名取さなの全オリジナル曲+1曲に対する感想と感情と思い出
惑星ループ(カバー)
名取さなで音楽と言えば……これ!というのは流石に主観だけれど。名取さなの音楽展開の節目にはいつもこの曲があった。
歌ってみたの初々しさ、VTuberFesJapan2019での隠しきれない緊張感。同2021では大トリで名だたる企業勢VTuberと肩を並べて歌ったのがなんとこの曲。
そしてサナトリック・ウェーブ、音楽展開を強化すると宣言してから初のライブの1曲目に歌ったのもこの曲で。名取らしいサプライズであり、名取・ファン双方にとって大事な曲であることを再確認する場であったようにも思う。
この歌ってみた動画を歌唱から動画Mixまで全て一人で作ったというところから、今なお勢いを増し続ける名取のクリエイティビティの底知れなさを感じ取れると同時に、たくさんの関係者の協力を得てライブを開催するに至るまでの道のりを想像させてくれる。
カバー曲でありながら、今後も数々のオリジナル曲と並んで名取さなを代表する一曲であり続けるのは間違いない。
てか、(同時視聴でも突っ込まれてたけど)昼公演1曲目のイントロからコールが出揃うまでマジで速すぎないか?みんなこの曲にハイ!ハイ!って叫びたかったんだよな 5年半前から
PINK,ALL,PINK!
名取のオリジナル曲の中でも突出してアイドル然とした曲でありながら、初披露予定だったイベントが中止になるという悔しさで始まったこの曲。
イベントの会場で名取のお誕生日を祝い、この曲を歌う名取を見届けることは、きっと我々ファンにとってあの1年間の何物にも勝る悲願であった。その悲願が叶ったあの日、悔しさの象徴であり、いつかのための希望の象徴であったこの曲は、名取さなの不屈の象徴に変わった。
そしてこの時はまだ叶わなかったもう一つの願いが、名取の歌に合わせてPINK,PINK,ALL,PINKと叫ぶことであり、これも今年、4年越しに叶えてみせた、叶えてくれた。声出しなんていつできるようになるかわからない、そもそもできるようになる保証もない。そんな情勢の中で名取は絶対に諦めない、諦めるなと示すかのように毎年コール入りの曲を発表し続け、ついにその時を迎えた。
切れて外れたミサンガのような、両目の入っただるまのような……願いと共に歩んだかつてに、それが叶ったこの今に、思いを馳せる一曲。
さなのおうた。
「それでは聴いてください、"さなのおうた。"!」が煽る高揚感は未だに他の追随を許していない、原点にして頂点。
まだ自己紹介動画しか投稿されてないタイミングで音MAD作ってたやべーファンがイメージソングまで作ってるなと認識はしてたけど、こんなにデカい曲になるとは。もっちゃん、ぬヴェントス、オポオポ、さえきやひろ、名取さな みんな本当にありがとう
2回目の「おはようございナース!」でシャウトするのって記憶違いでなければ2021年のばくたん。かVtuberFesJapan2021から毎回やってると思うんだけど、これ俺たちに叫ばせるためだったんだな、と自然に声が出てから気付いた。遅い!
