音の環境に関する過去問まとめ〔解答・解説〕

🌡 #一級建築士環設特化 004.Check_Test
先回のtweet「過去14年間の音に関する全正答肢を基にしたアレンジ問題」の解答・解説です。解説を読むだけでも知識が増加&定着します✨

◆ 次の設問について【】が付いた方が正答です。が付いた行が解説です。

R04 Lr値 カラレーション
建築物の床衝撃音遮断性能に関する等級において、Lr-40は、Lr-55に比べて、床衝撃音の遮断性能が【※高い|低い】

:Lr値は、床に衝撃が加わったときに発生する音が、下の階にどの程度伝わるかを測定したものです。値が小さいほど、下の階への伝達が少ないことを意味します。

カラレーションは、「直接音」と「短い遅れ時間の反射音」の干渉によって、【音の高低|※音色】の変化が知覚される現象をいう。

:カラレーションは、音源から直接聞こえる音(直接音)と、壁や天井などの物体で反射して聞こえる音(反射音)が干渉することで、音色が変化する現象です。カラレーションをうまく利用することで、音の響きを良くしたり、特定の音を強調したりすることができます。

R03 コインシデンス効果 音の大きさの感覚量
単層壁の遮音において、同一の材料の場合、壁の厚さが薄いほど、コインシデンス効果による遮音性能の低下は、より【※高い|低い】周波数域で発生する。

:コインシデンス効果は、壁の厚さが音波の波長の整数倍になると、音波が壁で反射して干渉し、遮音性能が低下する現象です。壁が薄いほど、この効果が顕著になり、遮音性能が低下します。特に高い周波数の音に影響が出やすくなります。

音の大きさの感覚量は、音圧レベルが一定の場合、低音域で小さく、【 ※3|10 】kHz付近で最大となる。

:音の大きさの感覚量は、音の大きさのレベル(ラウドネスレベル)と呼ばれ、主観的な感覚を示します。単位はphonです。感覚量は、音の周波数によっても異なります。一般的には、2000〜4000 Hz (2~4 kHz) の周波数で最も感じやすくなります。

R02 音響透過損失 空気中の音響吸収
単層壁の音響透過損失の値は、質量則を用いた予測値よりも、実測値のほうが【大きく|※小さく】なる傾向がある。

:単層壁の音響透過損失[TLo = 20Log(M・f)-42.5 dB] は、音波が単層壁を透過する際に、どれだけ減衰するかを示す値です。単位はデシベル(dB)です。数値が大きいほど遮音性能が高くなります。一般的に、実測値は、予測値よりも小さくなる傾向があります。つまり、実際に壁を通過した音の減衰は、予測される値よりも小さいということです。

屋外において、遠方の音源から伝搬する音の強さは、空気の音響吸収によって、【※高|低】周波数域の音ほど減衰する。

:空気中の音響吸収は、音波が空気中の分子や粒子に衝突し一部のエネルギーが吸収される現象です。これにより音波のエネルギーが減衰し、反射音が抑制されます。空気の音響吸収は温度、湿度、周波数によって変化し、高温や高湿度では吸収が増加します。また、高周波数ほど吸収効果が大きくなります。

R01 マスキング 吸音処理
聴覚のマスキングは、マスカー(マスクする音)の周波数に近い音ほどマスクされやすく、マスカーの周波数に比べ、低い音のほうが高い音よりもマスクされ【やすい|※にくい

:聴覚のマスキングは、特定の音が他の音によって聞こえにくくなる現象です。マスカーとは、マスキングを引き起こす(妨害)音。マスキーとは、マスキングされる音のことです。通常、マスカーが、マスキーよりも周波数が低い場合、マスキングが起きやすくなります。

駅、空港、ショッピングモール等の公共施設においては、放送音声の聞こえやすさを確保するため、一般に、吸音処理を【※施す|避ける】ことが望ましい。

:吸音処理を施すと、放送音声の聞こえやすさを向上させることができます。具体的には、音響吸収材や吸音パネルを適切に配置し、反射音を減らし、残響を抑制します。また、建物の形状や吸音材の配置、反射音の管理を考慮します。

