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三郎 丸
2024年4月13日 03:18
目を瞑るのが惜しいと思える世界に生まれて耳を塞ぐのが惜しいと思える世界に生まれて物を言わぬあなたと歩く丘の上はこんなにも美しい囀りしかしらぬあなたと過ごす朝はこんなにも穏やかだ血と皮と骨だけで私が出来ていたのならきっと私もそれらと一つに私がここを立ち去った後脳みそだけがちょこんと残される、そんな光景を夢見ながらそんな光景を夢見ながら目を瞑るのも辛いそんな世界に生
2024年4月10日 05:16
肌寒い宵闇を駆け抜けるフードを被った若い声電車の窓の向こう黒々とした寝起きの田んぼに春が訪れ水緩む鈴懸の木のてっぺんの方に久しく見ない緑が芽吹く建物の影を免れたその一房に花びらが、種子が綿毛がポケットに潜んで旅をする気付かぬよう気づかれぬように息を潜めて肌寒さを無視するように夜影に紛れた若い声一つ一つの足音が春を担ぐ春を担う一つ一つの呼吸が春を担ぐ春