披露されるたびに「わたしここまでこれたよ」が積み重なっていく、なんて感想は語られ尽くしてるけれど、それでも色褪せる気配は全く無くて、シンプルながら本当に凄い歌詞だなあと思う。
いつかくる大団円もこの歌詞で迎えてくれるのかな、とか、さなちゃんねるまだ存在しない回を妄想して勝手に泣いている
エッビーナースデイ
お誕生日イベントを、いよいよやるぞ!というカタルシスをそのまま曲にしましたみたいな、名取さなの名取さなによる名取さなのためのバースデーソング。
「誕生日できたよ」「記念 おまたせ めいっぱいに笑うね」と文脈の乗った歌詞がいつ聴いても涙腺を刺激する。
エッビーナースデイやパラレルサーチライトなどのイベント開催翌日の0時に配信リリースされた曲は、ホテルや帰路でも聴くことになるので特に当日の記憶と強く結びつきがち。特にエッビーナースデイはイベント現地からの夜行バス直行で、ようやく一息ついた頃に0時を回って、聴いて、また「感情」……となったのが思い出深い。
アマカミサマ
さなのおうた。、PINK,ALL,PINK!、エッビーナースデイとパッション寄りの曲を続けて出してきた名取から、しっとり方面もいけるんだぞと叩きつけられたのがアマカミサマ。
我々ファンとの関係性を曲で表現しようとしてくれたことが本当に嬉しい。名取さなをちゃんと応援してきたからこそ心に残る曲だし、この曲で心動かされることが名取さなのファンである証拠になり得る、そんな曲だと思う。
この曲のインストを背にチネチッタを後にした、あの時の情景が未だに脳裏に焼き付いている。
ごほうびトキメキモード
ここから3曲は、個人的に名取さなの"スピンオフ"感が強い曲たちだと思っている。中でもごほうびトキメキモードは、というか、もごご自体がもうスピンオフだよな。
徹底していろりを実在しない仮想のキャラクターであるとしつつ、コミカライズという普段の活動とは切り離した媒体で自身と共演させているところが面白い。名取自身ゲーム実況などで作中作の良さについてよく言及しているけど、もごごはまさに名取さなの作中作にあたるんじゃないかな。
まあ最近のいろりはDJとしてリアルイベントに顕現したりもしてるけど……そのあたりもきっと名取の中で決まりがあるのだろうと思うので、言及はしないでおく。
弱酸性ラジオブレイク
「どくラジ始まります!これがテーマ曲です!」ではなく、始まってしばらくの出来事を踏まえた、満を持してのテーマ曲なのが良い。インターネットコールといい毒コールといい、他じゃありえないフレーズを叫べるのが名取さなのライブ。
どくラジといえば、今年のばくたん。とサナトリック・ウェーブが偶然にも木曜日の開催で、その余韻のままに聞けたのがすごく良かった。イベントの後、昂った感情が落ち着いていってしまう実感に毎回苦しめられる(離脱症状?)んだけど、当日深夜のどくラジでイベントについて触れてくれたりしたそのワンクッションのおかげで穏やかに日常に戻れた気がする。
アニマルま~る
ファンに振り付けを覚えてきてもらおうという意図を感じるMVで、マルチアングル配信の客席カメラに爆踊りしてる肉人間がバチバチに映ってたのもかなり良かった。
これまで名取のオリジナル曲といえば「名取さなのキャラソン」だったのに対して、「名取さなが、自身の好きなもの(動物)をテーマに歌った曲」である点がこの曲の特徴。
なすどコラボを代表に、楽しむ側-楽しませる側の関係に留まらない、名取と好きなもの楽しいものを同じ視点で共有しているんだなと感じられた時に、ふとどうしようもなく嬉しくなることがある。もちろん主導してくれているのは名取なのでそのことへの感謝は忘れずに、好きな人の好きなものを一緒に楽しむ精神をこれからも大切にしていきたい。
パラレルサーチライト
「楽しいの先陣を切って 手を取っていざ行こう」←これほんま名取さな
この先に何があるか何が起こるかなんてわからないけれど、今までも予想外の連続だったけれど、それでもまだまだ"楽しい"が待っていると信じて、俺たちを導いてくれる……名取さなを追いかけ続ける理由が、この曲には詰まっている。
サビで名取に合わせてペンライト横に振るの楽しすぎる マルチアングル配信の固定カメラで見ると舞台演出のサーチライトと一緒にペンライトが横揺れしてるのめちゃくちゃ良かった
いっかい書いてさようなら
サナトリック・ウェーブのアンコール後に歌われるであろう曲として、新曲である足跡の次点で予想していたのがこの曲。その予想は当たったけれど、イントロ→バンドメンバー紹介→入りの一連は今年一の鳥肌が立った。
名取がどのような想いを込めてこの曲を発表したのか。その真意を知りたいとは言わないけれど、少なくとも名取を追い続ける限りは、この曲について考え続けることになると思う。
名取さなを応援する者として、いちインターネット人類として、あるいは人間社会に生きるひとりとして、心の奥深くに刻んでおきたい曲。
メチャ・ハッピー・ショー
2022年のばくたん。と同じ名を冠し、作詞を名取自身が務め、更に曲中に「さなのおうた。」のフレーズを盛り込むというサプライズ満載のこの曲。
"ねぇおはよう 昨日夢で見ちゃったの メチャ素敵でスペシャルなハッピー・ショー
もしかしてこれはなっちゃうのかもね 正夢に みんなでしようね!"
