や季節の行事にあまり関心を示さない。だから、特に疑問も持たず、「へ~」で終わり。
先週、妹から「今日寒いよね?」とLINEが来たので「おとといから秋がスタートしたからだよ」と、堂々と返信してみた。その返事も「そうなのか!」のみだった。あまり「秋の始まりって何のこと?」とはならないらしい。というか、まさか私の感覚の秋だとは思うまい。
だからこそ!
実は、秘かに楽しみにしていることがある。私から聞いた「今日から秋がスタートしたよ」って話を、夫が職場で同僚と話題にしてくれないかな?と。職場の人も「へ~」っと深くは掘り下げず、家に帰ってから「そういえば、今日秋が始まったらしいよ」と家族に話す。私の食欲を頼りにした秋の始まりが広がっていく瞬間だ。
なんてくだらない。でも、なんてワクワクするのだろう。この願望、実らないかな?
8月27日からスタートした2024年の秋。数日は、台風の影響で少し風が涼しくなったけれど、台風が去れば暑さはすぐに戻ってきた。それでも私は心の中で「いくら隠しても、もう秋がスタートしたって私は知ってるよ」と、1人ニヤついているのだ。
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