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中国がとんでもなく恐ろしいことになってる
2023年になって習近平氏が異例の3期目の国家主席となったのが春。過去の主席の鄧小平、江沢民、胡錦濤などは通例の2期10年の在任期間でした。3期目15年という期間を狙ったのは毛沢東なみの偉大な指導者になったという「驕りと自己満足」にこだわる習近平の人格を表していて「不快感と嫌な予感」がしていました。
その後のたった3ヶ月で嫌な変化が起こりました。
1. 長老派が習近平の独裁と粛清を批判したわけです。8月初旬の話です。習近平は反発。ここに党幹部内の内紛が表面化したと言えます。
2. 習近平が次々と自ら抜擢したロケット軍幹部や共産党幹部を粛清し出しました。これはクーデター計画が密かに練られていたことを想像させます。9月の南アフリカでのBRICS首脳会議のあとに北京に戻らずにウイグル自治区に降り立ち、公安部長に付き添われて専用列車で移動したということが報道されています。これは内紛が深刻化(特に人民解放軍において)した象徴と言えます。
3. とうとう不動産バブルの崩壊が始まりました。これは以前から指摘されてもいましたし、私自身も2003年に中国有価証券の適格外国機関投資家ファンドを世界初で作った時に、中国の銀行たちから不動産取引の仕組みを聞いていました。その頃からレバレッジだらけの危険な取引と思っていたのです。成長するときは早いけれど、バブルがはじけた時の崩壊スピードも早いと。実際にその頃、北京の役人たちは日本の役人や金融界の人間を招いて「日本のバブル事例」を熱心に勉強していました。私も簡単な意見を述べたこともあります。そのためいつかは、異常とも思える経済成長のカラクリは修正されてソフトランディングするのだろうと傍観していました(もともと中国の内政には興味がありませんでした)。大手デベロッパーの恒大集団や碧桂園の破綻は象徴的ですが、実際には至る所で民間マンションも開発がストップしゴーストタウン化しています。購入者たちはお金を払ったのに完成物件を手に入れることもできず、転売することもできず泣き寝入りです。国民の損失は取り返しがつきません。中国不動産の問題の本質であるにもかかわらず政治家も識者たちも見逃している重要な点は『中国の不動産に所有権はない』ということです。これについては別の記事で詳しく解説する予定です。
4. 輸出も米国の貿易制裁で稼げず、不動産も富を増やすどころか損失だけを増幅しているところで、習近平は「給与カットと3人子政策」を強要します。そして不満を持つ民衆を、文化大革命の再来とも言える「住民に警察権を与える住民相互監視システムを導入」したり、従業員や社外の暴徒に武力対抗する「人民武装部を国営企業の社内に続々と設立」しています。
習近平に反対意見をもつ幹部はクビにされ、長老派たちの諫言も無視して、不動産での損失での返金クレームや給与カットに不満をもつ民衆には、民衆同士で戦わせたり、企業内の武装部隊が武力で鎮圧する。そんな暗黒の社会にここたった数ヶ月で急激に変化していったのです。まさに「文化大革命の暗黒時代の再来」なのです。当時は紅衛兵と呼ばれる手帳を掲げた民兵が残虐な行為を繰り返して、1967年だけでも50万人が死亡したという推計も公表されています。共産党の歴史だけではなく中国という国の歴史においても最悪の「狂気の時代」だったと言えます。
10年ほど前の2013年8月に、元赤衛兵らの告白が仏AFP社の記事として掲載されていますので、一部を抜粋してご紹介します。
張赤兵(当時59歳)の告白:
”文化大革命によって過激化した10代の少年だったころ、指導部に批判的だった自分の母親について当局に密告したことで、2か月後に母親が銃殺刑に処された。”
40年以上にわたって罪の意識にさいなまれてきた張さんは自らの過去を世間に公表することで、中国の混乱の時代を覆い隠してきた沈黙に一石を投じた。
”あのころは皆がのみ込まれていて、たとえ逃げたくても不可能だった。私の中にあった優しさとか美しさといったものは徹底的に、取り返しがつかないほど『喪失させられて』しまっていた”
張氏は1970年に自分の母親が毛主席を批判したことを通報した。軍の当局者らが家にやって来て母に暴行を加え、連れ去った。しかし文化大革命が終わって数年後、政治の風向きが変わり、地元安徽省の裁判所は、張氏の母の有罪を取り消した。ただ張氏は自分のことを「決して許せない」という。
中国が急におかしなことになって、YouTubeでもそれを解説しています。よろしければご視聴ください。
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