「音の環境」まとめ🌡#一級建築士環設特化@Twitter
はじめに
音環境は「※ 遮音 ※ 吸音」が頻出。先ずは、添付の図を見たダケでわかることから……
|室-B|赤の人は反射+吸収が大きいと静かで幸せ:遮音
|室-A|青の人は透過+吸収がちょうど良いと、音が聞きやすく幸せ:吸音
音環境の苦手な人でも、あせらず図を見ながら、順を追って理解すると必ず得点できます。
吸音
|室-A|青の人の音の聞き取りやすさ(残響時間など)に影響。
音源(スピーカー等からの「入射」に対する「吸収+透過」の割合を吸音率という。式で表すと…
吸音率=(吸収+透過)/入射
※ 式の分子が(吸収+透過)となっており吸音率が大きくても遮音性能が高いとは限らない。透過を忘れがち!
#追記予定:
「多孔質材料」「穴あき板」「板状」 材料ごとの吸音特性
遮音 (透過損失)
|室-B|赤の人が静かに感じる=遮音性能が高い=透過損失が大きい 。
音源(スピーカー等)からの入射に対する透過の割合を※透過率という。式で表すと……
透過率=透過/入射
この透過率{音の抜けやすさ}を τ とする。( τ ←タウ)
透過率 τ の逆数(1/τ)、つまり壁に対する{音の抜け難さ}を〔dB〕で表示した値を透過損失という。式で表すと……
透過損失=10 log (1/τ)〔dB〕
尚、logは底10の自然対数。対数は、わからなくても大丈夫!
透過率の逆数(1/τ)とは、入射に対する(反射+吸収)の割合の意味。
その値をlog対数にとり〔dB〕で表し透過損失という。
透過率 τ が大きい = 逆数( 1/τ )が小さい =(反射+吸収)が小さい= 遮音性能が低い = 透過損失が小さい
透過損失#1
透過損失〔dB〕: 透過率の逆数「入射音」/「透過音」(音の通り難さ)を〔dB〕で表す。
透過損失=10 log(「入射音」/「透過音」)〔dB〕
〔db〕表すとは、底10の常用対数をとること。
常用対数をとった値〔dB〕と、音の強さ〔W/㎡〕の関係は次の通り。
音のエネルギー(音圧レベル)が……
20〔dB〕減少⇒音の強さは 1/100
30〔dB〕減少⇒音の強さは 1/1,000
:60〔db〕減少⇒音の強さは 1/1,000,000
この規則性を覚えれば、log対数の理解は不要!
透過損失#2
一重壁の透過損失 壁に垂直に音が入射する場合、透過損失は以下のようになります。
① 高周波域であるほど
② 壁の面密度〔kg/㎡〕が大きいほど 透過損失が増加します。
透過損失が大きくなれば、遮音性能が向上します。
質量則
垂直入射の透過損失
=20 log(①周波数・②面密度)-42.5〔dB〕(式は暗記不要)
① 壁に垂直入射する音の周波数が2倍になると、透過損失は、約6dB 増加します。
② 壁の面密度が2倍になると、透過損失は、約6dB 増加します。
どちらの場合も、遮音性能が向上し、これを「質量則」と呼びます。
※面密度は、単位〔kg/㎡〕から、厚みが2倍になると面密度が2倍になることが分かります。
ランダム入射(拡散入射)の透過損失
=20 log(①周波数・②面密度)-47.5〔dB〕
透過損失は、ランダム(拡散)入射の場合の方が小さくなります。つまり、遮音性能が低下します。
遮音性能は、基本的に 周波数と 面密度(厚み)できまりますが……
コインシデンス効果
(低音域)共鳴透過
という、2つの例外があります。
コインシデンス効果
コインシデンス効果とは、薄い壁に音波が斜めに入ると、壁が大きく振動し、音が透過しやすくなる現象です。
音波が壁に近い角度で入射すると、壁の「曲げ振動」が起こり、共鳴周波数で透過損失が小さくなります。
コインシデンス効果が発生する(最低)周波数は、単板ガラスの場合……
1mmで約16,000Hz
3mmで約5,000Hz
5mmで約3,000Hz
と、厚さが増すと、共鳴周波数が低くなり低音域で生じます。
低音域共鳴透過
壁の遮音性能は、基本的には質量則により決まります。ただし、同じ面密度でも、二重壁の方が一重壁よりも透過損失が小さくなる場合があります。
上図のように、低周波数では、二重壁の間の空気層がバネの役割を果たして壁を振動させ、透過損失が著しく落ち込みます。この現象を低音域共鳴透過」と呼び、遮音性能を確保する上で問題となります。
共鳴透過により透過損失が小さくなる周波数は、中空層が厚く(広く)なると、より低い周波数(低音)で生じます。
複層ガラスは、空気層が薄い(狭い)場合は、同一面密度の単層ガラスと同程度まで遮音性能が低下する場合があります。
異なる厚さの複層ガラス[6mm 空気層 3mm]にすると、透過損失は上昇し遮音性能の低下を抑えることができます。
音圧(強さ)レベル〔dB〕の合成と距離減衰
同じレベル〔dB〕の音源を合成すると……
音源A : 60dBと、音源B : 60dB を合成すると、音圧レベルは、約 63dB になり、約 3 dB増加します。
音源A : 60dB、音源B : 60dB、音源C : 60dB、音源D : 60dBを合成すると、 4つの合成後の音圧レベルは、約 66dB になり、約6dB増加します。
音源A : 60dB、音源B : 60dB、音源C : 60dBを合成すると、 3つの合成後の音圧レベルは、約 65dB になり、約5dB増加します。
距離減衰
音のエネルギーは距離が遠くなるほど減衰します。距離減衰は音源の形状によって3つに分類されます。
点音源: 音が全方向に広がり、距離が2倍になると音圧レベルは,約 6dB 減衰します。
線音源: 音が円筒状に広がり、距離が2倍になると音圧レベルは、約 3dB減衰します。
面音源:面に近い距離では音は減らない。 また、都市は無数の音源があり面のように音が広がっています。高層マンションの上階には建物などからの反射音が届きます。そのため、音の減衰を期待できません。
音の基本的な特性
音は、密な(気圧が高い)部分と疎な(気圧が低い)部分が交互に現れることで、音の進行方向に沿って空気が前後に振動する縦波で、粗密波です。
気温が同じなら音速は一定で、気温20℃で約 340m/s 程度です。
音速 C = 周波数 f ・波長 λ〔m/s〕
波長 λ が大きいと周波数 f は低くなります。
可聴範囲周波数 f は、20Hz~20,000Hz
波長 λ は、17mm ~ 17m
エネルギー保存則
入射音=反射音+吸収音+透過音