夫がいきなりテント買ってきた 【1】
「テントとタープとイス買ってきた」
秋の夕暮れ。
夫は“ただいま”の代わりに私へ、そう報告した。それはまるで「お土産にアイス買ってきたよ」と同じぐらいのノリで。
誤解を招くといけないので説明しておくが、私は夫のこんな性格が嫌いではない。むしろこんな彼だから結婚した。
結婚式の席次表【新郎新婦プロフィール】にも夫の好きな所を「少年のようなところ」と書いたくらいだ。
ただし、結婚してからだと話は変わる。なにせ生活が、かかっているのだから。恐る恐る「いくら？」と聞く私に、満面の笑みで夫は答えた。
「全部で5000円」
安っ！！
逆に心配だよ。
この日。夫は職場の先輩とキャンプに出かけていた。キャンプが趣味だという、その先輩は道具一式をそろえており（それどころか二巡目で各道具が2､3個あるらしい）「キャンプ関連の物は何もいらないから、寝る時のタオルケットだけ持っておいで」と、主人を誘ってくれた。
先輩曰く、初めてのキャンプは、ベテランキャンパーの友人に付いていくのが1番らしい。
荷物の準備、調理、片付け、道具の手入れなど、面倒な部分の負担もなく、キャンプの輝く面だけを存分に味わって帰れるからだという。
その先輩の計算通り。
いや、目論見以上。
大自然の中で釣りを楽しみ、慣れた手つきで魚を捌く先輩に憧れ、釣った魚の天ぷらなど、キャンプならではのご馳走に舌鼓を打った夫。良い面だけを十分満喫してキラキラ瞳を輝かせて帰ってきた彼は、足を踏み入れてもいないのに、既にキャンプ沼にハマっていた。
それはまるで、マリオカートでロケットスタートを決めるように。フラッグが上がる前から夫はAボタンを猛烈に強く押した。成功すれば“ヒャハハー”と飛び出せるが、失敗すれば大スリップである。
結果は吉と出るか凶と出るか。
聞けば、先輩とのキャンプ中、場内の広場でフリーマーケットが開催されていたという。キャンプを卒業する人、新しいギアを買った人が、まだ使える道具を安値で販売する催しだ。
今か今かと、ロケットスタートを決めようとスタンバイしている人がいれば、もはや買うのは必然。結果、冒頭の「テントとタープとイス買ってきた」である。
こうして突然始まった、我が家のキャンプライフ。実は今年8年目。
正直、「もう二度と行きたくない！」と思う時期もあった。それでも8年も続いているのは、結果的にキャンプの魅力に家族全員ドップリとハマってしまったから。
失敗も成功も含めた我が家のドタバタ、アウトドアライフ。それでも楽しむ、その様子を今後ちょくちょく投稿していく。
次回「キャンプデビュー大失敗」
お楽しみに✨
続きはコチラ⇩
『キャンプマガジン記事一覧』
①突然夫がテント買ってきた🏕️
②キャンプデビュー大失敗🔥
③キャンプに出かける理由🥾
④キャンプ場から夜間救急🏥
⑤7万のテントが欲しい夫💰️
⑥キャンピングカーレンタルした🚐
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