見出し画像

年金受給、「絶対に繰り上げを選ぶべきタイプ」の夫婦とは

🔵年金受給、「絶対に繰り上げを選ぶべきタイプ」の夫婦とは


⬛️年金「繰り上げ受給」を選んだ方が得をする人は?


年金を受け取る時は、「繰り上げ受給」や「繰り下げ受給」を選択することができる。


①「繰り上げ受給」


早く受け取る代わりに受給額が減る。具体的には、1か月早めるごとに0.5%、1年で6%減額される。


5年早めて60才から受け取るようにすると、受給額は30%減る。


②「繰り下げ受給」


1か月遅らせるごとに0.7%、1年で8.4%増えるので、70才から受け取ると42%増えることになる。


どちらを選ぶと得になるのかは、「何才まで生きるか」によっても左右されるが、迷うことなく、絶対に「繰り上げを選ぶべきタイプの夫婦」というのも存在する。


⏹️収入が年金のみの世帯の場合


夫婦の年金収入が「年211万円」を少しだけ超えそうならば、すぐにでも繰り上げ受給をした方がいい。


上限は自治体によって多少異なる。


例、東京23区などの大都市


帯の年金収入が年211万円(月額約17万6000円)を超えると、健康保険料や介護保険料などの社会保険料が上がり、医療費の自己負担分を減らす「高額療養費制度」の自己負担上限額も引き上がる。


「繰り上げ受給で年金額を211万円以下に減らしておけば、『住民税非課税世帯』となり、住民税の免除や、医療費の減額または免除など、さまざまなメリットがある。


例、都内に住むAさん(68才)とBさん(66才)姉妹


1月に届いた源泉徴収票を見比べて驚いた。


Aさん夫婦は、月々の年金が18万円。


夫が62才でリタイアしたというBさん夫婦は、年金を「前倒し」で受け取ったので、少しだけ年金が減って、月々17万5000円。


計算上、姉のAさん夫婦の方が月に5000円、年にして6万円多く受け取っているはずだった。


“手取り収入”を見比べると、妹夫婦よりも10万円も少なかった。


妹はかかった医療費はたくさん戻ってくるし、介護費用の自己負担も少なかった。


年金額の“額面”が大きい分、Aの方がかなり損をしていた。


年金の“額面”はAさん夫婦の方が高かったが、Bさん夫婦は年金が211万円以下だったので「住民税非課税世帯」になり、さまざまなメリットを享受した。


平均的な高齢夫婦の受給額は月20万円ちょっとで、年額で240万円ぐらいになる。


もしそれぐらいの額ならば、税金や医療費、介護費のことを考えれば、前倒しして「211万円以下」に抑えることも検討したい。


⬛️老後に向けた蓄えも、どう繰り上げるかの目安となる


60才でリタイアした夫婦が一般的な水準で老後を過ごすには、月26万~27万円必要だとされる


介護や金銭のサポートをしてくれる子供がいたり、持ち家で家賃がかからなかったりする人は、夫婦で月20万円くらいの受給額でも充分生活できるはず。


その場合、男性の平均寿命である81才までの21年間を夫婦で過ごすと、必要な費用は計5040万円。


そこから女性の平均寿命の88才まで含めると6216万円が必要。


60才からの受給に繰り上げた時に受け取れる年金額(モデル世帯)は約16.7万円が相場。


月々3万円くらい不足するので、それをまかなえる1000万円ほどの貯蓄があれば、安心して繰り上げていい。


再雇用やパートなどで年金以外の収入があればなお安心。



⬛️60代からもらった方が有意義に使えるのか


⏹️重要なポイントとなるのが、老後のQOL(生活の質)


定年後、もっともお金がかかるのは60代。


夫婦ともにまだまだ元気で時間もあるため、趣味や旅行などの出費が多くなりがち。


⚠️生命保険文化センターの2019年の調査


60%以上の高齢者が、最低限の生活を維持するための出費に上乗せして、「旅行やレジャー」のためにお金を使うと回答。


70代に入り、体の自由がきかなくなる後期高齢者になると、少しずつ出費は減る。


年金額を増やそうとして繰り下げしても、その頃にはせっかくの年金を満足に使えない可能性が高い。


60代のうちに前倒しでもらった方が有意義といえる。


⬛️実際に繰り上げ受給の申請をするには注意が必要だ


通常どおり65才から受給した場合の金額を把握し、その上で、老後の暮らしにいくら必要で、いくらもらえるかを計算しておく。


老後のライフプランも含めて金額を確認するべき。


⏹️繰り上げ受給は、自分で請求しないと受け取れない


受給開始を希望する年齢になったら、自宅に届いているはずの「年金請求書」を持って年金事務所に出向いて「老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書」に必要事項を記入し、ほかの必要書類とともに提出しなければならない。


『繰上げ請求書』が受理されると、翌月から自動的に支給開始となるので、繰り上げを希望する1か月前までに申請する必要がある。


⭕️必要書類の準備まで含め、3か月くらい余裕を見ると良い


年金は豊かなセカンドライフの命綱。


人任せ、国任せにせず、自分自身で“得する受け取り方”を徹底的に研究してほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?