日米露三国軍事同盟(3):トランプ政権人事
さて、トランプ政権人事についてです。対外関係とネオコン・戦争に関係するところが気なりますね。
マルコ・ルビオ:国務長官。過去にはオバマ政権時にヒラリー、バイデン政権時にブリンケンが就任しました。その前はクリントン政権時にオルブライト、ブッシュ時代にパウエルやライス、トランプ時代にもポンペオです。
過去は内政干渉と軍事介入を繰り返しネオコンの巣窟のようなポストです。
マイケル・ウォルツ:国家安全保障担当補佐官。国家安全保障会議(NSC:National Security Council)を仕切る役割です。NSCメンバーは大統領・副大統領・国務長官・国防長官等に加えて情報関係アドバイザーとしてDNI長官も参加します。過去には、キッシンジャー、パウエル、ブレジンスキー、ライス、ボルトンなども務めました。
トゥルシー・ギャバード:国家情報長官(DNI:Director of National Intelligence)。米国には多数の情報機関が存在し、それらのインテリジェンス・コミュニティを統括します。CIAやFBI、NSA(国家安全保障局)、DIA(国防情報局)、NRO(国家偵察局)などの情報を一元化共有します。
ジョン・ラトクリフ:CIA長官。CIAはDNIの直属組織ですが、過去にはDNI長官にはお飾りを立てて国務長官やNSCの威光のもとに、内政干渉の実行・紛争の種まき・相手国でのデマ流布やデモの煽動まで行ってきました。
ピート・ヘグセス;国防総省長官。CIAとともに機密情報収集で欠かせないのがペンタゴンです。機密情報の8割をペンタゴンが収集するとも言われています。それらの情報は、海外の米軍基地などからも大量に集まってきます。
また、外交関係以外ですが、
ロバート・ケネディJr:保健福祉長官。FDAも統括します。ワクチンや医薬品の認可などを統括します。医薬品業界のネオコン(通称:メディコン)対策が期待されます。
マット・ゲーツ:司法長官。FBIも管轄します。ネオコンを含むDS(ディープステート)の不正に対する捜査が期待されます。
ポンペオが国務長官に返り咲くという噂をトランプ氏が否定し、安堵が漂ったところへ、マルコ・ルビオが就任という発表が行われ、驚きと警戒の声も多くありました。トランプが何を考えているか、分からないという声も多くあります。
以下は、九兵衛なりの意見です。
仮にマルコ・ルビオ国務長官がネオコンだと仮定します。失礼(笑)
そして、①外国で紛争の種まきを企画して、②諜報員たちや国務次官補などの手下がクーデターなどの種まき工作をしたとします。そして、それが事変として顕在化して、③軍事介入のチャンスが到来します。そして④兵器需要が発生しネオコンが商売をします。⑤その前に、企画担当者や関係者に武器販売のキックバックが発生するように秘密の契約が交わされます。それは武器会社と政府関係者の直接ディールではなく、代理人(エージェント)を通して、タックスヘブンや外国などのオフショア(米国外)で行われます。
まず①の時点でトランプ大統領の直々の目や首席補佐官スージーの目があり、ウォルツ補佐官が取り仕切るNSCを企画時点で通す必要があります。
次に②の時点でCIAなどの諜報員を使う場合は、ラドクリフ長官も巻き込み、ギャバードDNI長官のブロックをかいくぐらなければなりません。
③ではヘグセス国防長官が黙っていません。そして⑤の段階ではゲーツ司法長官がFBIを指揮して徹底的に証拠を集め起訴します。連邦最高裁はトランプ支持です。現時点で財務長官が決まっていませんが、内国歳入庁(IRS)を使ってリベートに関連する税務調査を行うことができます。
このように、いかに権限の強い国務長官であっても、これだけ外堀を埋められては何もできません。従来の政権で、国務長官がネオコンで悪さができたのは、周りも同類だったからです。例えば、オバマ政権時にヒラリー国務長官のもとで、ヌーランド国務次官補というおばちゃんがウクライナのマイダン革命を仕掛けたようにです。
私はトランプ氏が、①まずマルコ氏をディープステート(特にネオコン軍需産業)の言いなりにならないと信じていると思いますし、②仮にマルコ国務長官が暴走したとしても、周囲がすぐに気付きます。
特に、ギャバード情報長官とゲーツ司法長官・ヘグセス国防長官の3人が目を光らせている以上は何もできないでしょう。
ただ多くの人がマルコ・ルビオ国務長官と聞いて「ネオコン派か?」とか「ブリンケンのような過激派か?」と懸念を抱いたということは、主な競争相手の中国には相当なプレッシャーがかかります。その心理的な効果は十分あります。
さらに、ネオコンを潰すには過去ネオコン側にいた人間を味方につけるほど有力な手段はありません。内部事情もよく知っているし、場合によっては証拠隠滅も防げます。
トランプ氏が、何を考えてルビオ氏を起用したか、その頭の中を覗くことはできませんが、私がトランプ氏の立場だったらルビオ氏をこう使い、こう内部牽制をつくるというという考えと同じ雰囲気を感じたので記事にしました。
追記:現時点(11/16)では財務長官はヘッジファンド・マネージャー出身のスコット・ベッセント、投資銀行出身のハワード・ルトニック、ヘッジファンドマネージャーのジョン・ポールソンらが候補となっているようです。ベッセントもルトニックもジョージソロスのクオンタム・ファンド働いていたのが気になります。ただ、ルトニックはトランプ選挙をずっと支援していましたし、関税強硬派なので、関税原資国策ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンドSWF)の責任者としてはありかもしれません。財務長官職は内国歳入庁IRSを使った捜査よりも、ソブリン・ファンドの方に力点があるようですね。候補者全てがファンド・マネージャー出身なので、そのように思えます。
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