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「ただの箱」が世界を変えた話
パンデミックで、まだまだ「巣篭もり消費」堅調だそう。
私が愛用している「Lazada」は、アリババ傘下のシンガポールの会社です。
中国はもちろん、韓国や台湾からも商品が送られてきます。あまりに自然に買えるので、もはやそこに「輸入している」感覚はゼロです。
日本のAmazonから買う在マレーシア日本人も増えました。
もはや買い物に国境はない感じです。
「コンテナ物語」が面白かった!
そんな中、松井博さんが以前紹介されていた、「コンテナ物語」を読了しました。
少し古い本で、もう読まれた方も多いかもしれません。
以下は、Amazonにあるビル・ゲイツによる紹介文です。
「二〇世紀後半、あるイノベーションが誕生し、全世界でビジネスのやり方を変えた。ソフトウェア産業の話ではない。それが起きたのは、海運業だ。おそらく大方の人があまり考えたことのないようなそのイノベーションは、あの輸送用のコンテナである。コンテナは、この夏私が読んだ最高におもしろい本『コンテナ物語』の主役を務めている」
前半では、マルコム・マクリーンという運送業界の風雲児が1950年代、沖沖仕と呼ばれるギャングたちとの労使交渉の末に、コンテナ船の活躍の場所を広げる様子が描かれます。
面白いのは、誰も思ってみなかった方向に「ただの箱」が向かうところです。
コンテナは船から直接列車やトラックに積め、荷ほどきの作業が省略・自動化され、港湾での輸送費が大幅に下がったのです。輸送費が下がったことにより、世界で原料を半加工して、工場を世界のどこにでも置く「サプライチェーン」という仕組みができます。
コンテナの登場で、モノの輸送は大幅に安くなった。そしてこのことが、世界の経済を変えたのである。かつてはどの港にも、安い賃金と劣悪な条件の下、貨物の積み下ろしで暮らしを立てる労働者の一群がいた。だがもうその姿を見かけることはない。
マルク・レビンソン. コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった
これらの専門工場で加工された部品や組立品や半完成品は、長く延びたサプライチェーンの先にある別の工場へと送られていく。貧しい国々、経済開発の梯子を上るのは到底無理と思われていた後発の国々にとっても、遠く離れた先進国のサプライヤーになることはもはや夢物語ではない。原料や部品を運んでくるコストも完成品を遠い国に送り出すコストも急激に低下したからである。
マルク・レビンソン. コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった
日本航路のきっかけはベトナム戦争だった
高度成長期の日本の記述も面白いです。
米国からベトナムに兵站を送った帰りの船が「空っぽ」だったことにマクリーンが目をつけたのです。
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