樹邦陽さんの『「少年A」予備軍だった私が伝えたい 親が子育てで絶対にやってはいけないこと』は衝撃の問題作
これはすごいことが書かれている――
こんばんは。
カーボです。
今日も本の紹介になります。
ふとしたきっかけでこちらの本を知ることになり、中身があまりに衝撃的だったので紹介したいと思います。
凄い内容になっています!
〇私は「少年A」予備軍だった――
印象的な書き出しで始まる本作ですが、著者はあの神戸連続児童殺傷事件の「少年A」の精神に共感し、「私は少年Aの予備軍であった」と告白しています。実際に過去に警察沙汰にはならなかったものの、事件を起こされています(ただ、著者の事件は神戸連続児童殺傷事件よりはるか前のことであり、実際の因果関係はありません)。
この本はサディズムの性癖を持つ著者本人がいかにそれを克服していったか、またはそれがいかに回避不可能であるか、という自伝的な面白さとそれを自己分析、客観的分析を行ったうえで親はどういう教育をしていくべきかという教育論の提案という二つの側面をもった本になっています。
どちらについてもかなり面白い作品となっています。
とくに著者本人の事件の「告白」については三島由紀夫の『仮面の告白』を思わせるような、文学的な色合いさえ感じます。
〇文章が面白い。
ベースとなる事件、告白の面白さ、教育論としての面白さもさることながら、文章がぐいぐい読ませるものになっており凄いです。俗にいう「文才がある」ということになるかと思いますが、久しぶりにびっくりしました。
著者本人がIQ135と書かれていますが、やはりそれくらいはあるのでは、と感じさせるような知性の高さがうかがえます。
〇事件の結末は? この本の結論は? 親が絶対にやってはいけないこととは
この本では著者自身が起こした事件の顛末とその後の人生、そして親として子育て経験をした実体験をベースに「親として絶対にやってはいけないこと」が語られています。
人として持って生まれた、または幼い時の事件がきっかけで培った性的衝動はその後の人生を決定づけ、本人も変えようと思ってもどうしようもないこと。このような性癖をもった人物は一定数必ず社会にいるということ。
そうなってしまった子供をいったいどうやって育てていけばいいのか、矯正する道は果たして本当にあるのか、少年Aの実例をもってしてもこれが困難な道であることは明らかです。
ここらへんは一時話題となった『ケーキの切れない少年たち』を思わせる出口のない迷路のような議論を思わせます。
著者の自身の事件の結末は? この本の結論は?
それは中身を是非読んでみてください。
内容も切り口も結論も面白く、とても考えさせられるものとなっていました。
では、また!