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日本の危機(5):イスラエルは滅亡する?
しかし、イスラエルの暴走は終わっていない
9月27日、ネタニヤフが国連総会で演説を行ったが、多くの代表団が退場して反対の立場を無言で表明した。イスラエルとパレスチナの停戦交渉は単なる時間稼ぎで、ネタニヤフ演説の10日前の17日と18日にかけて、レバノンのヒズボラを狙ったポケベル爆弾で26人以上が死亡し、一般人を含む400人以上が負傷した。
このポケベルは台湾企業やハンガリー企業が製造したとされているが、搭載され使用された新型軍用火薬はわずか数グラムであり、サプライチェーンのどこかで火薬をセットされていても100g未満のポケベルであっても判別は難しい。最近ではドローン型攻撃機に搭載するために超小型マイクロ爆薬が開発されているという意見もある。余談だが、グローバルサウスは家電製品に至るまで西側諸国製とそのサプライチェーンの製品には不信感がつのり、いずれ不買運動が始まるであろう。
そんな中で、9月28日、ヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララ師と幹部が空爆を受けて死亡した。分厚い地下シェルターの壁をも突き破って爆発するバンカーバスターと呼ばれるミサイルをイスラエルはヒズボラ本部のあるビルに80発以上撃ち込んだ。
現状、バイデン大統領は何も決断する能力はなく、ネオコン派のブリンケン長官とさらにヒラリーの弟子のジェイク・サリバン安全保障担当補佐官が好き放題にできる野放し状態になっている。イスラエル・ロビーによって票と資金を牛耳られている与党の民主党上院は、この二人の暴走を止めようとも思わず、見て見ぬふりをしている。
シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授もコロンビア大学のジェフリー・サックス教授もこのイスラエル・ロビーの米国政治への影響力が元凶であることを認めている。
イスラエル・ロビーを支持しているのはユダヤ人が多い富裕層と共和党の支持団体であるキリスト教福音派である。福音派は聖書の予言通りとなることを信じており、イスラエルがパレスチナに完全帰還して、その後にイエス・キリストが復活して降臨すると考えている。結局、ユダヤ人はそのためキリスト教に改宗することになるのだが、まずはイスラエルがパレスチナの領土を完全支配することが聖書上必要な通過点と考えている。結局、三大預言書のひとつエゼキエル書ではユダヤ人はパレスチナを追放されるが、ロシアやトルコ、イランもイスラエルとの戦争で壊滅状態となることを示唆している。この文脈を福音派が信じているかどうかは定かではない。いずれにしても、トランプ大統領候補にとってみれば共和党のキリスト教福音派は最有力の支持基盤なので、イスラエル戦争については歯切れがよくない。
このような環境を巧みに利用して狡猾なネタニヤフ首相と極右幹部は、米軍すらもイスラエルの指揮下に入れて暴走を続けている。
一方で、ヒズボラ幹部を失ったイランは10月1日過去最大180発のミサイルをイスラエルのテルアビブに発射し、イスラエルと米軍は撃墜防衛を行った。イスラエルが誇るミサイル迎撃網のアイアンドームをくぐりぬけて、かなりの数のミサイルがイスラエル空軍基地に着弾した。イスラエルは報道統制を敷いてメディアで報道しないようにしているが、パレスチナ住民が撮影した着弾の動画がX上で公開されている。
ネタニヤフはトルコやエジプトに対してもイスラエルの射程圏内だと恫喝し、トルコのエルドアン大統領はイスラエルによる攻撃を世界に警告し非難している。全面戦争になればイスラエルと米国ネオコンの思う壺なのだが、どうなるかはまだ分からない。九兵衛が9月1日付動画「2024年のキモは9月と10月」で予想した通りの展開となってしまっている。
九兵衛はイスラエルは滅亡するのではないかと考えています
理由は継戦能力の力不足です。
アイアンドームが鉄壁ではないことが証明されたわけですが、核兵器を使えば、間違いなくイスラエルに核攻撃が行われます。核兵器を使わなくても、通常兵器で攻撃可能ということは長期戦になる可能性も十分あります。
この場合、イスラエルは無資源国家なので、石油やガスなどのエネルギー資源、食料や淡水なども不十分です。通常兵器の武器弾薬は米国からの輸入に依存しています。
これらの資源を調達する場合でも、世界中を敵に回して誰が提供するでしょうか?また、資金もありません。イスラエルの国債の信用格付けはジャンク(紙くず)レベルなので、海外からの資金調達もできません。
これらの状況は、米国政界に影響力を及ぼすイスラエル・ロビーの力も低下させ、国際世論にも配慮する政治家はイスラエル・ロビーを遠ざけようとしています。
すぐかどうかは分かりませんが、早晩そうなるだろうと考えています。