日本強化書:政治献金も政党も不要!(7)
今ある法律を一旦忘れて原点から考えましょう。
国会議員は国家という公のためにだけ働くべき。
法律については国家の維持や治安と国民生活と経済のために政策を立案し、新規の立法や既存法律の見直しを行う。
予算配分については、国と地方、公務員、政策に基づいた歳出、税と国債による歳入を計画し、配分を決定する。
行政については、最適な省庁構成を維持するため、国会議員が立法で組織を決定し、行政の執行については国務大臣の過半数は国会議員でなければならない。
首相は国会議員でなければならず、首相は国務大臣を任命できる。
政治活動には金がかかるが、それは歳費で支出される。
ここで素朴な疑問を列挙します。
1. 国家という公のためにだけ働き、その政治活動には報酬も経費も歳費で賄われるのに、なぜそれ以外にカネが必要なのだろうか?
国会議員という地位を得れば必要資金は賄えるが、その地位を得るための選挙資金や普段の政治広報や調査にカネがかかるということか?
立候補した段階での公費補助については「選挙公営」という制度がありカネのかからない選挙のため、そして候補者間の選挙運動の機会均等を図るために採用されている制度がある。
普段の政治広報や調査にカネがかかるのであれば、新たに毎年政治活動を行う一般人を登録申請させ審査の上で助成金を支給する仕組みを作れば良いのではないか?
そう考えれば、そもそも政党助成金も政治献金も不要である。
2. 憲法にも規定されていない単なる任意団体の政党がなぜ必要なのだろうか?
近年の欧米の政治哲学の学問で議論される政党の存在意義についての某論文を拝借して、以下の3つの存在意義を示します。だが基本的に弱いな。
集合的目標の達成:法案成立には多くの同意が必要だがその団結のための結節点として政党が必要。
熟議への貢献:政党は社会的に重要と思われる課題を設定し、賛否の論拠を提示することで熟議を可能にする。
公共的正当化への貢献:対立する複数の政党は正当化を充実するための対立的な議論を促す。
まず集合的目標という狭い概念は国民全体の公という広い概念の目標達成の後にのみ取り上げられるものでなければなりません。例をあげれば、消費税廃止という国民全体の公の利益があってはじめて、特定産業の法人税減税が議論できるというような形です。公の利益を無視して、特定の勢力のためにのみ利益誘導をするような行為があってはならないのです。国会議員の力が強かったから、地元に空港ができたとか、この業界にのみ補助金が付いたというような事例もあったようですが「利益誘導政治は公の利益に反する」ことになります。
熟議への貢献については、政党でなければ熟議できないのかと考えると情けない話です。熟議は国会議員の基本動作であって、政党が必要条件ではありません。
公共的正当化については、国会での議論でこそ正当化されるので国会運営の方法の問題です。
このように考えると政党の存在意義はほとんどないことが分かります。まして、最近では議員が超党派で集まって議論し、議員立法することも珍しくありません。このこと自体が政党が必要ないことの証明です。
3. 政治献金とは本質的には賄賂ではないのか?
そもそも論から言えば「政治献金の本質は賄賂」で「利益誘導という悪の産物」だと考えます。欧米でも政治献金の本質がポークバレル(樽詰めの豚肉:Pork barrel)と呼ばれて利益誘導と紐づいていたり、イアマークス(家畜の耳印:Earmarks )と呼ばれて特別な目的やプロジェクトのための予算割当目当てだったりと国民の不評を買っています。どんな言い方をしようが結局それは政治家の選挙資金や再選のための資金でしかないからです。米国では2010年にポークバレルが禁止されましたが、2021年にバイデン大統領が禁止を解除してしまい利益誘導の政治献金が復活し民主党政権が害悪をばら撒いています。
寄付か賄賂か?「直接の反対給付(見返り)がなければ寄付」と正当化している考え方がありますが、それは一般個人や企業が一般の団体や財団に寄付する場合。内閣府の解釈の「直接の反対給付」は「一般的に流通する商業的な価値のある物品やサービスを受けているか」としていますが、政治家が寄付を受けてハムの詰め合わせのようにお歳暮のような品物を返礼するはずもありません。つまり、政治団体に対する寄付はその要件では足りません。政治家は事業体ではないので直接の反対給付をすることはそもそもなく、非常に不透明な体裁である利益誘導が反対給付だからです。直接の反対給付がなくても利益誘導があれば賄賂と考える方が自然です。つまり、利益誘導があれば賄賂と考えるのが原則であるべきなのです。
しかし利益誘導の立件は難しく、結果から推定するのは困難です。そのため、どうしても政治献金という行為を認めるのであれば、資金の出し手への申告義務と行政による調査権が必要です。その調査は個人や法人を問わずにです。資金の出し手は場合によっては虚偽申告罪(軽犯罪)・贈賄罪・脱税に該当することになります。それくらい厳しい取り締まりが必要です。
4. 政党交付金も小選挙区のような選挙区も廃止すべき
2で述べたように九兵衛は「そもそも政党なんぞ不要!」という考え方です。DXを推進すれば、直接民主制が可能なのですから。政党の3つの存在意義もひとりひとりの国会議員の考え方がデータベース化されて、議員同士も国民も自由に検索できて集計できれば解決してしまうからです。
政党が不要ならば政党交付金も不要です。
また小選挙区のような政党の椅子取りゲームを前提にした選挙区制度も不要なのです。国はひとつなのですから、どの地域に在住している国民であっても国会議員の定数を自由に選べることが本来の姿だと考える次第です。
以上のように考えれば、政治の裏金も、政治献金も、政党交付金も、選挙区制度も廃止されて、さらに別記事に投稿した世襲議員も廃止されて、本来の民主的な国会議員選出方法により、正常な国会運営がなされると思います。
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