環境重視の森林づくり研修
8月6日
昨日に引き続き、
矢巾町の研修棟にて
いわて森林づくりコーディネーター研修に
参加しました。
2日目は
環境重視の森林づくりについて学びました。
講師は
国立研究開発法人森林研究
森林研究所 正木 隆 先生 です。
午前は座学にて、針葉樹の生態や人工林の診断方法、広葉樹林の育て方について学びました。
以下、目次ごとに羅列します。
・杉の寿命1000年 松300年以上
日本林業の主要樹木である杉・ヒノキは、
大昔には日本中の原生林に巨木が生えていた自然な樹木である。
・針葉樹人工林の成長
林野庁が発表している、標準伐期林齢50年(成長が著しく低下する故)は誤り。
今現在の多くの人工林が劣化が始まる過熟期というわけではない。
・森林の持続可能な管理
森林の成長は林齢ではなく、発達段階で考える。
若齢→成熟→老齢
多面的機能(土壌保全、生物多様性保全、炭素吸収、水源涵養)は若齢段階では機能が低下し、成熟段階で最大に達し、維持される。
皆伐地は多面的機能が急激に低下。環境負荷が大きい。
・人工林の目標林型
林業は木材を売る産業である以上、生産目標がある。
その大きな要素は木の直径であり、
生産目標を決めると(樹種、直径何センチで、何年後にヘクタールあたり何本)、収穫までの年数も定まる。
・人工林の診断
人工林は、間伐を行わないと一本1本がひょろ長くなり、脆弱になる。
樹冠長率⋯樹高に対する樹冠長の割合。
形状比⋯平均樹高(cm)を、平均胸高直径(cm)で割った値。
・間伐の意義
間伐は、良い木を育て、森林の価値を高める作業。
間伐によって林分(ひとまとまりの森林)の発達段階の以降速度を変えることができる。
まずは育てる木を選ぶ。その後に、間伐木が選ばれる。
本来は、間伐率などの数字は事前に決めるものではない。
「はじめに間伐率ありき」の間伐は、目標林型が定まっていない証。
⦿育てる木の条件
1.樹冠の大きさ、幹の太さ等。
2.質。真っ直ぐ、枝が細い等。
3.形。見上げた樹冠が真円等。
(樹冠長率40%以上、形状比70未満)
⦿間伐する木の条件
1.育てる木の成長にマイナスを与える木。特に優勢木。
2.残しておいても利用価値がないと思われる、曲がり、傷、樹冠長率が低く、これ以上の成長が期待できない等。
3,配置のバランス上、さらに間伐の必要な部分の木。
・森林作業のNG
列状間伐は、選木をせずに列の間伐するため、育てる木を選べない。
このことから、50年生未満で、混み気味の林分のみを対象にすべき。そして1度の施業のみ。
列状間伐を1度行ったら次回以降の間伐は育てる木を選ぶ方式に。
列状間伐を行うと、かえって森林の状態が悪くなることが多い。
森林の価値を高めるという、間伐の本来の意義と真逆のことが起こり得る。
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以上を座学で学んだのち、
午後から杉の人工林へ向かい、
現地調査と目標林型の検討を行いました。
この人工林は1ヘクタールの広さで、
林齢45年、2年前に5割間伐を行ったところでした。
グループ毎に分かれ、我々の班は2m×2mの
プロットを4箇所取り、植生調査と杉の成長の観察を行いました。
これらの調査結果を持ち帰り、
10年後の目標林型と、最終目標を班で話し合い、検討しました。