「誰かが何かをしてくれるのを待つ」のをやめる

以前、転職したくてたまらなかった頃、私の口癖は「何かいいことないかなぁー」でした。

会社員時代の友達にはこの口癖が流行っていました。
皆、集まれば、「何かいいことないかなー」って言ってましたね。

「何かいいことないかなー」の「いいこと」とは何か

では、「いいこと」とは何でしょうか。
会社員時代の「いいこと」はこんな調子でした。

例えば、誰かが突然結婚を申し込んでくれるとか、
彼氏が海外転勤になって駐在員夫人になるとか、
とつぜん、会社から抜擢されて花形部署に転属になるとか、
宝くじが当たって大金持ちになるとか、
「君は才能がある」と抜擢されて、作家になる、とか

要するに、みんな、タナボタ式で「誰かが何かしてくれる」のを待っていました。
そして、皆が承認してもらえるような形でそれが起きればいいなぁ、と。
「わあ、すごいね」と言ってもらえたら、いいなぁ、と。

小さい頃に白雪姫やシンデレラなどのストーリーを見すぎて、そうした「棚ぼた式」が当たり前だと思い込んでしまってたのかもしれません。

そして、実際に「いいこと」が起きた人がいると、「いいなぁ」と羨ましがっていました。

待ってても、何も起きないことが多い

でもね、待ってても、大抵は何も起きないんですよ。

ほんとうに起きないんです。
私なんて、最初の1年目で配属願いを毎年出してましたが、結局ずっと、同じ場所でした。
私の場合、配属願いすら、叶いませんでした。
そんなもんなんですよね。

待ってても宝くじは当たらないし、
会社に抜擢されることもないし、
彼氏が海外勤務になることもないんです。

結局自分で変えるしかないとようやく気づいたのが、会社に入って5年目。ようやくそこで私は会社を辞めて、自分が何をやりたいのか、自分で考えることにしたわけです。

しかし辞めて自分で転職してからも、やっぱりまだまだ私の精神は
「何かいいことないかなー」
だった気がします。

許可がいらない時代になった

そこから、初めて自分との対話が始まったかな。

それまでは、他人のことはよーく見てましたが、
自分のことはあまり見てなかったんですよね。

何をするにも、いつもいつも誰かの「助言」や「許可」を必要としていました。

思えば、小さい頃からずっと先生に「トイレに行っていいですか」「絵描いてていいですか」と「許可」を必要とするような教育を受けてきて、
その世界に慣れっこになってたんでしょうね。

で、自分が何者かを理解するように努めていたら、だんだん自分というものがわかってきました。
そして、いつのまにか、インターネットのおかげで、やりたい仕事がある人たちは、その気があれば、全て自分でできる時代になりました。

それまで作家になりたい人は、新人賞に応募したりして、編集者の目に止まり、出版してもらう必要がありました。
写真家になりたい人は、写真家の下で修行することもありました。そうやって仕事をとったのです。
ものを売りたい人は、資本を投下して店舗を借りる必要がありました。

ところが今では、
本を出すのに出版社からのオファーを待たなくていいし、
作家になるのには誰の許可もいらないし、
ものを売りたければネットで売ればいい。
自分で消費者に届ければいいわけです。

自分で自分の人生をドライブするのは楽しい

そして、こうやってだんだんわかったきたこと。

この「自分で自分の人生をドライブする感覚」こそが楽しいのだってコトです。
自分で決めたことをやるのに、誰かの承認や許可を待たない、ってことですね。

失敗するかもしれないけど、自分で考えたことを行動できていること自体が面白い。
もちろん、たくさん失敗もあるのですが、トライ&エラー自体が楽しいのです。
すると、他人を羨ましいと思う気持ちもなくなって、
自分のことにフォーカスするようになっていきます。

海外に住むのもそうで、私は自分の意思で住んじゃったけど、中には、
「やっぱり転勤じゃない(=会社からの命令がない)と住んじゃダメ、って思ってる人、多いと思います。
誰かの「許可」を待ってるんですよね。

自分で「勝手に」動いて失敗して「ほらみたことか」って言われるのがいやって人もいると思います。私も嫌です。でもね、「ほらみたことか」と言われても、別に何も困らないし、「ほらみたことか」という人たちが、私の人生の責任を取ってくれるわけじゃないんですよ。

やりたいことがあるのなら、「許可」を待っていると時間がどんどん無くなります。そこには軋轢もあるし、意見が合わないことももちろんあります。家族内で対立するのなら、そこは譲歩する必要も出てくるでしょう。

けれども、そこを乗り越えられる可能性があるのなら、話し合いをする価値は大いにあります。1パーセントでも可能性があるのなら、乗り越えてみる努力をしてもいいんじゃないかな。

人生は短いのです。だから私は許可を待つのは辞めて、自分で動いた方がいいと思います。


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野本響子@文筆家&編集者・在マレーシア
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