受験学年の合格よりも下級生の契約更新
大手学習塾の話である。読者さんご自身で、うちは保護者の要求に300%お応えするクリーンな経営理念なんだ、一緒にするなというご意見があればぜひご教示願いたい。
冬期講習真っただ中、塾の先生方と生徒の子どもたちは一生懸命やっていると思う。コロナ対策もしなければならない中、入試に向けてラストスパートだ。各学校の入試におけるコロナ対策について、ちらほらとホームページで発表されている。1月はコロナに罹患するどころか、高熱になったら終わりだと思った方がよい。危機感を煽るような表現で、オーバーかもしれないが、結局のところ平熱で過ごすことが、1番波風が立たない。
ご存じでない読者の方もいると思うが、この時期・12月・1月の、特に大手塾と呼ばれる、官僚組織が整備された会社では、非受験学年の来年度の契約更新が主な仕事となる。
「契約更新はどうでもいいから、受験生を合格させることに専念しろ」と言ってくれる管理職がいれば教えてほしいぐらいだが、残念ながら塾講師の多くは、自分の能力を100%受験生指導に注げているかといえば、違う。どこぞの学校に1名合格者を出すより、1名の契約更新の方が、塾が得ることのできる収益は高いのである。収益が得られることに人員を割くのは当たり前の話ではあるが、早ければ11月末から、冬期講習中は「年内には書類を回収しろ」といった管理職の指示があるとすれば、保護者への訴求で時間を取られる。
しかし70%ぐらいの力で授業をしても、100%に見せることができるのもまた塾講師である。良い意味で言えば百戦錬磨の指導力、悪い意味で言えば官僚組織に縛られた残念な人々ではあるが、毎冬の恒例行事、大手塾の宿命だろうか。
そんな宿命を背負い、クリスマス返上で冬期講習に臨む塾講師を、無性に応援したくなってきた。
ちなみに私のクリスマスはnoteに投稿する問題を作成していた。作って1週間にも満たないアカウントだが、自分の担当している授業・範囲に関わらず自分の裁量で問題を作る場ができたことは、嬉しい限りである。