H30 カクテルパーティー効果 吸音率
周囲に様々な音が聞こえて騒がしい中でも、自分の興味のある音や重要な音を無意識に選択して聞くことができる現象を、【サウンドスケープ|※カクテルパーティー|フラッターエコー】効果という。

:カクテルパーティー効果は、多くの音が聞こえる中で、自分の名前や興味のある音を無意識に選んで聞き取る現象です。脳は情報を取捨選択し、騒がしい環境でも重要な情報を処理することができます。その結果、自分の名前や話したい人の声を無意識に聞き取ることができます。

吸音率は、「壁へ入射する音のエネルギー」に対する「壁へ【※(吸収+透過)|(吸収+反射) 】される音のエネルギー」の割合である。

:吸音率は、入射音のうち、吸収された音のエネルギーを示す吸収音と、透過して室外へ伝わる音のエネルギーを示す透過音を合算して分子とし、それを入射音のエネルギーで割った比率が吸音率となります。

H29 空気中の音響吸収 多孔質材料の吸音特性
空気中を伝搬する音のエネルギーの一部は、空気の粘性や分子運動等によって吸収され、その吸収率は、周波数が【※高く|低く】なるほど大きくなります。

:空気中の音響吸収は、R02参照下さい。

ロックウールボード等の多孔質吸音材料の表面を塗装すると、高周波数域における吸音率は、【※低下する|向上する|変化しない】。

:多孔質材料の吸音特性は、材料の厚みが増加すると、低周波数領域での吸音効果が向上します。空気層の厚みを変化させると、同様に低周波数領域での吸音効果が向上します。一方、表面を塗装すると、一般的に高周波数領域での吸音効果が低下します。低周波数においては、塗装の影響は限定的で、吸音特性への影響は少ないです。

H28 NC値(Noise Criteria) コインシデンス効果
NC値は、その値が【大きい・※小さい】ほど静かな環境を表し、アナウンススタジオの室内騒音の NC 推奨値は、一般に、NC-【 ※15|35 】とされている。

:NC値(Noise Criteria)は、NC値は、1/1オクターブバンドの騒音レベルをNC曲線と比較して算出されます。NC値は、0から100までの数字で表され、小さいほど静かなことを示しています。NC値の推奨値は、オフィスではNC30~40程度が推奨されており、住宅ではNC25~35程度が推奨されています。

単層壁による遮音において、同一の材料で壁の厚さを薄くしていくと、コインシデンス効果による遮音性能の低下の影響範囲は、より【※高い|低い】周波数域へ拡大する。

:コインシデンス効果は、R03参照下さい。

H27 距離減衰 単層壁の音響透過損失
自由音場において、全指向性の点音源(指向性のない点音源)からの距離が1mの点と2mの点との音圧レベルの差は、【 3|※6 】dBとなる。

:距離減衰は、音が伝わる距離が遠くなると音のエネルギーが減少する現象です。距離が2倍になると音の強さは約1/4になり、6 dB 減衰します。これは、音波のエネルギーが広がり、単位面積当たりの音のエネルギーが希薄になり、減衰するためです。

単層壁の音響透過損失は、垂直入射の場合より拡散入射の場合のほうが【大きく|※小さく】なる。

:単層壁の音響透過損失は、音波の周波数が高いほど、単層壁の音響透過損失が大きくなります。垂直入射では壁全体に作用し吸収が増え、透過音の減衰も大きくなります。一方、拡散入射では一部にしか作用せず吸収が少なく、透過音の減衰も小さくなります。

