日常+妄想=
「白い線の上だけ踏んで帰ろう」
小学校の帰り道。
「白い線以外は鮫に食べられて死ぬんだよ」
しかし田舎、白線がない場所もあって、
「ここは息を止めなきゃ鮫に気付かれるからね」
その設定はキョンシーか。
次の白線まで息を止めてダッシュ。
ランドセルの中身が踊って音を立てる。
私の家が1番遠かったから、友達と別れるまでの道は冒険だった。
海の上、空の上、マグマの上。
設定は変われど白線の上を歩くルールは同じ。
世界規模で皆やったことあるんじゃないかな。
大人になったら海も鮫も消えてしまった。
目の前には広い道があって、白線から落ちても安全だと思ってる。
妄想のフィルターをかけてみて。
広い道に見えているのは自分だけで、足の下はあなたの足の大きさぴったりの足場。
そこ以外は鮫の海。
足場ぴったりの歩幅で歩いてるだけなの。
あなたが通るように、そこだけ作られた小さな足場。
固唾を飲んで見守る観衆。
ドアまで行けたら大喝采。
これは奇跡の大道芸。
その上をいつもあなたは歩いているんだよ。