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赤い瞳の不思議な黒猫
この子が私のところにやって来たのは、私が10代の頃。いや、もっと前だったかもしれない。
親戚のお姉さんからもらったものだ。
高さは7cmくらい、手の中に、すっぽりと入ってしまうくらいの大きさ。
ずっと一緒にいることに気がついたのは15年くらい前かな。全部で40年くらい一緒にいる。
物持ちがいいかといえばそうでもない。
どちらかというと捨てるのは得意。思い切りよく捨てて、後悔することは度々ある。
でもこの子だけは、気がついたらずっと一緒にいる。不思議。
私は高校を卒業と同時に、大学進学のため家を出て一人暮らしを始めた。
就職もそのまま家には戻らなかった。
家を出る時、この子持って出た記憶はある。
なぜ持っていこうと思ったのかは覚えていない。
そして結婚。夫となった彼は転勤族だった。
3度住まいを変えた。
半年に一回の引越しを伴なう転勤についていけず、まだ小さかった子どもと共に実家に帰った。
私はいつのまにか、この黒猫の存在を忘れしまっていた。
思い出すきっかけになったのは、子供を育てながら通っていたスクール。そこで出された課題。
『大切にしているものはなんですか』
この課題の回答を考えていた時のことだ。
私が大切にしているものって何?
そういえば、あの赤い瞳の黒猫。
私はあの黒猫を持って家を出た。
持って出たからには大切なものだったはず。
あれはどうしただろう。
しかし、あれから何回も引越しをした。
あんな小さな物、きっとどこかでなくしてしまっている。
きっと探しても見つからない!!
ふと、本棚に目をやる。
赤い目の黒猫がいくつもの本の前に座っていた。
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どうしているの!!
あんなに引越しを繰り返したのに!
その途中で忘れちゃったのに!
あの時の感動は今でも思い出せる!
ずっと私の側にいた不思議な黒猫。
嬉しい時と、悲しい時も、辛い時も、忘れちゃった時も、、、
これからも一緒にいようね(^O^)