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本当は怖いインフレーションの話

インフレが話題です。行き着くところまで行くと何が起きるのでしょうか。

「ハイパーインフレの悪夢ーードイツ国家破綻の歴史」は1920年台のドイツの国家破綻を紹介した本です。

これまでも、ジンバブエ、ロシアなど、ハイパーインフレの例を見てきましたが、ドイツのそれは史上最悪とも言われ、期間が長いのが特徴です。

大戦後のドイツでナチスが支持された理由の一端もわかる内容になっていますので、少し古い本ですが紹介します。

ハイパーインフレの原因となったのは戦争の賠償金

ドイツのハイパーインフレの原因が、第一次大戦の敗戦による賠償金による通貨の増刷であったことはよく知られています。

著者は当時のフランスの態度が大きな原因だったと指摘しています。

旧体制さえ滅ぼせば、敵国から穏当な条件を引き出せるだろうとドイツ人は思っていた。しかしドイツ人が忘れていたことがひとつあった。それはフランスの執念深さだった。フランスはドイツに対する恐れや、恨みや、復讐心から、断じてドイツの復活を許すまいと考えていた。

奇妙だったのは、それでも失業率が上がっていなかったことです。これは「パニックを起こさない」ために政府が紙幣を擦り続け、企業に補助金を出し、過剰に人を雇用し続けたことも原因だったようです。

過剰雇用や、企業への法外な補助金や、贅沢品の輸入と製造や、きわめて粗悪な徴税制度などのために、紙幣がむだに印刷され、それによって収入をはるかに上回る生活が営まれているという国の現実がわかっていなかった。

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