非線形的時間認識について
映画『メッセージ』に登場してくるタコ型宇宙人は、ヒトと違って「非線形的時間認識能力」を持っているが故に未来予知が可能であるという設定でした↓。
一方でヒトは基本的に「線形的時間認識能力」しか持っていません。「線形的時間認識」というのは「過去−現在−未来」が一つのライン上に繋がって認識されることを意味します。
しかしこれはヒトの生物学的・物理学的制約からそのようにしか認識し得ないだけであって、実際の「時間」というものはやはり非線形なのだろうと思います。
つまり「未来に起きることはすでに起きている(しかし線形的にしか時間を認識できないヒトにはわからない)」ということになります。
しかしこれは現時点での生物学的・物理学的制約であって、どこかの未来において『メッセージ』に出てくるタコ型宇宙人のような非線形的時間認識能力を獲得した新人類は、やがて時間だけでなく空間も自在に行き来できるようになり、過去の人類に干渉してくるようになるでしょう。
その干渉がいいことなのか悪いことなのか判断するすべを我々は持ちませんが。
この「未来に起きることはすでに起きている」を物理学的に証明しているのが「量子もつれと非局所相関」です。この現象はアインシュタインの相対性理論を超えるものです(といっても相対性理論が間違っているわけではありません)。
相対性理論では「時間は誰にとっても等しく流れるものではない」ことが証明されましたが、非局所相関では「時間はそもそも流れていない(同時存在している)」ことが証明されることになります(現象の確認だけでまだ科学的な証明はされていないので)。
ここから、ヒトにおいてもときおり見受けられる予知夢などの「未来予知」の可能性が(いずれ)理論づけられることになるのです。
つまり時間とは線形ではなく非線形的であり、「未来はすでに起きている」のだから、タコ型宇宙人のようにヒトにも未来を知りうるように生物学的進化を遂げたとき、ヒトはその生をいかに生きるのか、というのを問うているのが映画『メッセージ』であり、おそらくその思想的支えとなるものは仏教思想の中に豊かに残されているように私には思えます。
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