↑本当に天才の歌詞
受け取り方次第で名取の歩んできた道のりとも重なるし、それを「みんなでしようね!」て言ってくれるのが嬉しい。名取の曲って「良い曲」も「楽しい曲」もたくさんあるけど、ファンとしてはそれ以上に「嬉しい曲」が多いよな~といつも思う。
個人的に、当初は2022年のばくたん。のために作られて、以降はあまり歌われる機会のないような曲になるのかなと思っていた。それだけに翌年のハロー・マイ・バースデイで1曲目に歌われたのがかなり衝撃的で、そしてすぐに腑に落ちた。
きっと名取は、我々がいわゆる"懐古厨"になることを許さない。
メチャ・ハッピー・ショーがそのままメチャ・ハッピー・ショーの日だけの曲になってしまえば、我々はこの曲を聴くたびにあの日に囚われる。そうじゃないぞと、名取さなの現在地は今だぞと、気持ちを先へ先へ引っ張っていってくれるような。少なくとも自分にとって、ハロー・マイ・バースデイでこの曲が披露されたことにはそんな意味があった。
ゆびきりをつたえて
今さらこの曲についてどうこう言うのは無粋な気がする。初期から仄めかされた考察要素、配信や活動に表れる名取の人柄、そしてハロー・マイ・バースデイ本編とこの曲、それぞれを見て感じたものが全てだと思う。
けれど、ハロー・マイ・バースデイをうけてこの曲と名取について思考を巡らせていた時間は本当に楽しくて心地よくて、このために名取を追ってきて良かったというか、この曲に100%で向き合えるだけの気持ちを今まで名取さなに向けてきて良かったなと心の底から思える時間だった。
"空回るのが怖かった私も 似合わないことなかった服も 何ひとつ置いていかないから"
名取は、名取さなとその歴史を誰よりも愛して、大切に想ってくれている。この歌詞を筆頭に、この曲からはそれがひしひしと伝わってくる。
これは我々ファンにとっても凄く大事なことだと自分は思う。だって、名取さなの歴史は即ち名取さなを好きでいる自分の歴史でもあるから。これを名取自身に否定されてしまったらそれはもうそういう時になるのだろうと思うけど、そんなことをする名取ではないと、今はそう確信している。
そして、この曲がそういう約束の曲であってほしいと願う。
「YouTubeで活動をしようと決めた時から今日まで、わたしはずっと、わたしと、せんせえのことを考えて過ごしてきました。考えなかった日は一日もありません。嘘、偽りないです。そして、これからもそうだと思います。」
だじゃれくりえぃしょん
昼公演で「つくしうつくしい!」をシャウトしてくれたの、実はめちゃくちゃファンサービスだろ。
毎回つくしコメントで埋め尽くされる待機画面、それをスルーし続けて結局モンダイナイトリッパーに戻した名取に対して勝手に同情の念を抱いていたけれど、こういう時にファンサに転用してくれるのは名取の優しさだし、少なくともこんな我々を嫌わずにいてくれているのかな~なんて思い上がったりもする。
いわゆる「感情」を誘発するタイプが圧倒的に多い名取のオリジナル曲たちの中で、名取さなのおふざけの部分を的確に抜き出したこの曲はある意味でオアシスなのかもしれない。えっ、おしりぷり音頭?あれは……
おしりぷり音頭
10曲目にして初となる、曲中に「ありがとう」という歌詞が含まれないオリジナル曲がこれなのほんまおもろい。リリース順にプレイリスト作るとゆびきりをつたえての次に来るのもほんと嫌。でも好き。
かつて年単位でおしりぷり音頭おしりぷり音頭て擦り続けてきた歴史が乗っかってるだけに一概におふざけで片付けられないのも厄介。あのさなちゃんねる夏祭りでの初披露はカイドウ初登場時くらいの迫力はあった
サナトリック・ウェーブでそこそこ踊れたのも、結構しっかり配信に映っちゃってたのも嬉しかったな~ 名取、俺、踊ったぞ、おしりぷり音頭を……
モンダイナイトリッパー!