H26 残響時間 中空二重壁の共鳴透過
コンサートホールの残響時間は、室容積が大きいほど【※長い|短い|変化しない】傾向がある。

:残響時間は、室容積が増えると、残響時間は長くなります。広い空間では音波が反射しやすく、残響が増えるためです。逆に、狭い空間では残響時間は短くなります。室容積と残響時間は比例関係にあります。

中空二重壁の共鳴透過について、壁間の空気層を厚くすると、共振周波数は【高く|※低く】なる。

:中空二重壁の共鳴透過は、壁間の空気層が厚くなるほど共振周波数が低下し、共鳴が増加します。空気層の厚みが共振周波数の波長に近づくと、透過音が増え、透過損失が減少します。厚みが共振周波数の整数倍なら最も共鳴が強くなります。

H25 質量則:透過損失 空気中の音響吸収
質量則において、単層壁の厚さが2倍になると、透過損失の値は約【 3|6 】dB増加する。

:単層壁の音響透過損失[TLo = 20Log(M・f)-42.5 dB ← 垂直入射]は、音波が単層壁を透過する際に、どれだけ減衰するかを示す値です。単位はデシベル(dB)です。面密度 M(単位面積当たりの質量)が大きい(厚みが厚いほど)、周波数 f が大きい(高音)ほど大きくなります。この値が大きいほど遮音性能が高くなります。

屋外において、遠方の音源から伝搬する音の強さは、空気の音響吸収によって【※高音|低音】域ほど減衰する。

:空気中の音響吸収は、R02参照下さい。

H24 複層ガラスの断熱と遮音 ☚問題文修正 距離減衰
複層ガラス(厚さ3mmのガラス2枚と乾燥空気を封入した6mmの中空層とからなる)は、その面密度の合計と同じ面密度をもつ単板ガラス(厚さ6mm)に比べて、断熱性能に【※優れ|変化はなく】、遮音性能は、全周波数域の遮音性能について【優れる|優れない】 ☚全周波数域に【渡り優れる|に渡っては優れない

:複層ガラスの共鳴透過は、ガラス板と空気層の振動が、特定の周波数で共鳴し、透過音が増幅される現象です。特定の周波数帯域で起こり、音の透過損失が減少し、複層ガラスの遮音性能を低下させます。対策として、ガラス板や空気層の厚さの調整や吸音材の設置が必要です。

自由音場において、無指向性点音源とみなせる騒音源から50m離れた位置における騒音レベルの値が73dBの場合、100m離れた位置における騒音レベルの値は約【 63|67 】dBになる。

:距離減衰は、H27参照下さい。

H23 吸音率 
吸音率は、「壁へ入射する音のエネルギー」に対する「壁へ【(吸収)|※(吸収+透過) 】される音のエネルギー」の割合である。

:吸音率は、H30参照下さい。

H22 透過損失 ☚問題文修正
単一材料からなる壁体の遮音性能について、質量則によれば、壁の面密度が大きいほど、また周波数が低い『高い』☚ほど、壁の透過損失は【※大きく|小さく】なる。

:透過損失は、H25参照下さい。

H21 等価吸音面積 
音の単位の組み合せ ーーー 等価吸音面積(吸音力)の単位は、【 ※m2|W/m2J/㎥ 】で表す。

:等価吸音面積(吸音力)は、室内の壁表面積と、壁の平均吸音率を掛け合わせた値である。単位は ( ㎡ )です。


内容についてのご意見、ご質問をTwitter @kysg で受け付けております。
お気軽にどうぞ。

👇これまでに投稿した「音の環境」に関するツイートをno+eにまとめました。
https://note.com/kysg/n/nd11633a360e0

免責事項について

本ウェブサイトに記載されている免責事項は、一級建築士学科試験の対策のためにまとめられたものであります。十分な注意を払い、正確性や学術的な最新情報の掲載に努めておりますが、その保証はいたしかねます。このウェブサイトをご利用いただいたことにより、何らかの不都合や損害が生じた場合でも、当方は一切責任を負いませんので、あらかじめご了承ください。



いいなと思ったら応援しよう!