海外に来ると自尊心がバグる理由
海外に来ると、英語ができずに辛い思いをします。
これ、ほとんどの日本人が経験しているんじゃないでしょうか。
英語学校「ブライチャー」を経営する松井博さんによれば、日本人の英語力ってネイティブの3歳くらいなんだそうです。
一流大学でてようが、有名企業で管理職やってようが、幼児レベルのことしか喋れない、書けないというキツい状況に置かれるんですよね。
かくいう私もそうでした。
初めて会社にアメリカ人がやって来たときには、「ハロー」しか言えない自分に愕然としました。受験では、難解な英文解釈を解いていたのに、難しい単語をいっぱい暗記したのに、3歳どころか1歳の赤ちゃんなんですよ。
当時、内心では「日本に来たなら日本語を話せばいいのに。なんてアメリカ人は図々しいんだろう」と腹立たしく思っていました。だって、自社製品を売り込みに来ているわけですよ。何でこっちが合わせないといけないんでしょう? と。
その後、海外出張するようになると、台湾人もシンガポール人も英語を話していました。英語で話すのはもはや米国人だけじゃないんだ、という事実を認めざるを得なくなり、たどたどしい英語で仕事をこなしていました。
これね、キツいんです。一応、大人の頭なのに、喋ると赤ちゃんなんですからね。
プライドだけは無駄に高いのに。
普段は外国人のヘンな日本語をからかう番組などを笑ってたのを反省しました。
当然ながら、自尊心がおかしなことになります。
するとですね、「私は赤ちゃんみたいに聞こえるかもしれないけれど、本当はすごく賢い大人なんだよ」って無駄にアピールしたくなっちゃう。
自分より英語が上手な日本人が来ると、途端に寡黙になったり、難しい単語を混ぜてアピールしてみたりします。わからない単語があっても知ってるフリしたり、わかったように見せかけたりします。そんなんで仕事しちゃうんだから、恐ろしいですよね。
海外に来ている日本人は、ほとんどの人が程度の差はあれ、この苦しみを経るわけです。
プライドを捨てて、赤ちゃんみたいなかっこ悪い自分に向き合わないとならないのです。
海外生活で一番しんどいのは、この部分かもしれません。だから、外国人と付き合うのを諦めてしまう人もいます。
これ、留学して来る子供も同じです。
小学生になれば、すでにある程度プライドが高い子もいます。失敗したり、質問したりすることを恥ずかしがるのです。「かっこ悪い俺」に向き合うのが苦しくて、日本人同士でつるみ「英語なんてくだらない」「現地人とは付き合う気ねえから」などとイキがってみたりします。
すごく気持ちわかるんですよね。
ただ、この失敗を抜けることなく、語学は上達しないんじゃないかな、と思います。
間違いを繰り返して、笑われるしかないんですよ。
自分の中に「他人の間違いを笑う」気持ちが強ければ強い人ほど、これはキツいです。
マレーシアのある学校では「失敗は良いこと」「失敗を笑わない」って教えてましたが、この精神があるから、マレーシア人は語学の上達が早いのかもしれませんね。