空調設備#5 圧縮式(遠心式)及び吸収式冷凍機
◆ 過去問から読み取る出題ポイント
✅「圧縮式(遠心式)冷凍機」と「吸収式冷凍機]の特徴を比較した際の相違点
✅圧縮式冷凍機と成績係数COPとの関係性
◆「圧縮式(遠心式)冷凍機」の冷凍サイクル
圧縮式冷凍機の冷凍サイクルは、冷媒が[低温・低圧状態]から[高温・高圧状態]へと変化する過程です。
❶冷媒は蒸発器で低温・低圧状態(蒸発)になり、(空気調和機で得た)熱負荷から熱を吸収します。ここで冷水が冷やされます。
❷圧縮機による圧力によりエネルギーが増加し、冷媒は高温・高圧状態(圧縮)になります。
❸高温・高圧状態の冷媒は凝縮器に入り、冷却水に熱を放出(凝縮)します。冷媒は再び液体状態に戻り
❹膨張弁を通過する際に、流量が制御(抑制)されることで低温・低圧状態に戻ります。冷媒は再び蒸発器へと送られます。➠❶
このサイクルが繰り返されることで、継続的に冷水が冷やされ、空気調和機は部屋の温度を適切に保つことができます。
圧縮式冷凍機は、主に「遠心式」と「往復式」の二種類あります。一級建築士学科試験(学Ⅱ)においては、(過去問から判断すると)特に分類する必要はないと思います。
おススメは、「遠心式冷凍機」は、脳内で「圧縮式冷凍機」と訳して解く!
◆「吸収式冷凍機」の冷凍サイクル
吸収式冷凍機は、冷媒の循環に主に電気エネルギーを使う圧縮式冷凍機と異なり、熱エネルギー(ボイラーなどからの水蒸気や温水)を使用した化学反応により冷凍サイクルをまわします。
❶蒸発器内では、冷媒(通常は水)が低圧下で液体から気体に蒸発し水蒸気となります。この蒸発過程で、周囲の空気や水から熱を吸収し冷却します。
❷吸収器内では、吸収液(通常はリチウム臭化物など)が水蒸気を吸収します。この過程で、冷媒と吸収液が混合し、薄溶吸収液を形成します。
❸再生器(発生器)において、ボイラーなどにより供給される熱エネルギーにより、薄溶吸収液が加熱され、冷媒が水蒸気として薄溶吸収液から分離されます。
❹凝縮器に送られた冷媒(水蒸気)は、凝縮器に送られ、冷却水などによって冷却され再び液体になります。冷媒は再び蒸発器へと送られます。➠❶
📝過去問 H28 H24 H25
👆 2.の記述内容は誤り。
◆圧縮式(遠心式)冷凍機と吸収式冷凍機の比較
騒音及び振動:
圧縮式:圧縮機を使用するため、運転時には騒音と振動が比較的大きいです。
吸収式:圧縮機を使用しないので、静かで振動も少ないです。適切な場所では、運転音をほとんど聞くことはありません。
冷却水量
圧縮式:機械的な圧縮で冷媒を冷やすので、冷却効率が良く、必要な冷却水量は少ないです。つまり、高温の冷却水でも効率良く冷凍サイクルが回るため、冷却水の量を節約できます。
吸収式:熱エネルギーを使用して冷媒を気化させるため、冷却効率が低く、より多くの冷却水を必要とします。これは冷却水の温度が低くないと冷凍サイクルが上手く回らないためです。
機内圧力
圧縮式:冷媒を圧縮するため、機内の圧力は高くなります。
吸収式:冷媒を化学的に吸収するので、機内の圧力は比較的低いです。
消費電力
圧縮式:電動の圧縮機を使用するため、消費電力が高いです。
吸収式:主に熱エネルギーを使用し、電力の消費は少ないです。
成績係数COP (Coefficient of Performance):
圧縮式:高効率の圧縮機を使用するため、COPは通常、吸収式よりも高いです。
吸収式:エネルギー源として熱を使用するため、COPは通常低いです。(ただし、余剰熱など廃熱を利用する場合、全体的なエネルギー効率を向上させることが可能になります。)
◆圧縮式(遠心式)冷凍機の〔蒸発器からの〕冷水の出口温度とCOPの関係
COP(成績係数)は、冷水の出口温度(蒸発温度)の差が大きくなるほど低下します。つまり、冷水の温度を下げるほど冷凍機の効率は低下します。
▼過去問 H26 H29
Q1. H26 👈正しい
COP(:Coefficient of Performance:成績係数)は、冷房・暖房それぞれの定格能力運転時における機器が消費するエネルギー(通常は電力)に対する出力(冷暖房能力)の比率を示します。値が大きいほどエネルギー効率が高いことを表します。
定格冷暖房能力とは、空調機器が1時間に供給できる冷暖房のエネルギー量です。
定格消費電力とは、その能力を発揮するために必要な電力量です。
つまり,COPは定格冷房・定格暖房時の消費電力1 kW当りの冷房・暖房能力を表わしています。
関連知識
成績係数COPは、定格時の効率を表す指標に対して、
通年エネルギー消費効率 APFは、より実際の運転に近い条件で省エネルギー性能を表すことができます。
Q2. H29 R02
省エネルギー性能が高い冷凍機の選定に当たっては、定格条件の成績係数(COP)とともに、年間で発生頻度が高い部分負荷時の成績係数(COP)も考慮する必要がある。
Q2. H29 R02 👈正しい
🌟多くの建築士を志す方に届くように、Twitter :: RT,♡,Follow もお願いします!
👇🌡#一級建築士環設特化|Twitter @kysg https://note.com/kysg/n/nd11633a360e0