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結局いつになったら夫婦別姓が認めらるんだ…!

私の苗字はすごーーーく普通の苗字だ。

年によって変動はあるもののランキングTOP7までには必ず君臨する超がつくほどの平凡of平凡な苗字である。

この苗字は結婚したことによって変わったものなので旧姓は全然ちがう。
私の生まれ持った苗字は全国ランキング6000位〜7000位、人数にしておよそ1500人前後、そこそこに珍しいものだった。
数字で見るとわかりにくいが、実際どのくらいの珍しさレベルかと言うと

・印鑑は特注
・でもその苗字が多い地域では既成で買えたりするらしい(私自身は見たことないが)
・少なくとも親族以外では出会ったことがない
・これまで知り合った人たちからも私以外にこの同じ苗字に出会ったという話を聞いたことがない
・人生でだった一度だけ、子どもの頃に学外の友人から「同じ苗字の人がクラスメイトにいる」と教えてもらったことがある

漢字は簡単で初見で読めるものだし、人数も1000人は超えているらしいので、「珍しい方だが超珍しい苗字に比べるとそうでもない苗字」なのだろう。

そんな私が結婚によってTOP7首位の苗字になってしまったことには少し切なさを抱いている。

私の場合はまだそこまでレア度が高い苗字ではないことと、男兄弟がいることもあり、絶滅を危惧するほどの苗字ではないのだが、何が問題かというと苗字と下の名前との組み合わせの問題である。

私の下の名前はいわゆる「ザ・普通の名前」なのだ。自分の名前は気に入っているのでそれはそれでいいのだが、100%誰が見ても読める漢字であり、70歳のおばあちゃんに付いていても何の違和感もない、昭和のわりと早い段階から一般化していたような名前である。例えて言うなら「幸子」とか「由美」とか「恵」みたいな名前なのだ。
つまり苗字まで平凡だと、これはなんともお手本のような名前になってしまい、全国各地に同姓同名が複数人存在するような、何かの書類の記載参考にされているような名前になってしまう。「山田花子」みたいな感じだ。苗字がレアだからこの下の名前になったのだと思うし、名付けはそれそのものの意味だけではなく上下のバランスや音感も大切である。

結婚する際にどんな苗字に変わるかなんてのはギャンブルである。名前はあくまでも旧姓につけられた名前であり、特定の他のどの苗字にもつけられる想定がなされていないのだ。

だからといって彼に私の苗字になってほしいわけでもなかったし、事実婚にするのも別にそこまでする必要は…って感じだったので、泣く泣く旧姓を手放すことにした。あたりまえだが私が夫を選んだのは彼の苗字がどうこうという話ではないし、最終的には受け入れることにしたわけだ。

今現在のように原則夫の苗字にあわせるというやり方を取っていくと、希少価値の高い激レア苗字はどんどん減っていくのではないだろうか。ただでさえ人口は減少しているのだし。レア苗字出身としてはなんとなく悲しい。せめて珍しい方の苗字に合わせることを国が推奨してくれたりするとありがたいのだが。

余談だが
「戸籍を新しくするのだから新しい苗字をつくるのは可能なのでは?」
と思い、一度調べてみたのだが、これにはいくつか大きなハードルがあり
基本的には日常生活の上でその苗字で生きていくのに不便があるという場合(卑猥な言葉に勘違いされやすいとか複雑な家族関係にあるとか)にのみ、家庭裁判所への提出によって認められるとのことで、難しい上にめんどくさいらしい。実はオリジナルの苗字を何個か考えてみたなんて言えない

しかしどうせ違う苗字になるのならかっこいい苗字になりたい。

3文字苗字は基本的にかっこいい。
一ノ瀬なんかは全然普通なのになんかかっこいい。◯◯院とか◯◯寺もかっこいい。
出会ったことのある苗字の中だと如月さんや稲荷さんはとても素敵だなと思う。

つまり苗字というのはステータスなのだ。
本人の努力によって得られるものではないし、なりたいと願ってなれるものではない。親ガチャもとい苗字ガチャである。かっこいい苗字を持っている人は十分それは武器のひとつになりえる。家柄やルックスと同等の価値があると言っても過言ではない。

最近おもしろい話を聞いた。

先輩の義理のお父さん(つまりご主人のお父さん)が急にいなくなったらしい。いわゆる蒸発的なやつである。居場所もわからず離婚もできずで困っているらしい。

先輩の苗字は当然お義父さんと同じ苗字なのだが、実はお義父さんにも旧姓があるらしく、かといって婿養子でもないらしい。なんとこの苗字はお義父さんの前妻の苗字なのだと言う。

ややこしい話だが、要は先輩のお義父さんが前妻との結婚で苗字を変更していたものの、その離婚時に苗字を戻さなかったために、無関係の先輩まで謎の苗字を引き継いでしまっているのだという。ちなみに真実はもっとややこしく、義母にも前夫がおり、その人との子どもが先輩のご主人なので、お義父さんがいなくなってしまった今、もはや先輩が正当に得るべき苗字はなんなのだろうかという感じである。

どうやら苗字というのは原則変えるのが難しいのだが、こと結婚においてはそれが容易であり、しかも一度なってしまえばこっちのものだということらしい。離婚しても一度得た苗字は変えなくとも良しとされているのだ。

同性婚ができない我が国においてどうしても同じ苗字にしたかった《FTM(心が男性の女性)×男性》のカップルが、まず普通に籍を入れたあとしばらくしてから籍を外し、FTM側が性別適合手術を行い、その後に同性パートナーシップを結んだ、という話を聞いたことがある。こうすることで2人はようやく同じ苗字でかつ同性カップルとして生きられるようになったのだ。

バツがついてしまうことは難点だが、それは調べない限り人からはわからないものなので、どうしてもその苗字になりたいならそれを獲得するために一度婚姻関係を結びそのあと離婚する、という選択肢もあるという…めったに誰もしないと思うけど。

私にとって苗字を変えたメリットは、実印を特注しなくて良くなったことくらいである。
あぁでもわざわざ「結婚しました」って言わなくても苗字を見たらそうとわかるというところはいいなと思う。30代前後の女社会における結婚とは非常にセンシティブな話であり、かつて仲の良かった友人たちであればあるほど先に結婚した者にとって触れにくい話であるのだ。

別に元の苗字に特別強いこだわりがあるわけじゃない。でも新しい苗字に納得ができるわけでもない。だからといって夫に私の苗字になってもらうことで婿養子を取ったみたいな見え方になるのも嫌だ。

もっと私はライトに自分の苗字を残したかった。ただそれだけなのだ。

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