初めて「ワタシノナリタカッタワタシノミライフ!」を聴いた時はえっ、あ、ほんとぉ……になったものだけれど。MVが公開されたり、名取本人がミームのような扱いをしたり、音ゲーに収録されたりといつの間にか一番ポピュラーな曲になっていた。
ナース服(衣装)さんが募集した体験談を聞いて旅した気分になれたと笑っていたことも、旅先でのアクスタやぬいぐるみの写真が嬉しいと配信で話してくれることも、この曲も。普通に受け取ることもできつつ、バーチャル存在だからこその奥行きと魅力をたたえているところには名取のバーチャルYoutuberとしての矜持を感じる。
デビルの証明
バーサナ界隈最恐のアイツの曲。ばくたん当日の朝にタワレコでネタバレ食らったのはご愛敬。
デビルの証明=悪魔の証明、「存在しないこと(やっていないこと)を証明するのは難しい」というこの曲のテーマ……本編ではデビル名取が不憫かわいい感じで披露してくれたけど、やっぱり活動者として表に出せない葛藤があったりするのかな、とか。
このデビルの証明といっかい書いてさようなら、そして王国からの招待状本編について、ある方がかなり鋭くて興味深い視点から考察したnoteを投稿されていたのだけれど、その方既にnoteもTwitterアカウントも消されてしまった。悲しい
ファンタスティック・エボリューション
飽くなき向上心。探求心。絶えることのない努力。挑戦。この人に魅力を感じて追いかけている我々ファンがみんなどこかで憧れている、名取さなの「人間的な強さ」を凝縮したような曲。
過去や歴史を大切にしつつ、それでも振り返っている暇はないぞと言わんばかりのこの姿は、名取さな最大の魅力のひとつ。
進化を止めない名取の「今」と「これから」を追い続けることを、改めて心に誓った。
オヒトリサマ
さなちゃんねるの掟として、なかなか過激な字面でありながらはっきりと明文化されている馴れ合い禁止令。
さなやひクリスマスで「馴れ合いはコンテンツの破滅を近づける」なんて言い放っていたようにコンテンツを守るための掟でありつつ、オタク仲間を持たない「おひとり様」が胸を張ってファンでいられるようにという優しさでもあるのかな、なんていうのは考えすぎだろうか。
そもそもファン同士の交流を全部が全部撲滅しようなんてものではなくて、悪い方向に流れていきそうになった時のための予防線のようなものなのだろうけど。それでも俺はこの馴れ合い禁止を掲げるさなちゃんねるが居心地よくて仕方ないんだよ
足跡
今では配信だけでなく、色んな媒体色んな形で我々に楽しみを提供してくれる名取さな。
毎日のおはようツイート、週一のどくラジ、月一のもごご、そして年一の「ばくたん。」や、今回のサナトリック・ウェーブも。これら全てが自分たちファンにとっては特別で、その特別を見届けた後はかならず、特別ではないいつもの人生に戻る。夢心地が醒めてきて頭がそのことを認識し始める、一番憂鬱なその瞬間すら彩ってくれるのがこの曲。
「きっと気まぐれた寄り道同士 この場所に踏み積もる」←六本木帰り、なすど帰りに川崎に集まるオタクのことでもあるらしい 12月7日アニマルサミット→翌日チッタで計画してるおまえたち、どうかお手柔らかによろしく
ノーゲスト、イン、ザ、テアトロ。
ゆびきりをつたえてといい、こういう曲に踏み込んで文を綴るのは気が引けるけれど。
ハロー・マイ・バースデイを経た名取の、「弱さを認める強さ」の曲なのかな、と思う。弱さすらも大切な自分だと認めて、愛して、やっていくぞ!という力強さは、ファンタスティック・エボリューションとはまた違うベクトルで心に深く突き刺さる。
そして、我々ファンに向けたものではない、名取の「独白」的な歌詞であることも今までの曲に比べて異質な点。普段表に出すものではない劣等感やネガティブな感情を題材に、それでも我々に伝えたいものがあるとして作られただろうこの曲のタイトルが「観客のいない劇場」。
「言いづらいことも、音楽を通してなら伝えられる」
「音楽を通じて、これをみんなに伝えたいというものがあります」
……………………
ソラの果てまで
元々曲名を「サナトリック・ウェーブ」にするつもりだったとMCで語っていたように、今回のライブの根幹、メインテーマを成す曲と言っていいだろう。
名取さなとして名取さなの物語を紡ぎながら、その中に普遍的で一般化できるメッセージを挿し込んでいこうというのは、ハロー・マイ・バースデイ以降明確に方針としてあるのではないかなと思う。そして今回、音楽(活動)を通して伝えたいことがある、と改めてこういう場で明言してくれた以上、それを受け止めるのがファンのつとめなのではないか。
みんなが「おんなじ意味にとるわけじゃないらしい」けれど、少なくとも自分がそう受け取ったのなら、そう感じたのなら。誠実に受け止めて、時には言葉にして返したり、時には糧にして自分に落とし込んでいったり、していけたらいいなあと、そう思った。