親は誰・・・【46歳で産院取違え】を知った人の壮絶な人性
🔵親は誰?46歳で「産院取違え」を知った人の闘い
⏺️育ての親を介護しながら、実親を探し続ける
⏺️産院での「新生児の取り違え」という起きてはならない事故で、いまなお親を探し続ける男性にお話を聞きました
⬛️人はなぜ「出自」を知る必要があるのか
・自分はどんな親の遺伝子を受け継ぐか。
・どのような経緯でこの世に生まれてきたのか。
➡️これらを知りたいという欲求は、程度の差こそあれ、人間にもともと備わったもの。
⏹️子どもの権利条約
「(児童は)できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有する」
➡️「出自を知る」ことは、人の権利として認められている。
・大概の人は血縁関係のある親に育てられる。
・ときどき自分を育ててくれた人が血縁上の親ではないと知る人もいる。
➡️育てた親のほうも、子どもと血縁関係がないことを知らないケースもある。
⬛️産院における新生児の取り違え
助産師さんから病院での出産へと切り替えが推奨された昭和の一時期、そう珍しい出来事ではなかった。
⏹️1958年4月、都立の産院で生まれたAさん(61歳)
46歳のときにDNA鑑定
➡️自身が「取り違えられた子ども」であると知った。
ここから、実例を元に詳しく説明していきます。
⬛️中2で家を飛び出した
⏹️「おまえは誰にも似ていないね」
親戚が集まったときなど、よく言われてきた。
・目
・鼻
・口もと
➡️父親、母親のそれらを順ぐりに眺め、性格も、父親とは正反対。
【Aさん】
「わんぱくで、よくしゃべる子」
【父親】
アルコール依存気味で、お酒を飲まないとまったく話をできない。
・Aさんは顔が変形するほど殴られた
・弟は一度もたたかれることもなかった。
➡️さらに、笑うところや怒るところの感覚も、家族のなかで1人だけ違った。
⬛️「この家にはいられない」と感じ、家を飛び出したのが14歳
・焼き肉屋で調理師見習い
・クリーニング屋で手伝い
・年齢をごまかして住み込みで働きながら中学に通い
➡️ほかの生徒より数カ月遅れで卒業証書を受け取った。
⬛️親子関係がないとはっきりわかったのは2004年、46歳のとき
体調が悪く、病院で検査を受けた際に血液型のことを伝えたところ、大学の研究者を紹介。
⏹️DNA鑑定結果
親子関係が存在しないことが判明。
➡️「産院での取り違えしか考えられない」という結論に至った。
頭の中は真っ白。
怒り。
悔しさ。
➡️14歳の頃を思い出した。
⏹️なぜ中学2年で家を飛び出さなければならなかったのか
家庭でも親子で気が合わないことはある。
反抗期も重なったとは思う。
⚠️血筋が違う者に育てられて、互いに相手の言っていることを理解できなかった。
【哀しみと悔しさ】
育ててくれた両親には感謝しているが、自分の思っていることを理解してくれる親に育てられたかった。
もし血のつながった、かつ性格やものの感じ方が似た親に育てられていたら、家を飛び出さずに済んだかもしれない。
【血筋が違っても感謝】
血縁がないとわかれば両親とはますます疎遠になるが、Aさんは逆。
久々に顔を合わせた両親がすっかり年老いているのを見た。
家を飛び出すまでの14年間育ててもらったことは事実。
➡️これから14年は自分が親の面倒を見ようと決めたそう。
父親は3年前に他界し、今も認知症になった母親と暮らしている。
⬛️自力で一軒ずつ訪ねても見つからず
⏹️真実を知りたい
・実の親が生きているなら会ってみたい。
・取り違えられた相手がどんな環境で育てられてきたか、話を聞いてみたい。
⏹️東京都に対して取り違えの相手を探すよう求めた
・生まれた産院はすでに閉鎖。
・都は、当時の資料が残っていないのでわからないと明言。
⏹️区の住民基本台帳から「昭和33年4月生まれ」を抽出し、一軒一軒訪ねて回った
・住民基本台帳はコピー不可
・携帯で写真を撮ることも許されない
・手書きで複写するしかなく、抽出は大変な作業。
・閲覧は「30分ごとにいくら」と決められている。
➡️何度も通い詰めて手書き複写を繰り返し、約80人の該当者を拾い出した。
⬛️当時Aさんは福岡県に住んでいたため、該当者を訪問できるのは週末のみ
・毎回レンタカーを借りると費用がかかる。
・安いナビ付の車を購入。
・該当する家を一軒一軒回った。
➡️しかし、その中に実の両親はいなかった。
⏹️実の両親は別の区の住民だった可能性もある
2006年当時、はすでに、個人情報保護の観点から、台帳の閲覧ができなくなった。
⬛️実親探しと並行して、裁判も起こした
⏹️一審の地方裁判所
損害賠償や不法行為については時効とされたものの、取り違えは認められる結果となった。
判決をもとに、東京都に対し申請
➡️再び「区の出生受付帳の情報をもとに、取り違えの相手を探してほしい」と求めたが、都は応じなかった。
⏹️控訴して高裁に進んだ
慰謝料を勝ち得たが、親を探すことについては進展なし。
都が上告して最高裁に進めば、実親探しを求めるつもりでしたが、上告がなかったため裁判はそのまま終わることになった。
⬛️本当の親を知ることのできないつらさ
⏹️Aさんは東京都に対し、取り違え相手を探すことを繰り返し求めてきましたが、いまも進展はない
東京都に確認したところ「区に対して、出生受付帳の情報開示を請求する法的根拠がない」のが理
由。
★【ここがポイント】
個人情報の保護はもちろんとても大切なことだが、この件については明らかに都の産院による過失。
1人の人間の人生を果てしなく変えた重大な事件であり、然るべき措置をとって、例外を認めることはできないものなのか。
【戸籍法】
『間違いを知ったら訂正をしなければいけない、訂正をしない場合には過料を科す』
➡️この様なことが書かれている。
⚠️戸籍の訂正のために必要な情報を求めているのに、役所は個人情報保護を優先して応じませんし、謝罪もしていない。
人間としてこの世に生まれたら、自分の血筋を知る権利というのは当然である。
AID(非配偶者間人工授精)でも養子縁組でも、それを知ったときから権利はある。
権利を、個人情報という一言でシャットアウトするのはおかしい。
⬛️過去に産院で取り違えられたことがわかっている人は、Aさんのほかにも複数いる
1人は、わかったときすでに実親は亡くなっていたが、実のきょうだいとは会うことができ、今も親交を深めている。
⏹️もし取り違えられた相手が見つかった場合
先方の人生を揺るがす話でもあるため、慎重に考える必要はある。
実の両親が生きていれば、すでにかなりの高齢のはずであり、果たして、再会することはできるのか。
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