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寒中見舞いはいずこへ

 年賀状を買ってきた。三枚入りで四八〇円。切手がすでに印刷されているとはいえ、年賀状ってこんなに高かったっけ、と思った。でも、仕方ない。イラストも描かれているし、手間賃だと考えたら、それぐらいはやっぱりするだろう。というわけで、購入する。帰ってさっそく、年賀状を書くことにした。

 書いた年賀状を送って数日が経ち、年が明けると年賀状が届く。そこには送っていない人の名前もあった。マズい、と思ったときにはもう遅かった。送り忘れていたのだ。慌てて、まだ余っている年賀状はないかと探したが、見つからなかった。郵便局まで買いに行きたかったけど、ちと遠い。それに年明けは墓参りに行ったり、親族と会ったりと忙しくなる。仕方なく、あきらめた。お返しを送るのはしばらく後にするしかない。

 そうしてずるずると時間が過ぎ、気づくと三が日が終わり、連休も終わっていた。あいかわらずの自分の体たらくに嫌になる。けど、立ち止まってもいられない。寒中見舞いでもいいから返信しよう、と考えた。

 思えばいつも年賀状は後出しジャンケンになっている気がする。毎度のことながら申し訳ない気持ちで一杯になる。

 決めた。来年こそはこちらが一番先に年賀状を出してやろう。その為に出来ることは、まず年賀状を出す相手をリストアップすることだ。今のうちからリストアップしておけば、少なくとも今年もらった年賀状の相手には確実に送れるだろう。それから、年末に通知が来るようにリマインダーをセットしておく。カレンダーに書き込んでおくのも忘れないようにしよう。これだけやればバッチリだろう、と思った。

 夜中に準備を終え、安心して寝ることにした。今年の抱負は年賀状を誰よりも先に出すことだ。これだけ準備をすれば、もう約束されたも同然だった。寝床について、ぐっすりと眠り始める。と、そこで気づいた。

「あ、寒中見舞い忘れてた」

 ほぼ一年先の今年の目標達成に夢中になって、目の前のするべきことをすっかり失念していた。結局、明日の朝一番で大急ぎで寒中見舞いはがきを買いに行くことになった。

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京和みかん
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