写真|大野教会とイノシシ
こんにちは。長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンターです。
世界文化遺産『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』の構成資産は、長崎県と熊本県に点在しています。
構成資産同士の距離は決して近いとはいえず、弊所に寄せられるご意見のなかには「アクセスがよくない」というご不満の声もいただきます。
リンク先の弊所ウェブサイトにご案内を掲載しておりますが、『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』の構成資産は、6市2町(長崎市、佐世保市、平戸市、五島市、南島原市、新上五島町、小値賀町、熊本県天草市)に所在する12資産で構成されています。
地図をご覧いただいてもお分かりいただけるように、すべての構成資産が離れて存在しています。
その多くはそれぞれの市街中心部からも離れた、海のそばや、山に囲まれた場所に立地おり、そのような環境にあることから、さまざまな側面を持っています。
今日は、そのなかから「イノシシ」について書きます。
構成資産のある地域のいくつかは、世界遺産登録前後よりイノシシなどの害獣とされる動物が出没しています。とくにここ数年は、その頻度や範囲が増加傾向にあります。
筆者が訪問し見聞きしたことのある地域は、大野教会(長崎市)、出津教会(長崎市)、江上教会(五島市)、野崎島(小値賀町)、それから先日訪問した旧五輪教会(五島市)などです。
それぞれの地域でいろいろな対策がなされているものの、その効果がみられた例は少ないのが現状です。
先日訪問した、外海地区の大野教会でもイノシシの出没がよくみられます。筆者自身、現地で遭遇したこともあります。
▽2022年5月の読売新聞取材記事
大野教会の周辺環境としては、標高350mほどの大野岳の中腹に位置しており、周囲は樹木に囲まれているため、どの方角からもイノシシなどの進入が可能です。
防護柵や各種のワナなどを設置するといっても、敷地の周囲をすべて覆うことはできないため、困難を伴います。これは、他の地域でも同様です。
大野教会への最近の訪問は5月の中旬でした。そのときに撮影した写真を掲載します。
こんなふうに、地面の土を掘り起こしているのでイノシシが来たかどうかがすぐわかります。
球根のような、植物の根を探して食べるのでしょうか。
大野教会では、長崎市などの協力により、忌避剤の設置や薬剤散布などの対策をおこなっています。
イノシシだけでなく、このあたりにはマムシも出ます。これから気温が高くなる季節には、かれらの活動が活発になってきます。ちなみに、近くの出津教会ではタヌキの目撃情報もありました。
昨日は旧五輪教会(五島市)を訪問したばかりですが、やはり旧五輪教会のある久賀島でも、地域の住民の方々からイノシシ対策をしてほしいとの声が多くあるそうで、五島市の調査が入ったと聞きました。
世界遺産のある各地域が、このような環境下にあることを知っていただく機会になれば、と考えて記事を書いてみました。もちろん、世界遺産に関係なく、日本各地で同様の事例を抱えた土地が多いと思います。
革新的な対策というのはなかなか難しいでしょう。ですがこのようなことも、世界遺産(わたしたちの暮らし)の一側面として多くの方に知っていただければと思います。
この日は、黒崎地区にある「枯松神社」の写真も撮ってきました。枯松神社のことは、べつの機会に記事にしたいと考えています。
カトリック大野教会をご訪問の際には、訪問事前登録へのご協力をお願いしています。
▽教会訪問事前連絡はこちらから
▽大野教会堂(外海の大野集落)
▽出津教会堂(外海の出津集落)