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トイレ動作に必要な認知機能のアプローチ起立・立位・下衣 〜トイレ動作の動作分析から情報共有までの流れを学ぶ〜

こんにちは、理学療法士の嵩里です。

以前のコラムで起立と立位保持、下衣着脱に必要な認知機能についてお伝えしました。
トイレ動作に必要な認知機能、下衣の着脱動作に着目して考える 〜トイレ動作の動作分析から情報共有までの流れを学ぶ〜

起立・立位保持に関する認知機能は「記憶、問題解決、視空間認知、計画能力、実行能力」、下衣着脱に関する認知機能は「視空間認知、実行能力、記憶」が関係しています。

その内容を踏まえて、今回は起立・立位保持、下衣着脱における認知機能へのアプローチについてお話ししたいと思います。

起立・立位保持

記憶

起立、立位保持やパンツを履く手順を一枚一枚のイラストにして、患者が順番に確認しながら行えるようにします。一連の動作を確認しながら繰り返し行います。ただし「足を引いてお尻を上げましょう」と伝え意識的に行うとかえって混乱してしまう方もいらっしゃいます。「立ちましょう」と抽象的に伝える方が動作がスムーズに行える方もいます。具体的な手掛かりの提示や環境の調整によって、手続き記憶が呼び起こされることもあるため、どのような関わり方や指示の出し方が良いかは色々試してみましょう。

問題解決

ナースコールを押さないで起立・移乗してしまう場合は視覚で確認できる「立つ前にナースコールを教えてください」などが書かれたプラカードを壁に貼ります。また1人で車椅子移乗をしてしまう場合は、車椅子の座面に置いて注意喚起を促すのも良いでしょう。

視空間認知

便座から離れた位置で着座してしまう場合は、手すり位置や床に目印を貼り、正しい位置で着座できるよう手掛かりを用意します。自宅環境を家族に聴取して、自宅と病棟の環境が出来るだけ乖離がないよう環境設定を行えれば理想ですね。

計画能力

トイレ動作の各工程を段階的に練習します。まず手すりを持つ、次に起立を行うといった手順を一つずつ練習します。手すりの位置でも縦なのか横なのか、右か左か、両手すりやプッシュアップなら起立しやすいのかは患者さんにより異なります。

実行能力

理学療法士や作業療法士が実際に動作を見せ、患者さんがそれを模倣します。実際に手すりを把持して見せたり、体幹前傾が不十分なことにより離殿が困難であれば、セラピストがお手本を見せます。

下衣着脱

視空間認知

ズボンの着脱が不十分な場面があるかと思います。声かけで注意を促したり、セラバンドなどを用いて視覚で確認しながら着脱を行う練習をします。またズボンは脱ぎやすい素材を選んだり、マジックテープを使用し着脱しやすいよう工夫する場合もあります。

実行能力

手すりを片手で把持する、もう片方の手でズボンを下ろすといった1つ1つの工程を分けて練習します。工程を書いたイラストを壁に貼るのも良いと思います。患者さんによっては、ズボンを片手で着脱する、手すりから手を離し両手で着脱するなど独自のやり方がある場合もあるため、観察することも必要です。

記憶保持

患者さんが行いやすい工程を評価できたら、同じ動作を繰り返し、定着を図ります。動作手順もですが、声掛けも短文で指示するか抽象的に説明した方が理解しやすいかは人それぞれです。動作と声掛け方法が評価できたら、毎回同じ工程でトイレ動作が行えるよう動作手順と声掛け方法を病棟と共有しましょう。リハビリ場面と病棟生活が同じ方法で練習できれば、患者さんも混乱なく動作が行えます。

まとめ

  1. 起立・立位保持、下衣着脱を困難としている要因としてどのような認知機能が影響しているかを考える。

  2. 指示入力の方法や動作手順は、過去の生活歴や動作方法も考慮する

  3. 動作が定着できるよう病棟との情報共有が重要

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