GIF小説集『雨具と日傘』(カラー版)
まえがき
GIF小説『雨具と日傘』のカラー版です。以前投稿したものをまとめたうえで色付きになっています。
一応小説です。
万が一知人の方がいたら、買わないでください。
試しに有償版にしましたが返金可能です。
以降、GIF画像と日記が続きます。
1 晴れる日傘
↓
日曜日 6時
文字を教えてもらって、日記をつけようと思った。
ぼくの存在は雨具を着た幽霊だ。目は中心に一つしかないし、人が知っているおばけの形に近い。幽霊だけど、もともとは人間だった。ほとんど生前の記憶は残っていない。
だけどぼくは雨がとても嫌いだ。
嫌い、というか怖い。雨にあたったら体が溶ける気がする。
いつもは誰もいない建物にこもった生活をしている。一応幽霊だけど人を脅かすことが使命らしい。だけど、興味がない。
晴れか曇りの日は外をぶらりとしている。動物とか美しいものが好き。
文字を教えてくれた女と出会ったのは結構前だ。
良く晴れた空だった。ぼくが苦手な梅雨が過ぎ去っていい気分だった。六時くらいだった気がする。澄んだ空気を吸いながら歩いていると、晴れている空から雨が降ってきた。ぼくはトラウマがよみがえるように、発作を起こして、すぐに屋根のあるところに隠れた。
そんなときに、あの女は細い傘を差しだして、ぼくを迎えてくれた。彼女は物知りで、ぼくが雨を嫌いなことも知っていたらしかった。
彼女についていけばぼくは成仏できると思った。
それからぼくはあの女と不思議な日々を過ごすことになった。
彼女はいつも紙をもっていてペンで何かをかいていた。絵でも描いているのだろうかと思ったらそれは文字の羅列だった。ぼくには読めなかった。だけど彼女が映すものを知りたいと思った。いつしかぼくは彼女と出会うたびに文字を教えてもらったのだった。
ぼくは成仏するまでに、日々のことを日記にを書こうと思う。
ここから先は
¥ 200
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?