ふたりのScratcher
Scratchというプログラミング言語がある。
【Scratch(スクラッチ)】
Scratch財団が、アメリカ・マサチューセッツ工科大学メディアラボ ライフロングキンダーガーデングルーと共同開発した、無料の教育プログラミング言語・ツール。
ビジュアル型のプログラミング言語で、ブロックを配置することで、直感的なプログラミングが可能となっている。
幼児から大人まで、誰でも簡単に使えて、可能性は無限大。
かなり高度なプログラムも作ることができる。
簡単なお絵かきや、ネコを動かすだけの簡単なプログラムからはじまって、複雑な作品づくりや、高度な芸術表現もできるし、市販のゲームに遜色ないようなゲームだって、作れてしまうのだ。
うちの子どもたちはScratcherだ。
長男・長女が、小学中学年の頃にはじめて、もう4年以上。
暇さえあれば(暇が無くても、テスト週間でも)Scratchで、何かを作っている子どもたち。「パソコンでできるたいていのことは、Scratchでできる。」と話している。
そんな上の双子(長男・長女)の。
対照的なふたりのScratcherの話。
(次男もScratchを楽しんでいるけれど。今回は次男の話は置いておく。)
ふたりともそれなりにScratchを極めているけれど。
ふたりのScratchは全く違う。
長男のScratchは、長男のこだわりにあふれている。
雑多なサムネイルのほとんどは、ありふれたネコか、単純な文字か図形で、あまり変わりばえがしないのだけど。中のプログラムは、かなりマニアックで複雑怪奇だ。技術的には高度らしいが、誰も理解できないような技を多用しており。故にリミックスされにくい。いいねもほどほどだ。
長女のScratchも、長女のこだわりの世界という点では同じなのだけど。
並んでいるサムネイルの様相は全く違う。
見た目にこだわった、少数精鋭の作品だけが公開されている。(初期の頃に作った初心者っぽいサムネイルの作品は、全部消したらしい。)
一部の作品はそれなりにいいねもついていて、それが本人の励みになっているようだ。
長男は、自分が興味があるもの、つくりたいものを(他人の評価とは無関係に)作っていて。
長女は、みんなが興味を持ちそうなものを、他人からどう見られるかを考えて作っているのだと。
長女が話していた。(なるほどなぁ。)
長男は、数字や数式にめっぽう強い。
素数や関数のことをいつも考えているような、言うなれば数字マニアだ。
自分の興味の赴くままに、日々Scratch研究に勤しんでいるようで、技術面では、かなりのノウハウを持っている。(つい最近も、長女に円を描く方法を訊かれて、三角関数を使って描く方法を教えていた。)
彼のフィボナッチ数列や、謎の放物線を描いたScratchに、興味を示す人はほとんどいないが。自分の好きな作品作りをして。ごく一部の仲間と語りあっていて。それはそれで楽しそうだ。
見た目にこだわる長女は、スプライトの作成や、お絵かきに力を入れていて、主にビジュアル面で、完成度の追究に余念がない。
プログラム的にはそれほど難しい技術は使っていないが、そのぶんわかりやすいので、リミックスもされやすい。
どちらかというと、映像表現の媒体として、Scratchを活用することが多くて、最近の学校の課題発表もScratchで作っていたけれど。
完成度はなかなかだった。
プログラムにこだわる長男と、スプライト(絵)にこだわる長女と。(ユニークな発想の次男と。)
みんなで協力して作品を作れば、面白いものが作れそうなのになぁ…と、思って見ているが、なかなかそうはいかないらしい。
ふたりのScratchの楽しみ方は、対照的だけど。
ふたりとも、それぞれの世界があって。
いろいろな楽しみ方があって、それで良い。
Scratchの世界の奥深さと包容力に魅了されている。
気まぐれに更新しています。