毛、悲喜こもごも。
ようやく忙しかった仕事がひと段落ついた。
私の仕事は基本的にはデスクワークなのだが、去年から兼務を持つことになり、兼務の方で時々他部署へ向けた勉強会の開催という業務が発生する。
私の役割は主に勉強会で使用する資料の作成だが、時々講師として壇上に上がる(比喩的に。実際はzoomを使用したウェビナー開催)こともある。
今回の勉強会では資料作成と共に、講師を担当することになったため大わらわだった。
めちゃくちゃ緊張しいでまだまだ経験値も足りず、精神的な余裕なんてこれっぽっちもないくせに、ウェビナー映りは完璧でありたいという欲望だけは一丁前で、当日は顔がパッと明るくなる白系トップス(ボトムスは見えないため無印の鼠色のゆるいハーフパンツ)を着用し、何度も位置を調整し直したデスクライト、デスクライトの光によって白飛びすることを予め計算に入れたメイク、張り切ってます感が出ないように敢えて選んだシンプルなピアスを装着し万全の構えで挑んだ。
その業務も無事先週終わり、今やっと人心地ついたところだ。
ちなみにウェビナー映りに関してはなかなかのものであった。(勉強会自体の出来はどうだったんだよというツッコミは置いといて)
全国の弊社の営業たちよ、さあ存分に惚れるがいい。
ということで、書きたかったnoteである。
前回子育ての悩みの記事の合間にちらっと放り込んだ夫の髪の毛事情(その者薄毛につき医薬品の服用を始める)について経過の報告と、突如私に起こった毛トラブルに関して語りたい。
夫の毛、そりゃあもうすくすくと伸びてきていて、まるで春に一斉に芽吹き始めた新芽の勢いである。
私はただ日々夫の頭頂部を観察しているだけなのだが、なんだかもはや可愛く愛おしいのである。毛が。
出来ることなら毎朝夫の頭頂部を朝日に当て、霧吹きか何かでシュッシュと湿らせてあげたい気持ちでいっぱいなのだ。
土壌を耕やし、更なる成長を促すため時には間引いたり、剪定などしてあげたいくらいだ。
毎夜、子供が寝た後、夫に頭頂部を見せてくれとせがみ、日々成長を続ける産毛たちを観察する。ちょうど世は夏休みシーズンであったし、観察絵日記でもつけたい気分だが、そんなことするとさすがに夫が嫌がるだろと思い、代わりに一枚写真を撮る。
夫に見せると夫はまだまだ自分の理想としている結果には程遠いといってプイと横を向く。
「ばかやろう!」
そのたびに私は夫の毛たちのために怒る。
「一日一回3錠の薬を飲むだけで、毛たちはこんなにも頑張っているんだ!成長を喜ばないでどうする!日ごと変わりゆく姿を楽しみ感謝せずにどうする!」
まったく、夫よ、そういうところだぞ。
完璧主義者というか、ゼロか百かでしか物事を見れないというか。
夫の目指す姿は「前髪は最低前進一センチ、頭頂部は横からのシルエットがもっこり」だという。
あんた薬飲み始めて4ヶ月でそれは無茶ってもんよ!
主の期待に応えようと毛たちは日々目覚ましく成長を続けているではないか。頭頂部に関してはボリュームこそまだ全く足りないが、少なくともつるぴか局所は毛で覆われてしまった。
もはやかき分けないとつるぴかは姿を見せてくれない(それはそれでなんか寂しい)
おでこ最前線には初々しい産毛たちがちらほらと産声を上げ始めた。
千年の冬を乗り越え夫の頭に今、待ちわびた春が到来している。
おめでとう、おめでとう、おめでとう。
そんな感じで私が夫の毛たちを愛でている中で、なんと自分自身の毛に危機が訪れている。
ほんの2~3日前からなのだが、急に、それはもう急激に、私の毛が大量に抜け始めたのだ。手櫛をするとするだけ髪が抜ける。延々と抜ける。
季節の変わり目?ホルモンバランスの乱れ?単純に加齢?
例えば40歳を超えたぐらいから少しずつ状態が深刻になっていっているんだよね~、とかではなく、急に数日前からいきなりなのだ。
一日100本くらい抜けるのは正常だよ、というのは知識として知っているが、体感としてここ数日は2倍から3倍近く抜けている気がする。
思い当たることがあるとすれば、8月上旬に初めて行った美容室で髪質改善トリートメントを試してみたことぐらいである。
もしかして、そのトリートメントが合わなかったのかしら…
浮気などせず一途に通い続けていた故郷のカリスマ美容師を裏切った報いなのかしら。
原因は今のところそれくらいしか思い当たらない。
しばらくは様子を見てみるしかあるまい。
不安と焦燥の中、以前使っていたヘアケア商品をポチリした土曜日。
これ、本当に炭酸が元気に頭皮でパッチパチ弾けてものすごく気持ちがいいのでおススメである。
夫の薄毛に関しては全く気にならなかった私であるが、自分のこととなったら話は別だ(真顔)
生まれながらに髪の毛は強く美しく、故に大層大事にしてきた。
もう二度と髪質改善スペシャルトリートメント(1万円超)なんてしないと誓うから、お願い、離れていかないで!
髪の毛一つで人間ってやつは右往左往する弱い生き物なのである。
今ようやく、夫の気持ちが分かった気がするのだ。